古代エジプト世界に「飲み屋」はあったのか? →多分あった
古代エジプトのネタといえば、この本は必須。長らく絶版になっていたものが近年になって文庫版で復活。
タイトルが「神話」だけど、訓戒文学やシヌヘの物語のフルバージョンなども入っており、マニア界のバイブル的なポジション。読み込めば読み込むほど勉強になるところも多く…。

エジプト神話集成 (ちくま学芸文庫) - 杉勇, 屋形禎亮
で、今回は「飲み屋」の話である。
本の中に飲み屋が出てくるところなんかあった? と思われるかもしれないが、実は「アメンエムオペトの教訓」の中に、それらしい描写が出てくるのだ。

この「教訓」は、アメンエムオペトが末子に向けて生きる上でのコツ、教訓のようなものをまとめて騙った、という体裁になっている、いわゆる「訓戒文学」と呼ばれるジャンルに含まれる。成立年代は第20王朝くらいではないかとされる。
古代語の翻訳で「ビール店」というのが妥当か、という問題はあるが、色んな階級や職業の人たちが集まる酒を呑む場所が街中にあった、というところまでは確実だろう。この訓戒は、酒を呑む時に「目上の者の席にまじりに行こうとするな」「同じ地位の者とつるむように」と諭しているのだから。
また、「ビールに満喫した老人」というくだりがあることからして、老人は引退した人物という意味であるから、これは役所内の娯楽施設などではなく、一般人も出入りできる場所にあったと考えられる。
となると、これは「飲み屋」と訳しても大きな問題はないだろう。おそらく、これが書かれた時代には、大きな街にはビールを供する公共的な商業施設があったはずだ。
第20王朝は、新王国時代の最後の王朝で、紀元前1,100年頃にあたる。
これ以前の時代がどうだったかまでは分からないが、少なくとも、この時点の古代エジプトには、「飲み屋」があった、と言ってもいいと思う。
タイトルが「神話」だけど、訓戒文学やシヌヘの物語のフルバージョンなども入っており、マニア界のバイブル的なポジション。読み込めば読み込むほど勉強になるところも多く…。

エジプト神話集成 (ちくま学芸文庫) - 杉勇, 屋形禎亮
で、今回は「飲み屋」の話である。
本の中に飲み屋が出てくるところなんかあった? と思われるかもしれないが、実は「アメンエムオペトの教訓」の中に、それらしい描写が出てくるのだ。
この「教訓」は、アメンエムオペトが末子に向けて生きる上でのコツ、教訓のようなものをまとめて騙った、という体裁になっている、いわゆる「訓戒文学」と呼ばれるジャンルに含まれる。成立年代は第20王朝くらいではないかとされる。
古代語の翻訳で「ビール店」というのが妥当か、という問題はあるが、色んな階級や職業の人たちが集まる酒を呑む場所が街中にあった、というところまでは確実だろう。この訓戒は、酒を呑む時に「目上の者の席にまじりに行こうとするな」「同じ地位の者とつるむように」と諭しているのだから。
また、「ビールに満喫した老人」というくだりがあることからして、老人は引退した人物という意味であるから、これは役所内の娯楽施設などではなく、一般人も出入りできる場所にあったと考えられる。
となると、これは「飲み屋」と訳しても大きな問題はないだろう。おそらく、これが書かれた時代には、大きな街にはビールを供する公共的な商業施設があったはずだ。
第20王朝は、新王国時代の最後の王朝で、紀元前1,100年頃にあたる。
これ以前の時代がどうだったかまでは分からないが、少なくとも、この時点の古代エジプトには、「飲み屋」があった、と言ってもいいと思う。