古代エジプト王の「脅し」の言い回し、「従うものは守るべき民、逆らったら死ね」
適当に論文検索して遊んでたら、面白いものがヒットしたのでメモがわりに。
古代エジプトの歴代の王たちが、どのように脅し文句を碑文に刻んだのか、という話である。
文字が読める人が少ない世界で、警告文を書いたところで読んで意味まで理解できたとは思えない。これはどちらかというと呪詛に近く、文字という形にして「逆らったらどうなるかわかってんだろうな」と脅すことで、敵対者を呪っていたのではないかと思う。
古代エジプトにおける王家の威迫行為の歴史的背(PDF)
https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/record/2000429/files/KU-0040-20170301-10.pdf
まずハトシェプスト女王のもの。
讃えればOK、それ以外の噂話とか悪口を言った人は神に死を与えられるぞ、という両極端な脅し。
次のアクエンアテンのものも似たような雰囲気だ。
教え=アテン信仰を無視する者には神罰がくだり、教えを知る者(受け入れる者、という意味だろう)は愛される。
ラメセス2世のものは、表現に手が込んでいてカッコいい。
エジプトはナイル川が主要な幹線道路であり、生活の上で水路が頻繁に使われた。また、死後の世界でも冥界を流れるナイル川を渡る必要がある。つまり古代エジプト人にとって、船のオールがない とは、手も足も出ない状態を指している。
これも、「聞く者」=素直に従う者は守護するが、無視するならどうなるか分かってんだろうな? という、これまでの支配者たちと同じ構造の脅し文句。
他にも何例か挙がっているが、「従う者には守護者として振る舞う/神々の加護がある、逆らう者には破滅がもたらされる/神々の罰がある」という構造での言い回しがテンプレになっている。脅すだけではなく、従うことによってのメリットも書くというのが重要だったのだろう。要は、どうせ従うわけがないからみんな滅びろ! という類の呪詛ではない。
言葉を向けられている対象は、エジプト国内のし反抗的な勢力や、王権に従わない人々である。
特にハトシェプスト女王やアクエンアテンなどは、女性ファラオだったり一神教の推奨者だったりで、国内から寝猛反発を食らっていただろうから、強い口調の脅しを放つ理由はわかる。ラメセス2世はおそらく、祖先が平民出身だったことから、王家の権威を安定させる必要があったのだろう。
エジプトの王たちが、身内に向けて「逆らうものには罰がある」という脅しを発するのは、何か王権を揺るがす状況があった場合、というのが代表例のようだ。
しかしあれだな、言い回しがどれもカッコいいな。
「おおセクメト、力強い者よ、彼女を嫌悪するものに対して力強くあれ」とか、厨二病心がくすぐられてニコニコしちゃう。王じゃなくても、人生に一度はどこかで使ってみたい。
古代エジプトの歴代の王たちが、どのように脅し文句を碑文に刻んだのか、という話である。
文字が読める人が少ない世界で、警告文を書いたところで読んで意味まで理解できたとは思えない。これはどちらかというと呪詛に近く、文字という形にして「逆らったらどうなるかわかってんだろうな」と脅すことで、敵対者を呪っていたのではないかと思う。
古代エジプトにおける王家の威迫行為の歴史的背(PDF)
https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/record/2000429/files/KU-0040-20170301-10.pdf
まずハトシェプスト女王のもの。
”心のなかで彼女を愛し、毎日彼女を讃える全ての者については、彼は全てのことにおいて幸運となるであろう。
陛下の名に対して話す全ての者については、神がただちに彼に死を与えるであろう”
讃えればOK、それ以外の噂話とか悪口を言った人は神に死を与えられるぞ、という両極端な脅し。
次のアクエンアテンのものも似たような雰囲気だ。
彼(王)は、彼の教えを無視する者に対して彼の力を向け、それを知る者に寵愛を向ける。
教え=アテン信仰を無視する者には神罰がくだり、教えを知る者(受け入れる者、という意味だろう)は愛される。
ラメセス2世のものは、表現に手が込んでいてカッコいい。
”私はラー、国の上にいる天の支配者である。私は彼が行うように、汝のために有益なことを行うであろう。私は聞く者にとってすぐれた守護者である。しかし、私の行為を軽視するいかなる者にも、導きのオールはない。”
エジプトはナイル川が主要な幹線道路であり、生活の上で水路が頻繁に使われた。また、死後の世界でも冥界を流れるナイル川を渡る必要がある。つまり古代エジプト人にとって、船のオールがない とは、手も足も出ない状態を指している。
これも、「聞く者」=素直に従う者は守護するが、無視するならどうなるか分かってんだろうな? という、これまでの支配者たちと同じ構造の脅し文句。
他にも何例か挙がっているが、「従う者には守護者として振る舞う/神々の加護がある、逆らう者には破滅がもたらされる/神々の罰がある」という構造での言い回しがテンプレになっている。脅すだけではなく、従うことによってのメリットも書くというのが重要だったのだろう。要は、どうせ従うわけがないからみんな滅びろ! という類の呪詛ではない。
言葉を向けられている対象は、エジプト国内のし反抗的な勢力や、王権に従わない人々である。
特にハトシェプスト女王やアクエンアテンなどは、女性ファラオだったり一神教の推奨者だったりで、国内から寝猛反発を食らっていただろうから、強い口調の脅しを放つ理由はわかる。ラメセス2世はおそらく、祖先が平民出身だったことから、王家の権威を安定させる必要があったのだろう。
エジプトの王たちが、身内に向けて「逆らうものには罰がある」という脅しを発するのは、何か王権を揺るがす状況があった場合、というのが代表例のようだ。
しかしあれだな、言い回しがどれもカッコいいな。
「おおセクメト、力強い者よ、彼女を嫌悪するものに対して力強くあれ」とか、厨二病心がくすぐられてニコニコしちゃう。王じゃなくても、人生に一度はどこかで使ってみたい。