エジプト・サッカラから第5王朝の王子の墓が見つかる。(後世に再利用済み)

エジプト・サッカラの発掘現場から、第5王朝さいしょの王ウセルカフの王子の墓が出てきたとのこと。
発掘監督がザヒ・ハワス博士ということで、エジプトさん速攻で大々的に宣伝してきてます。ちなみに外国人が発掘監督だった場合はエジプト政府が適当な時に発表するので、他に発表したいことがある場合はしばらく塩漬けにされてタイムラグが出ます。独裁国家あるあるですね。


ウセルカフ王はメンカウラー王の娘婿と考えられており、祖父はクフ王の息子の一人とされる。なので王朝は区切られてるけど第4王朝の系譜。

ウセルカフ王と王妃のピラミッドはサッカラにあるので、息子の墓がサッカラにあるのは妥当。ただピラミッド作ってた時代って4,500年くらい前なんで、その時代の墓がまだ埋もれてんのかいっていうのは驚き。
あんだけ発掘しまくって、盗掘もされてんのにまだ出てくるんだ…。

Tomb of prince Waser-If-Re unearthed in Saqqara
https://english.ahram.org.eg/NewsContent/9/40/544833/Antiquities/Ancient-Egypt/Tomb-of-prince-WaserIfRe-unearthed-in-Saqqara.aspx

面白いのが「偽扉」と呼ばれる魂の通り道となる扉の前に、丸い平たい石が埋め込まれていること。こういう形式の偽扉って見た覚え無いな…何か文字が書かれているようだし、呪術的なものなのかも。石組みはきれいに残ってる。





ただし墓の中身はカラッポで、第26王朝のものと思われる黒い石の像が出ていることから、この墓は後世に再利用されていたと考えられている。
その後世の再利用の被葬者も残っていないので、最初の埋葬から何度か盗掘を受けてるってこと。そもそも墓の上部の石も残ってないですしね。もとはマスタバ型だつたはずなので、地上に出てる部分の石も再利用されちゃったのかと。

あとジェセル王と10人の（！）娘たちの像が何故かこの墓から出てるというのも謎だな…。
作られた当時はジェセル王の階段ピラミッド近くの部屋に安置されていたはずのものが、のちにこの王子の墓に移動させているらしいので、もしかしたら過去の王家との繋がりを示すためのものとかだったのかも。



サッカラは古代から現代に至るまでずっと墓所で、川からも離れているため、上に村とか集落が作られなかったのが幸いして遺跡の残りがとてもいい。まだ埋もれてる遺跡はありそうなので楽しみといえば楽しみだし、「発掘したところで、今のエジプトさんに全部ちゃんと管理する予算と人手なくない？」みたいなのもちょっと心配なところではある。