遭難者が増えてる理由、山小屋で出会う「遭難者予備軍」の人たち

今年の夏山シーズンも超高温で過酷。
一般に高度が100m上がると気温は0.6度下がると言われますが、平地が40度だと標高2,000mでも28度。あんま涼しくなりません。3,000m級の山に挑む場合、標高1,000mからアプローチを開始しても、多少涼しくなるのは最後の最後くらい。

気温が高いと消費する体力が増え、バテやすくもなるので、ここ数年の超高温な夏は過去より難易度が上がっているということです。
これが分かってないと「あれ…いつもならこんなところでバテるはずないのに…」と思いながらぶっ倒れるハメになります。

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というわけで、今年の夏山での事故がハイペースな理由はたぶんコレ。
うんあの、みんな、今までのつもりで来ちゃってるのがダメっす…。もう5年前までの夏ではない。対策しないと歩けない。

今までよりも暑い=消費する水の量も増える、なので水の補給は以前よりこまめにしないといけないし、水を多く持てば当然、荷物の重量も増えるのでペース配分も難しくなる。難易度が上がってるっていうのは、そういうことも含めてという意味。気侯に合わせて気をつけるポイントを変えるのも登山の技術のひとつ。

高山で事故ってる人たち見てると、大半は以下のパターン。

・単純に暑さで消耗が増え、体力不足から行動不能に
・水が足りず軽い熱中症からの痙攣・注意力低下→足が滑って転倒・滑落
・日差しの強さを考慮せず、高いところは涼しいだろうと油断して熱中症

実際に山歩いていると、救助までは呼んでないけど危なそうな人はかなり見かけました…。
「足が動かなくなっちゃったから、ここで30分休憩してるの」とか笑顔で言われたりして、いや、それもう引き返したほうがいいんじゃ? ってなったりとか。

これらの大元の原因は「準備不足」とか「技量不足」。
報道されてる数以上に、ほぼ遭難してる人とか、そのうち遭難しそうな人とかいっぱいいるんで、そりゃ遭難者数も減らんすわ。という感じ。

あんまりにもあんまりなので、今年に入ってから山で出会った嘘みたいな遭難予備軍の人たちを紹介しておきます…。


●地図の読み方を知らない人

山小屋で同室になったおばさまパーティー。「xx岳に行ったら、後ろの人が滑落したの! はじめて通報したわ」までは良かった。
そのあと「でも私、地図なんて読めないから、場所も教えられなくってね。写真を撮って、ヤマレコに上げてみんなに見てもらって場所特定したのよ~!」

怖い。怖すぎる。
なんで自分の現在位置も分からないのに山に登ってるんだ。それ自分が遭難した時も場所言えなくて救助してもらえないやつ…。

聞けばスマホアプリの登山地図は持っているけど読み方は分からない、とのこと。ヤマレコで他の人が登ったレコードだけ見て登ってるっぽかった。
最近多いパターンですが、事前にルートの地形を確認できず、自分の現在位置もわからないまま山に入るのは相当危険だし、万一事故った時の生存率はかなり下がると思います…。


●夕方5時に山小屋に到着した人

山小屋の夕食で同席した人、さっき到着したばかりとのこと。「だけど今日は夕食に間に合ったよ、早く着いた」
え、じゃあ今までは…? と聞いたら、3,000m級の山に登ってはいるものの、毎回、日が暮れるか日暮れ間際に山小屋に到着。
夕焼けが綺麗だった、とか、山小屋に着いたらみんなが拍手で出迎えてくれた、とか感動話みたいに言ってるけど、それ、明らか体力不足だし、ほぼ遭難してます。 

年が年だから遅いんだよねーと悪びれもなく言ってたので、そのうちどこかで事故ると思います…。


●事前情報なしで来ている人

山小屋の受付でなんか揉めてた人。どうやら下山ルートについて何時間かかるか知らないらしく、「xxに降りたいんだけど、何時間かかりますか?」とか聞いてる。
そのルートは今年は残雪が多くて技量がいるので初心者は辞めたほうがいい、時間もかかる、と山小屋の人は必死に止めているのに、「それなら朝早く出ますー、お弁当にしてください」「アイゼンはないけどストックがあるから大丈夫」と意地でも譲らない…。

最終的に山小屋の人の説得(最後はだいぶ怒られていた)で渋々ルート変更したみたいでしたが、あとでずっと「あんなキツくいわなくていいのに」とか愚痴ってました。命を助けてもらった認識はないらしい。

そもそも自分が辿る道の今年のコンディション調べてないとか、何時間かかかるのかさえ分からずに来てるのとかは論外…。
親切な山小屋の人に怒られていなかったら、たぶん遭難してたと思うんですよねアレ…。


こんな感じなんです。こんなにも遭難予備軍がおるんかいと青ざめてしまうんです。
準備万端にしてもトラブることはあるのに…。
準備すらしてないというか準備の概念ない…。

ときどき山小屋の人がSNSでキレてたりしますけど、まあ気持ちは分かります。私も同室でこのテの話してる人とかいたら「うわあ」ってなりますもん。
自分が危ないことをしていると気づいていない人たちがたくさんいて、その中から事故ってニュースになってしまう人が出る、という感じ。

こういうしょうもない理由で事故る人はなんとかして減らしたいですけど、必要な人ほど言葉が届かないんですよね。
どうすればいいんでしょうね…。