エジプト:紅海沿岸から金鉱あとが見つかる。 人力で頑張った痕跡だぁ…

エジプトの紅海沿岸、Marsa Alamから大きな金鉱キャンプ跡が見つかったというニュースが流れていたので、メモがわりに。
出土している品からして末期王朝~ローマ支配時代くらいに稼働していたようだ。

A Large Camp Where Gold Was Mined and Processed in Antiquity, Found in Southeastern Egypt
https://www.labrujulaverde.com/en/2025/02/a-large-camp-where-gold-was-mined-and-processed-in-antiquity-found-in-southeastern-egypt/

場所ココ
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ちょうど、少し前に書いた東部砂漠の金鉱についての記事が以下。
このあたりは現代でも小規模な金鉱が多く、谷の奥に分け入って盗掘している民衆がいるらしい。

エジプト東部砂漠で金の「盗掘」が行われている可能性。時代はミイラ取りではなく金鉱探しか
https://55096962.seesaa.net/article/510032126.html

小さな金鉱を掘るのは非効率的なのと、この場所だとナイル川沿いから食料ゃ生活用品を運ばないと作業員が生きていけないのでコストがかさむ。それで、大きな金鉱が枯れたあたりで撤収したのではないかと思う。
現代ならスマホで位置情報を仲間と共有したり、車でぷぃーんと現地まで行ったり、場合によっては太陽光発電で電気機器も使えたりするので、できるので盗掘もしやすくなったのだろうが…。

で、出てきているこちら、これ、鉱石を砕くためのすり鉢ですね。麦をすりつぶすのにも使われていた、いわゆるサドルカーンという道具。
鉱山遺跡だとよく見るやつ。これで一日じゅうごりごりやって金の粒取り出して溶かして精製して…ってやる。大人数でやってたんだな、っていうのがよく分かる量。すり減り具合から、「おつかれさまです」と言いたくなる。

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あと遺物は、作業員が持ってた護符だろうなっていう感じの、パタイコスとか、テラコッタ製の肖像。いわゆるタナグラ人形も混じってそう。タナグラ人形は主にギリシャ系移民が所有するものだが、ギリシャ語遺物も出ているようなので、おそらくエジプト人だけじゃなくギリシャ人作業員もいたのだろう。

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場所が海岸沿いなので、谷で掘り出した金鉱石をここに集積してまとめてある程度まで精製して、船でナイル沿いの都市に送り返していたのかもしれない。いずれにしても、街の規模からしてそこそこ人はいた感じなので、もう少し詳細が分かると面白そうな遺跡だなと思う。