ネアンデルタール絶滅の理由は「血液型のバリエーション」? 現生人類との差異がさらに分析される
「血液型」は現生人類には存在するが、オラウータンなど類人猿には存在していない。かつてはホモ・サピエンスだけが持つものとされていたのだが、数年前の研究で、なんとネアンデルタールやデニソワ人も持っていることが判明した。つまりヒトの共通祖先のどこかで血液型というものが発生したらしいのだ。
それがいつだったのかはまだ分からないが、現生人類と、ネアンデルタールやデニソワ人との血液型の差異は、少しずつ明らかになってきている。
今回新たに出てきた研究では、「現生人類の血液型の進化は早い(=多様性が高い)がネアンデルタールは変化していない」、「ネアンデルタールはRh型が特殊だったので混血に不利だったのでは」という可能性が見えてきている。
これはなかなか面白い。ほんとに、ネアンデルタール絶滅の理由が書き換わるかもしれない。
[>過去の研究おさらい
ネアンデルタールやデニソワ人にも血液型があったことが明らかに。ネアンデルタール絶滅の理由は「繁殖率が低いから」かも
https://55096962.seesaa.net/article/202108article_4.html
ネアンデルタールのY染色体はどこに消えたのか。受け継がれたDNAの偏りについて
https://55096962.seesaa.net/article/503680319.html
[>今回新しく出た論文
Rapid change in red cell blood group systems after the main Out of Africa of Homo sapiens
https://www.nature.com/articles/s41598-024-83023-0

これらの研究は、古い骨から抽出したDNA断片からでも分析できるようになったという技術革新によるものが大きい。さすがにアミノ酸が全部バラバラの状態だとだめだけど、ズタボロの切れっぱしだけでも抽出できれば増幅かけて何とかなるのだ。で、ヒトのフルゲノムの解析が終わってて、どの領域が何を意味しているか解読できるようになってるのも大きいかと。
血液型はABO式やRhだけでなく、何種類もの判別タイプがあるのだが、表の中でRHCEとかKELとか書かれてるのが型の種類。
ネアンデルタールに特有のものが青、デニソワ人に特有のものが赤。青の一部は遺伝子の流入とともにホモ・サピエンスにも取り込まれている。
ホモ・サピエンスは、ユーラシア大陸に広がっていった人々と、オーストラリアに渡って孤立した人々と、アフリカをでていない人々で少し蛍光が違う。これは、アフリカではネアンデルタールやデニソワ人との混血が起きていないことや、オーストラリアに行った人たちは渡ったあと他の系統との混血が無かったので理由がつけられる。
なにぶん古い骨は数もそんなに多くないので、当時の全世界の状況かどうかは不明だが、分かっていることとして
・分析された中では、ネアンデルタールの血液型は12万年前から絶滅直前の4万年前まで、8万年間変わっていない
・現生人類は多様に分岐、一部はネアンデルタールとの混血で変異を受け継ぎ
・7万年前~4万5000年前くらいにイラン高原で新たな変異の系統が誕生しているので、ここに長くとどまっていた集団がいるらしい
という感じ。
そして、血液型の特性上、「ネアンデルタール人の女性とホモ・サピエンスまたはデニソワ人の男性の組み合わせでは疾患を抱えた子どもが出来やすい」と考えられるという。
これは、おさらいのところに出した過去の研究でも似たようなことを言われている。
また、混血児は遺伝性疾患を抱えるリスクが高かったのでは、という話。
また、「ネアンデルタールと現生人類は確かに混血してたんだけど、Y遺伝子が残っていない」=Y染色体を持つ混血児は遺伝子異常になったのでは? という説もある。
ホモ・サピエンスの側は血液型のバリエーションが多く、うまく型が一致すれば混血児でも生き残れる可能性はあったけど、ネアンデルタール側はそうじゃなかったので、相手の遺伝子を取り込んで存続出来たのはホモ・サピエンス側だけだった…だとすれば、ネアンデルタール絶滅の理由は、「他のホモ族と血液型がマッチしなかった」と言えるのかもしれない。
そして、現生人類が生き残れた理由も、血液型バリエーションが多い=多様性が高いことで、様々な生存に危機を与えるシチュエーションに対応出来たこと、という可能性が出てきた。(血液型のバリエーション=血液の中にある抗体の型が色々ある、ってことなので)
かれこれ7-8年前に、ネアンデルタールとホモ・サピエンスの命運を分けたのは疫病耐性だったんじゃないかなあという説を考えてみたことがあったが、もしかしたら、けっこうイイ線いってたのかもしれないなあ。
ブルー●ックスとかで詳細な解説書が出るといいんだけど。
それがいつだったのかはまだ分からないが、現生人類と、ネアンデルタールやデニソワ人との血液型の差異は、少しずつ明らかになってきている。
今回新たに出てきた研究では、「現生人類の血液型の進化は早い(=多様性が高い)がネアンデルタールは変化していない」、「ネアンデルタールはRh型が特殊だったので混血に不利だったのでは」という可能性が見えてきている。
これはなかなか面白い。ほんとに、ネアンデルタール絶滅の理由が書き換わるかもしれない。
[>過去の研究おさらい
ネアンデルタールやデニソワ人にも血液型があったことが明らかに。ネアンデルタール絶滅の理由は「繁殖率が低いから」かも
https://55096962.seesaa.net/article/202108article_4.html
ネアンデルタールのY染色体はどこに消えたのか。受け継がれたDNAの偏りについて
https://55096962.seesaa.net/article/503680319.html
[>今回新しく出た論文
Rapid change in red cell blood group systems after the main Out of Africa of Homo sapiens
https://www.nature.com/articles/s41598-024-83023-0

これらの研究は、古い骨から抽出したDNA断片からでも分析できるようになったという技術革新によるものが大きい。さすがにアミノ酸が全部バラバラの状態だとだめだけど、ズタボロの切れっぱしだけでも抽出できれば増幅かけて何とかなるのだ。で、ヒトのフルゲノムの解析が終わってて、どの領域が何を意味しているか解読できるようになってるのも大きいかと。
血液型はABO式やRhだけでなく、何種類もの判別タイプがあるのだが、表の中でRHCEとかKELとか書かれてるのが型の種類。
ネアンデルタールに特有のものが青、デニソワ人に特有のものが赤。青の一部は遺伝子の流入とともにホモ・サピエンスにも取り込まれている。
ホモ・サピエンスは、ユーラシア大陸に広がっていった人々と、オーストラリアに渡って孤立した人々と、アフリカをでていない人々で少し蛍光が違う。これは、アフリカではネアンデルタールやデニソワ人との混血が起きていないことや、オーストラリアに行った人たちは渡ったあと他の系統との混血が無かったので理由がつけられる。
なにぶん古い骨は数もそんなに多くないので、当時の全世界の状況かどうかは不明だが、分かっていることとして
・分析された中では、ネアンデルタールの血液型は12万年前から絶滅直前の4万年前まで、8万年間変わっていない
・現生人類は多様に分岐、一部はネアンデルタールとの混血で変異を受け継ぎ
・7万年前~4万5000年前くらいにイラン高原で新たな変異の系統が誕生しているので、ここに長くとどまっていた集団がいるらしい
という感じ。
そして、血液型の特性上、「ネアンデルタール人の女性とホモ・サピエンスまたはデニソワ人の男性の組み合わせでは疾患を抱えた子どもが出来やすい」と考えられるという。
これは、おさらいのところに出した過去の研究でも似たようなことを言われている。
また、混血児は遺伝性疾患を抱えるリスクが高かったのでは、という話。
また、「ネアンデルタールと現生人類は確かに混血してたんだけど、Y遺伝子が残っていない」=Y染色体を持つ混血児は遺伝子異常になったのでは? という説もある。
ホモ・サピエンスの側は血液型のバリエーションが多く、うまく型が一致すれば混血児でも生き残れる可能性はあったけど、ネアンデルタール側はそうじゃなかったので、相手の遺伝子を取り込んで存続出来たのはホモ・サピエンス側だけだった…だとすれば、ネアンデルタール絶滅の理由は、「他のホモ族と血液型がマッチしなかった」と言えるのかもしれない。
そして、現生人類が生き残れた理由も、血液型バリエーションが多い=多様性が高いことで、様々な生存に危機を与えるシチュエーションに対応出来たこと、という可能性が出てきた。(血液型のバリエーション=血液の中にある抗体の型が色々ある、ってことなので)
かれこれ7-8年前に、ネアンデルタールとホモ・サピエンスの命運を分けたのは疫病耐性だったんじゃないかなあという説を考えてみたことがあったが、もしかしたら、けっこうイイ線いってたのかもしれないなあ。
ブルー●ックスとかで詳細な解説書が出るといいんだけど。