「そのクラファン、本当に大丈夫?」最近多い、学術系クラファンの落とし穴について

最近、研究資金集めや何かの調査をお題目にして、クウドファンディングでお金を集めているものをよく見かけるようになった。
本職の学者が関わっているものもある。

が、本職の学者が関わっているからといって、まともな研究にお金が使われるとは限らない。

なので、「xx大学名誉教授」とか「xx博士」とかが前面に立っていても、それだけで信用するのは危険である。

また逆に、あまり名前の売れていない学者さんがやってるクラファンだからといって必ずしも怪しいというわけではないのだが、そもそも前提からして無茶がある、出そうとしている結果に対して明らかに力不足、掲げているお題目とやろうとしている行動が噛み合っていない、などということはあり得る。

普通の研究者なら科研費や各種助成金を利用するはずで、
わざわざクラファンを利用するということは、”真っ当な”資金を得られない可能性もある。


以上、言いたいことはここまでで既に言い切ってしまったのだが、改めて、クラファンというものについて警告しておきたい。




まず、発掘調査で結果が出ていなくて助成金打ち切りになりそうなものを継続したいからみんなのお金を集めたいです! みたいなのは、徳川埋蔵金と同じ「出る出る詐欺」の類だと思ったほうがいい。

ハワード・カーターが「あと1年掘らせてくれ」と言ったからツタンカーメン墓は発掘出来たんだ、という話もあるが、それはかなり特殊な事例であり、そもそも最初から、ツタンカーメン墓の封泥が出土した箇所を発掘するという、アタリ確率の高い選定をしていたから最後の最後に掘り当てられた、という話である。
実際、クレオパトラの墓が絶対ここにある! と言って掘ってるアレキサンドリア近郊の遺跡は、20年経っても墓の影も形もない。

また、定説を覆したい系は詐欺だと思っていい。
定説は何か一つの発見だけで覆るものではない。出てきたものに対して論文を書いて同業者たちに「これこれ、こういう理由で私はこの説を推します」というのを知らしめて納得させて書き換えるのが通常の手続き。
手続きを分かってない専門家ならその時点でダメだし、分かっているのに自分のやりたい研究のために一般人の目を引くようなウソを書いているのなら、全く信用ならない。

少し毛色が違うものとしては、テレビ局などの大手が既にスポンサーについているのにクラファンしている場合には、より豪華なオプションをつけたいとか、テレビ局が出す金を渋ってるとか、宣伝を兼ねてやってるとか、最初から付加的な意味合いが重要視されている事もありえる。べつにあなたが金を出さなくても、大口スポンサーは既にいる。
ただ、参加したというステータスが欲しい場合や、賛同したい場合には金を出すのはアリ。(自分は、ライチョウ保護のやつは一口参加した。スポンサーのモンベルグッズ欲しかったし…)



いや最近、ほんと、ロマン詐欺というか、半分詐欺めいた学術系のクラファン増えたなって思うんです…。
支援したくなるようややつがない。ていうか「これ身内だけでやってくんない? 一般人巻き込む意味なくない?」みたいなのとかもあるし。

どれが怪しいか最初は分かんないかと思うけど、自分が参加したやつは結果までキッチリ追ったほうがいいよ。結果が納得出来なかったら、そのクラファン関係者は全員ブラックリスト入りでいい。
詐欺まがいのクラファンに金を出すことほど反知性的な活動もなかなか無いよ。お題目にまどわされず、慎重に。

あと何度も言うけど、まともな研究なら、科研費とか各種助成金とか申請するはずなので、それが出来ない理由があるやつは最初からヤバいよ!
単純に尖りすぎた研究や、当人が口ベタすぎる・選に漏れた 等の理由ならまだアリなんだけど、過去に貰った助成金の用途をきっちり報告してなかったり、成果報告がグダグタだったり、申請書類をちゃんと提出する能力が無かったり、そういう地雷原みたいな研究者もいるんだよ…。