ツタンカーメン墓から見つかった杖は、オシリスとして再生復活する儀式のためのもの? →説としては面白いが立証するのは難しい
ツタンカーメンの墓からは、黄金製品など、よく取り上げられるもの以外にも、バスケットや箱、陶器など、あまり目立たない品がたくさん出ている。それらが、実は葬儀に使われた儀式用の道具だったのでは、という論文が出ていた。
呼んでみた感じ、着眼点としては面白いのだが、思いつきの域を出ておらず、証明するのが難しい説だなぁ…と思った。
★概要に関する記事
New Study Reveals Forgotten Ritual in King Tutankhamun’s Tomb, a Century After Its Discovery
https://greekreporter.com/2025/03/26/forgotten-ritual-king-tutankhamun-tomb/
Mysterious artifacts from King Tut's tomb might have been used in 'awakening Osiris' ritual
https://www.livescience.com/archaeology/ancient-egyptians/mysterious-artifacts-from-king-tuts-tomb-might-have-been-used-in-awakening-osiris-ritual
★元論文
These Thy Libations, Osiris! A Reconsideration of the Four Clay Troughs from the Tomb of Tutankhamun (KV62)
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/03075133251322798
タイトルにあるとおり、ツタンカーメン墓から出ている4つの土製の器と杖が、ミイラがオシリスとして蘇るための儀式に使われたものではないか、という話。
死者がオシリス神になぞらえられたのは既知の事実で、ツタンカーメン墓の壁画にもオシリスとして描かれたツタンカーメンと、死後の復活のための「口開けの儀式」を行う次の王アイの姿が描かれている。だが、オシリスに儀式の酒を捧げる場面は描かれていない。4つの器と4本の杖がセットになっていたのか、単に呪術的な意味合いで置かれたのではなく儀式のあとに埋葬されたのか、何も証拠がない。
後世に行われた儀式から想像するにしても、「でもその儀式が第18王朝のこの時点からあったかどうかわかんないっすよね?」…で終わっちゃうしなあ。
ツタンカーメンの在位は、アクエンアテンの無理な宗教改革に対する反動から、古風な儀式や伝統を復活させようとした時代ではある。それは分かる。が、壁画に存在していて、行われたことが確実だろう「口開けの儀式」以外に、さらに複雑な復活の儀式が行われたと言えるかどうかは微妙。
説としては面白いんだけどね…という感じ。
とはいえ、目立たない副葬品にも何か意味があったかもしれないという着眼点はいいと思うので、一部の副葬品だけでなく全体の品を見回して整合性が取れる内容なら可能性は高くなるんじゃないかと思う。
呼んでみた感じ、着眼点としては面白いのだが、思いつきの域を出ておらず、証明するのが難しい説だなぁ…と思った。
★概要に関する記事
New Study Reveals Forgotten Ritual in King Tutankhamun’s Tomb, a Century After Its Discovery
https://greekreporter.com/2025/03/26/forgotten-ritual-king-tutankhamun-tomb/
Mysterious artifacts from King Tut's tomb might have been used in 'awakening Osiris' ritual
https://www.livescience.com/archaeology/ancient-egyptians/mysterious-artifacts-from-king-tuts-tomb-might-have-been-used-in-awakening-osiris-ritual
★元論文
These Thy Libations, Osiris! A Reconsideration of the Four Clay Troughs from the Tomb of Tutankhamun (KV62)
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/03075133251322798
タイトルにあるとおり、ツタンカーメン墓から出ている4つの土製の器と杖が、ミイラがオシリスとして蘇るための儀式に使われたものではないか、という話。
死者がオシリス神になぞらえられたのは既知の事実で、ツタンカーメン墓の壁画にもオシリスとして描かれたツタンカーメンと、死後の復活のための「口開けの儀式」を行う次の王アイの姿が描かれている。だが、オシリスに儀式の酒を捧げる場面は描かれていない。4つの器と4本の杖がセットになっていたのか、単に呪術的な意味合いで置かれたのではなく儀式のあとに埋葬されたのか、何も証拠がない。
後世に行われた儀式から想像するにしても、「でもその儀式が第18王朝のこの時点からあったかどうかわかんないっすよね?」…で終わっちゃうしなあ。
ツタンカーメンの在位は、アクエンアテンの無理な宗教改革に対する反動から、古風な儀式や伝統を復活させようとした時代ではある。それは分かる。が、壁画に存在していて、行われたことが確実だろう「口開けの儀式」以外に、さらに複雑な復活の儀式が行われたと言えるかどうかは微妙。
説としては面白いんだけどね…という感じ。
とはいえ、目立たない副葬品にも何か意味があったかもしれないという着眼点はいいと思うので、一部の副葬品だけでなく全体の品を見回して整合性が取れる内容なら可能性は高くなるんじゃないかと思う。