カナダ・オンタリオ州で謎のルーン文字の刻まれた石が発見される→1800年代スウェーデン人労働者が刻んだ?
2018年、カナダのオンタリオ州北部で、ルーン文字の刻まれた謎の石が発見された。
ハドソン湾に面した地域での発見となれば、すわヴィンランド・サガか、と言いたくなるところだが、どうもバイキングの残したものにしては新しすぎるぞ。
というわけで調査されていたのだが、結論、1800年代にこの地域にいたスウェーデン人の労働者が、ルーン文字をアルファベットとして使い、「主の祈り」を刻んだものだろう、という。これはなかなか興味深い結果。というか、さすが本職、よく突き止められるな…という感じ。
Mysterious carving found in northern Ontario wilderness
https://www.cbc.ca/news/canada/sudbury/archeological-discovery-runestone-northern-ontario-1.7558069


前提知識として、ルーン文字一式は、アルファベットとして使うことが出来、アルファベットの「ABC」、日本語でいう「あいうえお」に該当する呼び名として、最初の4文字を取って「フサルク」と呼ばれる。
このフサルクは時代ごとに変遷がある。また北欧各国でも形が若干違っていたりするので、そこから「これを刻んだのはたぶんスウェーデン人」と特定しているのだと思う。
※フサルクについての簡単な解説
http://www.moonover.jp/2goukan/north-s/rune6.htm
また、使われている言語も英語ではなく、1611年のスウェーデン語版の「主の祈り」で、それも再出版されたものを刻んだらしいことまで突き止められている。なかなか面白い。
なお、この石碑の近くにはかつてカナダのハドソン湾会社が経営する交易所があったそうで、スウェーデン人労働者を雇っていた記録もあるそうだ。彼らが故郷を思って作ったものなのだろうか。
と、作られた年代や作った人の素性はだいたい分かるのだが、問題は、「なんでこんなの作ったの?」というところ。スウェーデン人コミュニティの集会所だった可能性もあるが、遺物などは発見されておらず、作られたあとで故意に埋められた形跡もあるという。
気になるのは、すぐ隣に16人が乗った船の絵と14個のX印が刻まれているというところ。
☓というよりは十字架の形にも見るので、もしかしたら、同じ時期にやってきた16人のスウェーデン人労働者のうち14人が亡くなって、そのことを悼んだ残り2人による「墓標」のようなものだったのかもしれない。

北欧におけるルーン石碑は、その多くが死者の栄光を讃え、後世に伝えるためのものである。
バイキング行に出て、遠く異国に没した家族についてのものが最も多く、名前と生前の偉業を讃え、故郷に残された家族がたてるのが一般的。
この石碑に刻まれているのはキリスト教の祈りだし、建てられている場所も故郷から遠く離れた異国の地だが、なんとなく、込められた思いは同じなのではないかと思った。
なお、ルーン文字に関する入門書としては、いにしえの名著「ルーン文字研究序説」が最近復刊されたので、興味のある人は絶対買いましょう。こんなありがたい本めったに出ないよ! 資料集めに死ぬほど苦労したうちらの世代からしたら、こんな簡単に初心者レベルの知識ひととおり周れる本がある時代とか、羨ましすぎるんだよ!
令和の時代にいにしえの名著が帰ってきた。「ルーン文字研究序説」
https://55096962.seesaa.net/article/495376430.html
*****
[>あとオマケ。過去に書いた、ルーン関連の記事。
ルーン石碑の掘り方の癖から作者が分かる? ハラルド青歯王の石碑から
https://55096962.seesaa.net/article/501038440.html
アイスランドで最初に焼かれた「魔女」は男性だった。ルーン文字を巡る誤解の悲劇とは
https://55096962.seesaa.net/article/495530226.html
「最古級のルーン文字石碑」、ノルウェーで発見される。だいたい2000年くらい前
https://55096962.seesaa.net/article/497042318.html
息子を悼むヴァイキングの詩の意味は? レーク石碑と冬の時代
https://55096962.seesaa.net/article/202001article_10.html
ハドソン湾に面した地域での発見となれば、すわヴィンランド・サガか、と言いたくなるところだが、どうもバイキングの残したものにしては新しすぎるぞ。
というわけで調査されていたのだが、結論、1800年代にこの地域にいたスウェーデン人の労働者が、ルーン文字をアルファベットとして使い、「主の祈り」を刻んだものだろう、という。これはなかなか興味深い結果。というか、さすが本職、よく突き止められるな…という感じ。
Mysterious carving found in northern Ontario wilderness
https://www.cbc.ca/news/canada/sudbury/archeological-discovery-runestone-northern-ontario-1.7558069
前提知識として、ルーン文字一式は、アルファベットとして使うことが出来、アルファベットの「ABC」、日本語でいう「あいうえお」に該当する呼び名として、最初の4文字を取って「フサルク」と呼ばれる。
このフサルクは時代ごとに変遷がある。また北欧各国でも形が若干違っていたりするので、そこから「これを刻んだのはたぶんスウェーデン人」と特定しているのだと思う。
※フサルクについての簡単な解説
http://www.moonover.jp/2goukan/north-s/rune6.htm
また、使われている言語も英語ではなく、1611年のスウェーデン語版の「主の祈り」で、それも再出版されたものを刻んだらしいことまで突き止められている。なかなか面白い。
なお、この石碑の近くにはかつてカナダのハドソン湾会社が経営する交易所があったそうで、スウェーデン人労働者を雇っていた記録もあるそうだ。彼らが故郷を思って作ったものなのだろうか。
と、作られた年代や作った人の素性はだいたい分かるのだが、問題は、「なんでこんなの作ったの?」というところ。スウェーデン人コミュニティの集会所だった可能性もあるが、遺物などは発見されておらず、作られたあとで故意に埋められた形跡もあるという。
気になるのは、すぐ隣に16人が乗った船の絵と14個のX印が刻まれているというところ。
☓というよりは十字架の形にも見るので、もしかしたら、同じ時期にやってきた16人のスウェーデン人労働者のうち14人が亡くなって、そのことを悼んだ残り2人による「墓標」のようなものだったのかもしれない。
北欧におけるルーン石碑は、その多くが死者の栄光を讃え、後世に伝えるためのものである。
バイキング行に出て、遠く異国に没した家族についてのものが最も多く、名前と生前の偉業を讃え、故郷に残された家族がたてるのが一般的。
この石碑に刻まれているのはキリスト教の祈りだし、建てられている場所も故郷から遠く離れた異国の地だが、なんとなく、込められた思いは同じなのではないかと思った。
なお、ルーン文字に関する入門書としては、いにしえの名著「ルーン文字研究序説」が最近復刊されたので、興味のある人は絶対買いましょう。こんなありがたい本めったに出ないよ! 資料集めに死ぬほど苦労したうちらの世代からしたら、こんな簡単に初心者レベルの知識ひととおり周れる本がある時代とか、羨ましすぎるんだよ!
令和の時代にいにしえの名著が帰ってきた。「ルーン文字研究序説」
https://55096962.seesaa.net/article/495376430.html
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[>あとオマケ。過去に書いた、ルーン関連の記事。
ルーン石碑の掘り方の癖から作者が分かる? ハラルド青歯王の石碑から
https://55096962.seesaa.net/article/501038440.html
アイスランドで最初に焼かれた「魔女」は男性だった。ルーン文字を巡る誤解の悲劇とは
https://55096962.seesaa.net/article/495530226.html
「最古級のルーン文字石碑」、ノルウェーで発見される。だいたい2000年くらい前
https://55096962.seesaa.net/article/497042318.html
息子を悼むヴァイキングの詩の意味は? レーク石碑と冬の時代
https://55096962.seesaa.net/article/202001article_10.html