古代エジプト(プトレマイオス朝)の香水、メンデシアンについての覚書き
古代都市メンデスは香水が特産で…という話を読んだついでに、その特産だった香水「メンデシアン(Mendesian)」についてメモしておこうと思う。ラテン語ではMendesium。香水が作られたのは、プトレマイオス朝以降の、いわゆるギリシャ・ローマ時代なので、古代エジプトっちゃ古代エジプトなのだが、ファラオの統治した古代からは少し時代がズレている。

香水作成の実験については以下の記事。
Recreating an ancient Egyptian perfume
https://the-past.com/news/recreating-an-ancient-egyptian-perfume/
まず前提だが、メンデスの街はナイルデルタにあり、古代名はジェデト。遺跡名はテル・エル・ルブア(Tell El-Ruba)。
雄羊の姿をした神、バ・ネブ・ジェデトを主神とする。

近くにはトゥムイス(Thmuis )、遺跡名でテル・ティマイと呼ばれる双子都市があり、ナイル川の支流が埋まってメンデスが街として機能しなくなってからは、トゥムイスのほうで香水が作り続けられたという。
この街が香水作りの街になったのは、ナイル下流の港町だったからであり、ナイルの水運を通じて必要な材料を運搬出来たからだという。
使われた材料は以下。
・ミルラ
・カシア(シナモン)
・樹脂
・バラノスの油(ここではモリンガ・オイルが使われている)
バラノスがヤシの油という可能性もあるらしいが、モリンガならエジプトでも取れる。それ以外は輸入品だ。
確かにこれは輸入の盛んな場所、そして高価な香水を消費する裕福な都市市民がいるところでないと作れない…。近くにアレキサンドリアという世界有数の大都市があった時代ならではの贅沢品だろう。
詳しいレシピは残されていないので、実験ではこれらの材料で試行錯誤し、いい香りのする成果物を得られるまで頑張ったらしい。それが正しいレシピかどうかは分からないが、実験で「うまく加熱しないと焦げた匂いがする」とか「処理に失敗するとモリンガ・オイルがすぐ白くなる」とかの成果が得られているのは面白い。つまり何やっても香水になるわけではなく、正しい手順を踏まないと、そもそもいい匂いのするものが作れないのだ。
この香水は5世紀もの間、人気商品だったらしく「古代世界のシャネル5番」という異名まであるらしい。
古代エジプトの伝統的な香水は野生の花を利用したものが多く、シナモンやモリンガ・オイルは食品として使われるのが一般的だったとも推測されるので、もしかしたら、香辛料を香水にぶち込むという発想が革新的だったのでは? などと推測してみる。実際、この香水はかなりスパイシーな香りがするようだし。
シナモンは、エジプトからだとインドまで出向かないと手に入らない。インド方面との交易に力を入れた時代ならではの産物と言えそうだ。

香水作成の実験については以下の記事。
Recreating an ancient Egyptian perfume
https://the-past.com/news/recreating-an-ancient-egyptian-perfume/
まず前提だが、メンデスの街はナイルデルタにあり、古代名はジェデト。遺跡名はテル・エル・ルブア(Tell El-Ruba)。
雄羊の姿をした神、バ・ネブ・ジェデトを主神とする。

近くにはトゥムイス(Thmuis )、遺跡名でテル・ティマイと呼ばれる双子都市があり、ナイル川の支流が埋まってメンデスが街として機能しなくなってからは、トゥムイスのほうで香水が作り続けられたという。
この街が香水作りの街になったのは、ナイル下流の港町だったからであり、ナイルの水運を通じて必要な材料を運搬出来たからだという。
使われた材料は以下。
・ミルラ
・カシア(シナモン)
・樹脂
・バラノスの油(ここではモリンガ・オイルが使われている)
バラノスがヤシの油という可能性もあるらしいが、モリンガならエジプトでも取れる。それ以外は輸入品だ。
確かにこれは輸入の盛んな場所、そして高価な香水を消費する裕福な都市市民がいるところでないと作れない…。近くにアレキサンドリアという世界有数の大都市があった時代ならではの贅沢品だろう。
詳しいレシピは残されていないので、実験ではこれらの材料で試行錯誤し、いい香りのする成果物を得られるまで頑張ったらしい。それが正しいレシピかどうかは分からないが、実験で「うまく加熱しないと焦げた匂いがする」とか「処理に失敗するとモリンガ・オイルがすぐ白くなる」とかの成果が得られているのは面白い。つまり何やっても香水になるわけではなく、正しい手順を踏まないと、そもそもいい匂いのするものが作れないのだ。
この香水は5世紀もの間、人気商品だったらしく「古代世界のシャネル5番」という異名まであるらしい。
古代エジプトの伝統的な香水は野生の花を利用したものが多く、シナモンやモリンガ・オイルは食品として使われるのが一般的だったとも推測されるので、もしかしたら、香辛料を香水にぶち込むという発想が革新的だったのでは? などと推測してみる。実際、この香水はかなりスパイシーな香りがするようだし。
シナモンは、エジプトからだとインドまで出向かないと手に入らない。インド方面との交易に力を入れた時代ならではの産物と言えそうだ。