本の読み方:最初にタイトルと「流れ」を理解してから頭にいれると楽という話
若者の読書離れ、とか言われて久しいが、本一冊を通読することが難しい人は多いらしい。本の内容にもよると思うんだけど、難しい本とか専門書は途中で力尽きるという話も聞く。
そこで自分がやっている読み方のコツみたいなものを書いて置こうと思う。
まずは本のタイトルと各章の見出しを確認する。
簡単だが、これがコツになる。
タイトルと章立てを見るのは、「この本は何をテーマとしていて、何を書こうとしているのか」、「どういう順番で説明しようとしているのか」という、いわばあらすじみたいなものを最初に確認し大枠を掴むためだ。私はよく本のタイトルや章の並びにツッコミ入れてることがあるが、内容に対する最初の取っ掛かりであるタイトルや章のラベルづけが適切でないと、最初に掴んだ大枠と読んだ内容がズレてしまい、読んだあとに情報がすっきり整理出来ないからである。
専門書だと、冒頭で「第一章ではxxを説明し、続く第二章ではxxを説明する」みたいに章立ての理由を説明してくれていることも多い。
もし、すでに自分のよく知ったジャンルの本を読むつもりで、必要な情報のある場所にだけてっ手っ取り早くたどり着きたいのなら、この冒頭の説明を読んでいきなり目的の章に飛んでも良い。
そして、読みながら次にやるべきことは、各章の内容を数行でまとめる。
本タイトルと章立てが上手くいっているのなら、各章の要約が出来た時点で、頭の中には本の内容がコンパクトに収まる。本の内容を全部覚えるのは不可能だが、どの本に何の内容がどう並んでたのかラベルづけして覚えておければ、次に「そういやxxって何だっけな…」とか気になった時に、覚えている頭の中のインデックスから必要な本を呼び出して探し出せる。
これで、どんなに大量の本を読んでも、ただ読み流しただけにはならず、何かが自分の中に残ることになる。
*******
では実際にやってみよう。たまたま目の前にあった「暗殺教団」という本。
これは外国語からの翻訳書によくある、ワンセンテンスがやたら長かったり気取った言い回しが多いタイプの独特のねちっこさを感じる本で若干読みづらいが、章立ての構造としてはわかりやすい。

暗殺教団 「アサシン」の伝説と実像 (講談社学術文庫 2649) - バーナード・ルイス, 加藤 和秀
サブタイトルは『「アサシン」の伝説と実像』。本の内容と一致しておりタイトルの付け方は妥当。
第一章「アサシンの発見」
これは伝説として記録に残された暗殺教団やアサシンについての内容。そして彼らについての研究史。
かつて信じられていた虚構は今ではもはや信じられておらず、恐ろしい評判や伝説は史実とは異なるという話でしめくっている。
第二章「イスマーイール派」
暗殺教団と呼ばれることになる集団はイスラム教の一派イスマーイール派と関連している。まずイスマーイール派とは何か、シーア派スンニ派との違いは何か、といった宗教の中の宗派の説明をしている。イスマーイール派が危機に陥った時、ターニング・ポイントとなるハサンという人物が登場する。
第三章「新教説」
ハサンの経歴、どのようにして彼が新しい教義を編み出し、世界に革命を起こそうとしたのかという流れ。また「暗殺」という手段がどのように正当化されていったのかという部分の説明。いわば暗殺教団の教義の誕生についてを説明している。
第四章「ペルシアにおける布教」
ハサンの思想が成功をおさめ、ペルシア(イラン)へと布教されていた全盛期の話と、ハサンの後継者たちについて。そしてペルシアでの彼らの根絶に至る情勢変化の話。
第五章「山の老人」
ここはあまり章タイトルの付け方が良くない。シリアでの布教と数々の暗殺記録について。また十字軍との接触の歴史。シリアの山間の城を拠点としたことから伝説上の暗殺教団の指導者「山の老人」が生まれたという話。有名なサラディン暗殺未遂事件なども登場する。
第六章「手段と目的」
これは章タイトルどおり。彼らがなぜ暗殺を手段としたのか、目的とは何だったのかというまとめ。革命的思想を暗殺によって成就させようとしたがまぁムリでした。最終的に彼らは全ての拠点を失って生き残りは農民になっていきました…という結末。
おそらく著者が一番書きたかったのはこの章だと思う。
一章から五章までで歴史や概要を説明した上での、結局彼らは何を為し、何を成せなかったのかという部分や、彼らが敵対したものとは何だったのか、という総括になっている。
*******
これで、本をただ読んだだけではなく「内容の概要は頭に入った」と言うことが出来るようになる。
たとえ自分が全く知らないジャンルの本であっても、そのジャンルの本何冊かに同じことを繰り返せば、まあだいたいの概要は掴めると思う。
内容がとっちらかっていて要約のしようがないとか、本のタイトルと内容や章立てが上手くいっていないとか、何を書こうとしているのかサッパリわからず最後の章までいっても著者の書きたかったものが分からないとか言う本はゴミ、もしくは自分には無用なもの。一定確率で出くわすけど。頭の中に「二度と読むな」のラベルをつけて本タイトルだけ格納しておく感じ。あまりにひどいと最後まで読まずに途中で諦める。時間は有限だし、読みたい本は山程在るので…。
なお、ここで書いた本の読み方は、大学のときに所属していたゼミの教授から、卒論を書く段になって教わった。専門書や論文を何冊か読まなければならなかったのだが、そのやり方を教えてくれたのである。
特に個人的なつながりがあったというわけでもなく、卒業後はやりとりもしていないのだが、あの先生に教わった「インプット」「アウトプット」のやり方は今でも役に立っている。ダラダラ長いだけの文章に意味はない、「簡にして要」、簡潔に要点をまとめろ、というコツとかも。
ビジネス文書作る時も役に立ってる。
最近ではAIに頼る人もいるようだが、文章の読み方・書き方は訓練したほうがいいと思うんだよ。自分で要約するのとAIに要約させるのでは、情報が頭に入る精度も変わってくるしね。
そこで自分がやっている読み方のコツみたいなものを書いて置こうと思う。
まずは本のタイトルと各章の見出しを確認する。
簡単だが、これがコツになる。
タイトルと章立てを見るのは、「この本は何をテーマとしていて、何を書こうとしているのか」、「どういう順番で説明しようとしているのか」という、いわばあらすじみたいなものを最初に確認し大枠を掴むためだ。私はよく本のタイトルや章の並びにツッコミ入れてることがあるが、内容に対する最初の取っ掛かりであるタイトルや章のラベルづけが適切でないと、最初に掴んだ大枠と読んだ内容がズレてしまい、読んだあとに情報がすっきり整理出来ないからである。
専門書だと、冒頭で「第一章ではxxを説明し、続く第二章ではxxを説明する」みたいに章立ての理由を説明してくれていることも多い。
もし、すでに自分のよく知ったジャンルの本を読むつもりで、必要な情報のある場所にだけてっ手っ取り早くたどり着きたいのなら、この冒頭の説明を読んでいきなり目的の章に飛んでも良い。
そして、読みながら次にやるべきことは、各章の内容を数行でまとめる。
本タイトルと章立てが上手くいっているのなら、各章の要約が出来た時点で、頭の中には本の内容がコンパクトに収まる。本の内容を全部覚えるのは不可能だが、どの本に何の内容がどう並んでたのかラベルづけして覚えておければ、次に「そういやxxって何だっけな…」とか気になった時に、覚えている頭の中のインデックスから必要な本を呼び出して探し出せる。
これで、どんなに大量の本を読んでも、ただ読み流しただけにはならず、何かが自分の中に残ることになる。
*******
では実際にやってみよう。たまたま目の前にあった「暗殺教団」という本。
これは外国語からの翻訳書によくある、ワンセンテンスがやたら長かったり気取った言い回しが多いタイプの独特のねちっこさを感じる本で若干読みづらいが、章立ての構造としてはわかりやすい。

暗殺教団 「アサシン」の伝説と実像 (講談社学術文庫 2649) - バーナード・ルイス, 加藤 和秀
サブタイトルは『「アサシン」の伝説と実像』。本の内容と一致しておりタイトルの付け方は妥当。
第一章「アサシンの発見」
これは伝説として記録に残された暗殺教団やアサシンについての内容。そして彼らについての研究史。
かつて信じられていた虚構は今ではもはや信じられておらず、恐ろしい評判や伝説は史実とは異なるという話でしめくっている。
第二章「イスマーイール派」
暗殺教団と呼ばれることになる集団はイスラム教の一派イスマーイール派と関連している。まずイスマーイール派とは何か、シーア派スンニ派との違いは何か、といった宗教の中の宗派の説明をしている。イスマーイール派が危機に陥った時、ターニング・ポイントとなるハサンという人物が登場する。
第三章「新教説」
ハサンの経歴、どのようにして彼が新しい教義を編み出し、世界に革命を起こそうとしたのかという流れ。また「暗殺」という手段がどのように正当化されていったのかという部分の説明。いわば暗殺教団の教義の誕生についてを説明している。
第四章「ペルシアにおける布教」
ハサンの思想が成功をおさめ、ペルシア(イラン)へと布教されていた全盛期の話と、ハサンの後継者たちについて。そしてペルシアでの彼らの根絶に至る情勢変化の話。
第五章「山の老人」
ここはあまり章タイトルの付け方が良くない。シリアでの布教と数々の暗殺記録について。また十字軍との接触の歴史。シリアの山間の城を拠点としたことから伝説上の暗殺教団の指導者「山の老人」が生まれたという話。有名なサラディン暗殺未遂事件なども登場する。
第六章「手段と目的」
これは章タイトルどおり。彼らがなぜ暗殺を手段としたのか、目的とは何だったのかというまとめ。革命的思想を暗殺によって成就させようとしたがまぁムリでした。最終的に彼らは全ての拠点を失って生き残りは農民になっていきました…という結末。
おそらく著者が一番書きたかったのはこの章だと思う。
一章から五章までで歴史や概要を説明した上での、結局彼らは何を為し、何を成せなかったのかという部分や、彼らが敵対したものとは何だったのか、という総括になっている。
*******
これで、本をただ読んだだけではなく「内容の概要は頭に入った」と言うことが出来るようになる。
たとえ自分が全く知らないジャンルの本であっても、そのジャンルの本何冊かに同じことを繰り返せば、まあだいたいの概要は掴めると思う。
内容がとっちらかっていて要約のしようがないとか、本のタイトルと内容や章立てが上手くいっていないとか、何を書こうとしているのかサッパリわからず最後の章までいっても著者の書きたかったものが分からないとか言う本はゴミ、もしくは自分には無用なもの。一定確率で出くわすけど。頭の中に「二度と読むな」のラベルをつけて本タイトルだけ格納しておく感じ。あまりにひどいと最後まで読まずに途中で諦める。時間は有限だし、読みたい本は山程在るので…。
なお、ここで書いた本の読み方は、大学のときに所属していたゼミの教授から、卒論を書く段になって教わった。専門書や論文を何冊か読まなければならなかったのだが、そのやり方を教えてくれたのである。
特に個人的なつながりがあったというわけでもなく、卒業後はやりとりもしていないのだが、あの先生に教わった「インプット」「アウトプット」のやり方は今でも役に立っている。ダラダラ長いだけの文章に意味はない、「簡にして要」、簡潔に要点をまとめろ、というコツとかも。
ビジネス文書作る時も役に立ってる。
最近ではAIに頼る人もいるようだが、文章の読み方・書き方は訓練したほうがいいと思うんだよ。自分で要約するのとAIに要約させるのでは、情報が頭に入る精度も変わってくるしね。