フェニキア人が来る以前のモロッコはどうだった？ より古い時代の遺跡の発掘リザルト

モロッコの沿岸部にあるKach Kouchという場所で近年発掘が行われているのだが、だいぶ掘り下げが進んで、その地点に人が住んだ最古の証拠は紀元前2,200年頃まで遡るという結果が出たそうだ。
この地点はのちにフェニキア人がやってきてカルタゴの勢力圏に入るのだが、それ以前から少数の人は住んでおり、文化が入れ替わる様子が見て取れるようだ。

Discovery of a 4,000-year-old Bronze Age settlement in Morocco rewrites history
https://theconversation.com/discovery-of-a-4-000-year-old-bronze-age-settlement-in-morocco-rewrites-history-253172

※発掘PJのページは以下

Kach Kouch archaeological project
https://archeokachkouch.wordpress.com/



遺跡の位置


カルタゴの勢力圏


遺跡の層分け


いちばん古い紀元前2200～2000年の層からは牛の骨やフリント石器など少数の遺物しか出ておらず、この時点ではまだ定住が開始されていなかった可能性があるという。

また、定住が確実に始まったのが紀元前1300年頃で、この頃には農耕+牧畜の組み合わせで暮らしていた形跡があるにしい。ただし住民は100人未満で、おそらく小さな村しかない。
栽培作物は小麦、大麦、豆類、飼育していたのは牛、羊、山羊、豚。要するにフルセット。

紀元前8世紀～7世紀ごろに生活様式が変わり始め、おそらくフェニキア人との交流が始まっている。で、紀元前6世紀ごろに集落は放棄。
住民はどこかへ移住してしまったと考えられる。
なので、まあファニキアに上書きされたというか、統治体制に組みこまれていったんだろうな…という感じ。
住民は地元民で、今もそのへんに暮らしてる人たちの祖先だったのかもしれない。

宣伝されているように「アフリカの歴史を書きかえる！」までは行かないかもしれないが、北アフリカで、フェニキア人が移住してくる以前の遺跡ってあんまり聞かないから、確かにこれは面白い発見かもしれない。