シェムリアップ(3) 遺跡はどのように壊れたか:樹木による破壊の観察
さて、アンコール遺跡群は、放棄されたあと、いちど樹林に埋もれてからフランス人によって再発見され、観光地として整備された、というのが前提となる。前の記事に書いたとおり、遺跡の石の再利用などはされていない。
にもかかわらず、全ての遺跡が派手に壊れており、きれいに見えるものは例外なく再建されたものである。
なぜ壊れたのか。
主な要因は、植物による破壊だという。だが、いくら植物の成長しやすい熱帯の森でも、そこまでのパワーがあるものなのか?
その破壊の威力を実際に見て確かめるのが、今回の旅の目的の一つでもあった。
ていうか遺跡マニアじゃない観光客はフォトジェニックな角度からの写真しか撮ってなくて、私が見たいとこが写ってなくてさ…もう自分で行ったほうがはぇーわってちょっと思って…。
というわけで、自分の見たかったところ。
お見せしましょう、ここです

この遺跡の参道に生えてるデケェ木の、ここ! 根本!

うーん。見事な食い込みっぷり。
これ、遺跡の参道は土盛りの表面に石貼ってるだけなんですね。全部石を積み上げてるわけではない。なので、石の隙間に落ちた木の実がうまく根っこ出せてしまうと、そのまま石の下の土盛り部分に根を張って、石を持ち上げながら成長してしまうらしい。
遺跡周辺、または参道などが破壊されている部分はこれで把握。
次は、「屋根の上からのしかかるようにして生えてる木」。

これは多分、雨樋的な屋根の端っこの出っ張りに種が落ちて、そこで成長してしまったパターンだと思う。
この種類の木は根っこが空中に放り出されていても平気らしく、屋根からハミ出した根っこはそのまま伸びて地面まで到達する。
木が成長すると下にある建物は重みに耐えきれず倒壊してしまうこともあるが、木は空中に固定されたままで成長を続ける。強い。

木で屋根の潰れた建物の中をのぞくと、こんな感じ。
屋根が壊れて穴が空き、光が差し込むと、そこにもまた植物が生えやすくなる。こうして、遺跡はほんの数百年で森の一部となっていく。

植物が撤去されたあとの破壊された跡だけ見ると「植物だけでこんなになるのか?」と思ってしまうが、植物がまだ残っているところで過程を見ると、「まあ、そうなるわな…」と納得である。むしろ植物が生えてる間は根っこで石が支えられているので、枯れてしまうと倒壊が進む、まである。

多分ガジュマルの一種なのだろう、この、空中に根っこ放りだした状態でもぐんぐん成長する樹木の存在が大きいなと思った。
てか「血管のように木の根が石に張り巡らされ」って本で読んでも詩的な表現だなくらいにしか思ってなかったんだけど、実際見るとマジで血管のようだし石の間にぐりぐり入り込んでるから、これは無理。どんだけ精巧に石積んでも無理。壊れる。


台風も地震もない代わり、「根っこが激強のクリーチャーみたいな植物がもりもり生えてくる」。
環境によって破壊要因が違うのはとても面白い。
アンコール遺跡の保全には、草刈り要員が必須だということを、とてもよく理解できました…。
今回見て回った遺跡の中では、タプロム遺跡やベンメリア遺跡がこんな感じで森に埋もれたままだったんですが、そのままだと破壊が進んでしまうので、いつかは樹木の撤去しなきゃならんのでしょうね。めちゃくちゃ金かかりそうですけど。ていうか根っこ引っ剥がすだけで、かーなり大変そうだけど…。
*******
まとめ読みはこちら
にもかかわらず、全ての遺跡が派手に壊れており、きれいに見えるものは例外なく再建されたものである。
なぜ壊れたのか。
主な要因は、植物による破壊だという。だが、いくら植物の成長しやすい熱帯の森でも、そこまでのパワーがあるものなのか?
その破壊の威力を実際に見て確かめるのが、今回の旅の目的の一つでもあった。
ていうか遺跡マニアじゃない観光客はフォトジェニックな角度からの写真しか撮ってなくて、私が見たいとこが写ってなくてさ…もう自分で行ったほうがはぇーわってちょっと思って…。
というわけで、自分の見たかったところ。
お見せしましょう、ここです

この遺跡の参道に生えてるデケェ木の、ここ! 根本!

うーん。見事な食い込みっぷり。
これ、遺跡の参道は土盛りの表面に石貼ってるだけなんですね。全部石を積み上げてるわけではない。なので、石の隙間に落ちた木の実がうまく根っこ出せてしまうと、そのまま石の下の土盛り部分に根を張って、石を持ち上げながら成長してしまうらしい。
遺跡周辺、または参道などが破壊されている部分はこれで把握。
次は、「屋根の上からのしかかるようにして生えてる木」。

これは多分、雨樋的な屋根の端っこの出っ張りに種が落ちて、そこで成長してしまったパターンだと思う。
この種類の木は根っこが空中に放り出されていても平気らしく、屋根からハミ出した根っこはそのまま伸びて地面まで到達する。
木が成長すると下にある建物は重みに耐えきれず倒壊してしまうこともあるが、木は空中に固定されたままで成長を続ける。強い。

木で屋根の潰れた建物の中をのぞくと、こんな感じ。
屋根が壊れて穴が空き、光が差し込むと、そこにもまた植物が生えやすくなる。こうして、遺跡はほんの数百年で森の一部となっていく。

植物が撤去されたあとの破壊された跡だけ見ると「植物だけでこんなになるのか?」と思ってしまうが、植物がまだ残っているところで過程を見ると、「まあ、そうなるわな…」と納得である。むしろ植物が生えてる間は根っこで石が支えられているので、枯れてしまうと倒壊が進む、まである。

多分ガジュマルの一種なのだろう、この、空中に根っこ放りだした状態でもぐんぐん成長する樹木の存在が大きいなと思った。
てか「血管のように木の根が石に張り巡らされ」って本で読んでも詩的な表現だなくらいにしか思ってなかったんだけど、実際見るとマジで血管のようだし石の間にぐりぐり入り込んでるから、これは無理。どんだけ精巧に石積んでも無理。壊れる。


台風も地震もない代わり、「根っこが激強のクリーチャーみたいな植物がもりもり生えてくる」。
環境によって破壊要因が違うのはとても面白い。
アンコール遺跡の保全には、草刈り要員が必須だということを、とてもよく理解できました…。
今回見て回った遺跡の中では、タプロム遺跡やベンメリア遺跡がこんな感じで森に埋もれたままだったんですが、そのままだと破壊が進んでしまうので、いつかは樹木の撤去しなきゃならんのでしょうね。めちゃくちゃ金かかりそうですけど。ていうか根っこ引っ剥がすだけで、かーなり大変そうだけど…。
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