”遺跡”化していく村:過疎化で人が住まなくなったエリアが遺跡の形成過程の参考になる
山登りとかしていると、山あいの村が過疎化で無人家だらけになっている場面はよく見かける。場合によっては車などがそのまま残っていたり、壊れた窓の中にか家財道具が残っているのが見えていたりする。
おそらく相続放棄されたり、誰も関係者が残っていなかったりで放置されているのだろう。
相続放棄のパターンだと、子孫はふもとの便利な町のほうに移住しており、山の中の土地が売れるはずもなく、土地を持っていると固定資産税がかかるので、相続権を手放して家財もそのままにしている、ということになる。
で、それらを眺めていて、ふと気がついた。
これ、料理道具とか生活用品が家の中に丸ごと残ってるパターンの遺跡の形成過程だ…。
住居跡の遺跡が出てきた場合、「中身が残ってる」「残ってない」でパターンが分かれる。
通常は、住民が家財道具を持って引っ越すか、前の住民が居なくなったあとで次にやって来た住民が残っているものを使うので、家の中に家財道具は残らない。
戦争などで取るものもとりあえず住民が逃げた場合でも、そのあと火をかけられたり、町が徹底的に破壊されたりしない限り、生活用品は残らない。生き残りが戻ってきて残っているものを回収するか、後からやって来た人たちが残りものを転用するのだ。
なので、遺跡の中に家財道具が残るケースは、非常に限られる。
中身が残ってる事例だと以下のような感じだ。
・季節で移住する生活をしていて、一時的なキャンプを複数持っていた場合に、使われなくなったキャンプに道具がそのままになっていることがある(農耕開始直後のアナトリアで見られるものなど)
・天災、気候変動などで住めなくなり、再度町を作ることなく放棄された(ポンペイが代表例)
・政治的な理由で放棄されたあと、しばらく再居住者がいなかった間に埋もれた(アマルナが代表例)
これ以外のパターンを想定していなかったのだが、今回、「急激な人口減」という現象が起きた場合でも、家財道具を残したままの住居跡が遺跡になる可能性はあるなあ、と思い至ったのだ。
たとえば、疫病の蔓延とか、遺伝病持ちの一族で結婚を繰り返して血統が限界になって少子化するパターン、政治用不安などで地域が孤立して集団移住が発生した場合などが考えられる。
人口が急激に減り、家財道具の量 > 必要量 になり、転用や売却するだけの需要もなくなれば、不要になったものはその場に放置される可能性が高くなる。
いったん過疎化で集落が放棄され、次にまた同じ場所に人が住み始めるまでに数百年とかブランクが発生すれば、前の住居跡は遺跡となって埋もれる。不要になった住居の全てを壊すのは手間がかかりすぎるので、現実問題として、そのままになることも多いだろう。
いまの日本の地方で起きている過疎化、無人化は、言い換えると「遺跡が作られていく過程」とも言えるのだ。
山あいの放置された日本家屋の庭には、古びたトラクターや農業用の道具などがそのままになっているのを見かけることもある。
もしもあれらが残ったまま山に埋もれたなら、何百年か経ったあと、かつての日本の民族文化として、遺物として扱われる日があるのかもしれない。
おそらく相続放棄されたり、誰も関係者が残っていなかったりで放置されているのだろう。
相続放棄のパターンだと、子孫はふもとの便利な町のほうに移住しており、山の中の土地が売れるはずもなく、土地を持っていると固定資産税がかかるので、相続権を手放して家財もそのままにしている、ということになる。
で、それらを眺めていて、ふと気がついた。
これ、料理道具とか生活用品が家の中に丸ごと残ってるパターンの遺跡の形成過程だ…。
住居跡の遺跡が出てきた場合、「中身が残ってる」「残ってない」でパターンが分かれる。
通常は、住民が家財道具を持って引っ越すか、前の住民が居なくなったあとで次にやって来た住民が残っているものを使うので、家の中に家財道具は残らない。
戦争などで取るものもとりあえず住民が逃げた場合でも、そのあと火をかけられたり、町が徹底的に破壊されたりしない限り、生活用品は残らない。生き残りが戻ってきて残っているものを回収するか、後からやって来た人たちが残りものを転用するのだ。
なので、遺跡の中に家財道具が残るケースは、非常に限られる。
中身が残ってる事例だと以下のような感じだ。
・季節で移住する生活をしていて、一時的なキャンプを複数持っていた場合に、使われなくなったキャンプに道具がそのままになっていることがある(農耕開始直後のアナトリアで見られるものなど)
・天災、気候変動などで住めなくなり、再度町を作ることなく放棄された(ポンペイが代表例)
・政治的な理由で放棄されたあと、しばらく再居住者がいなかった間に埋もれた(アマルナが代表例)
これ以外のパターンを想定していなかったのだが、今回、「急激な人口減」という現象が起きた場合でも、家財道具を残したままの住居跡が遺跡になる可能性はあるなあ、と思い至ったのだ。
たとえば、疫病の蔓延とか、遺伝病持ちの一族で結婚を繰り返して血統が限界になって少子化するパターン、政治用不安などで地域が孤立して集団移住が発生した場合などが考えられる。
人口が急激に減り、家財道具の量 > 必要量 になり、転用や売却するだけの需要もなくなれば、不要になったものはその場に放置される可能性が高くなる。
いったん過疎化で集落が放棄され、次にまた同じ場所に人が住み始めるまでに数百年とかブランクが発生すれば、前の住居跡は遺跡となって埋もれる。不要になった住居の全てを壊すのは手間がかかりすぎるので、現実問題として、そのままになることも多いだろう。
いまの日本の地方で起きている過疎化、無人化は、言い換えると「遺跡が作られていく過程」とも言えるのだ。
山あいの放置された日本家屋の庭には、古びたトラクターや農業用の道具などがそのままになっているのを見かけることもある。
もしもあれらが残ったまま山に埋もれたなら、何百年か経ったあと、かつての日本の民族文化として、遺物として扱われる日があるのかもしれない。