エジプトのとこ聞きにいってきた。第32回西アジア発掘調査報告会(2日目)メモ

初日の音声トラブルは2日めは直ってた。
というわけで2日めも聞いたとこメモ。午後はエジプトセクションまでで撤退。

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(13)ディルムンを掘る─バハレーン、ワーディー・アッ=サイル考古学プロジェクト

道路の両脇がずーっと古墳、めっちゃ古墳ある。空撮で見るとちょっと気持ち悪いくらい
バーレーン狭いもんなあ…
古墳は7万5千ある、どれ掘ろうか迷うくらい
アアリ古墳群は埋葬室がニ階建てになってるのが謎 19世紀から発掘されてるもので目立つ
アアリより古い王墓がどこかにあったのでは? 前段かもしれないワーデイー・アッ=サイルを掘ってるのは古墳の発展を知りたいから
盗掘穴ないとこ掘ったけど中身壊されてて全然ダメでした…
来年は本命の墓を掘るから結果を楽しみに!

(14)バハレーンにおける水中文化遺産調査のポテンシャル─2020年以降の水中遺跡探査事業について

暑くなってきたし涼しいめの写真多いよ! 水中文化遺産
海と人との関わり
バーレーンはユネスコ批准したけど体制整ってなくて海岸線の開発進んでて遺産保護はあんまされていない(まあ狭い国だから土地が限られてて開発せざるを得ないとこはあるよね…)
ポテンシャルの把握からスタート
地元漁師がいちばんくわしい、水中遺跡はだいたい猟師さんが見つける。伝承を辿って遺跡を探すのは面白そう
海の中の井戸は構造が不思議、メソポタミアでいうエンキの島だなぁ
かつて海洋王国ディルムンのあったとこだから今後いろいろ出てきそうで楽しみ

(15)中世港町の構造を探る─サウジアラビア・紅海沿岸ハウラー遺跡の考古学調査

初期イスラムの時代について調べてる。エジプトから巡礼が来てただろう港町。
ヒトとモノのネットワークのあった場所
アッバース朝勃興した9世紀以降の遺物が多い、13世紀には放棄されていた。水が枯渇したことと、十字軍で物流ネットワークが途切れた可能性
この手の砂漠の海沿いの村だとやっぱ井戸大事だよなー井戸取られたら終わりだから隠すよなうんうん、井戸に毒投げこm(
対岸のエジプトの海沿い集落との構成の比較も楽しいかもしれない
土器がシリアやエジプトのものに似ている

(16)イスラーム墓碑の保存─バハレーンにおける3次元計測調査

タイトル画面 かわ゛い゛い゛ぃ
ぇっ何パワポに写真ベタ貼りの無骨発表群の中に突然現れるハイレベルパワポ。
女子か…?
バーレーンでは、11世紀頃からアラビア語が刻まれた墓碑が墓の目印として利用されるようになった
こんなビッシリ碑文かいてあるもん転用する人いるんだ…転用されてる事例もある

碑文の残りはいいが土壌の塩分で被害を受けているらしい。海沿いの国だしそりゃそうか
墓碑は四角い柱を地面に寝かせた感じで文字が複数の面に刻まれてるので3D画像での保存が有用
126基のスキャンやってデータ保存してる
研究はこれからやる 3Dモデルはsketchfabにアップしてあるらしい(!)

(17)エジプト新王国アメンヘテプ3世治世末期の大型岩窟墓(TT47)と周辺の岩窟墓の調査研究─エジプト、アル=コーカ地区、2024年・第15次調査─

墓のクリーニングの話。いつもどおりといえばいつもどおり…
近くで出てきたアメンエムハト1世の教訓のオストラカは残りが良かった

(18)エジプト、サッカラ・ネクロポリスの展開を探る─エジプト、第8次北サッカラ遺跡調査

この見慣れたフォント…Windowsのペイントで書いたやつだァーッ!
サッカラの写真去年の使いまわしのとこあったなションボリ 新しい資料…新しい資料ください…
簀巻きの子どもの埋葬…簀巻き…簀巻きか… 副葬品ないと年代不明 まあそうね
2-3王朝の古い墓もまあまあ残ってる
昔からの墓地なので墓の時代幅が広い。

(19)前1千年紀の民衆の生活─エジプト・アコリス遺跡の調査

「観光客こない!世界遺産でもなんでもない!アコリスです!!」←???
文化遺産の世界を読んでねとのこと
https://www.isan-no-sekai.jp/list/vol39

亜麻布の糸くずめっちゃ出てきた。工房関連の堆積
発掘したのは生活感のないエリアだった
地面が家畜の屎尿で固まってる場所は家畜小屋の可能性、家畜の屎尿とか分かるんだな…
いまは民間信仰で妊娠祈願の対象になってる神殿エリア、エジプトあるあるだけどアッラー以外に祈るのいいんだ…。

(20)ヘレニズム村落の構造を探る─エジプト・イドゥク湖沿岸コーム・アル=ディバーゥ遺跡の発掘調査

建物の上の部分が全く残ってないので、土台部分から建物を推測するしかない。建築士を呼んできてやってる
アレキサンドリアを中心としたアレキサンドリア古典学では海の方を見てることが多いので、裏側の湖のほうとか内陸はあんま研究されてない。そこを研究してる
ナイル沿いの低湿地は増水がきたあとは豊かな土壌で農業できたが、川沿いの湖の湿地帯は塩分濃度が高いのでそれが出来なかったはず。農地むきではないエリア
(とはいえ汽水湖なので気仙沼的な生活は出来たんじゃないのか? 他にあんまない条件の土地なので、特産物とかありそう)

いま「わけのわからない」って言おうとしました?w
街の構造として古い時代のものが下に隠れてるかも
遺跡の写真が見事に地面の真っ平らで、建物の上部構造残ってないっていうのはマジ。周囲は畑なので長年のうちに削られちゃったぽい。こんな平らな遺跡滅多に見ないぞ
それでもツボとか掘り出してるのが逆にすごいな

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今回見てて思ったのは、若手の先生ほど資料の作り方がうまいのと、講演としても時間配分とかが上手いなってとこ。
ベテラン勢の年配の先生の中には、パワポが見づらい・写真と説明があまり合ってない・喋り方にメリハリがなく伝統的な(?!)眠たくなる大学講義、という方も何人か…。あと考古学って本来はITとの親和性高くてポテンシャルもあるジャンルだと思うんですが、ITの利便性を活かしてる人とそうじゃない人で別れてる印象でした。

今年も春の恒例行事が終わったので、これで中の人は心置きなく年度末の残作業に戻れます…
オツカレサマデシタ