気候変動で農業がピンチ? →逆に「農耕始まったせいで気候変動が発生してる」という説も…

今年の夏は雨が降らず、しかもクッソ暑かったせいで、おコメや梨など農作物はだいぶ厳しい状況のようである。
気候変動のせいで農業が影響を受ける、対策せねば、あるいは温暖化対策を頑張らねば、みたいな話はよく聞く。

だが、実は逆で、「農耕技術が誕生したせいで地球環境が変わってしまった」という説もある。
というか考古学界隈だと昔からあるトピックの一つである。

まあちょっと考えてほしいのだが、かつて何もなかった原野だったところが全て畑に変わったとしよう。景観は大きく変化する。数種類の植物だけが生えており、その植物に対し大量の水を消費する。当然、周囲の自然環境は、生物相からして大きく変わってしまうだろう。

しかも畑作は大量の温室効果ガスを発生させる。
日本の場合は水田からの排出が非常に多いとされている。え? と思うかもしれないが、主な問題点は二酸化炭素(CO2)排出量の話ではない。二酸化炭素よりさらに温室効果の高いメタン(CH4)が大量に出てる、という部分なのである。

水田から発生する温室効果ガス(CO2、CH4、N2O)の分析
https://www.an.shimadzu.co.jp/industries/environment/ccus/ccus-01/index.html

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なので農業におけるカーボンニュートラルの取り組みも世界的に行われている。
二酸化炭素の排出を減らすために、という名目で飛行機や自動車は我慢できても、生きていくためにごはんを食べることは我慢できない。というか我慢で済む話でもない。なので、根本的に農業から出る温室効果ガスの削減をしないとどうにもならないのだ。

農業のカーボンニュートラルに向けた取り組み〜持続可能な「食」を可能に~
https://asuene.com/media/359/

論文とかも沢山出ているが、とりあえずひとつ目に止まったもの。

Agriculture's Contribution to Climate Change and Role in Mitigation Is Distinct From Predominantly Fossil CO2-Emitting Sectors
https://www.frontiersin.org/journals/sustainable-food-systems/articles/10.3389/fsufs.2020.518039/full

これらの取り組みがなされる以前、つい最近まで人類は、農耕によって温室効果ガスが大量発生しているなどと知りもしなかった。人口が増えるに従って畑をバンバン増やし、温室効果ガスをバンバン出し、地球をちょっとずつ温めていた…はずなのである。

地球の気候サイクル的に、現在は本来なら寒冷化に向かうはずだと言われている。しかし実際には寒冷化せず、逆の温暖化方向に進んでいる。
もしもこれが人間の活動のせいだとするならば、農耕(そして実際には牧畜も)は重要なファクターの一つになると思われる。

人類が農耕を開始したのは約1万年前のことで、開始のきっかけは「気候が温暖になり、安定したから」とされている。
だが、実際には逆の因果関係も働いていて、「農耕を開始したことにより継続的に温室効果ガスが補充されるようになって気候が安定した」という可能性もある。
本来はとっくに終わっているはずだった温暖期が、大規模に農耕を始めた人類のせいで延長線に突入し、限界突破して気温を上げ続けているのかもしれない。

だとすると、まさに「卵が先か、鶏が先か」という話になってくる。
農業のためにはもう少し涼しく保たれないと困るが、農業やめないと温室効果ガス減らない。
農業やめたら温室効果ガスが減って寒冷化するかもしれないが、農業やめたら人類死んじゃうし本末転倒になる。

状況を打開するには、農業で出る温室効果ガスの削減に役立つ新しい技術を考案するしか無い。
まあ、いつもの人類史です。困った時は知恵で何とかしようぜ! 出来なかったヒト族はみんな滅びたぜ!というやつ。

地球温暖化で何かと悪者にされるのは飛行機とか自動車とか工場とか発電とかなんですが、みんなのごはんも関わってるってことは、ひとつ覚えといてもいいと思います。


※取り上げなかったけど牧畜のほうも気候変動には関わってる
※「牛のゲップ」とかいうセンセーショナルな問題以外にも、ヒツジ放牧したら森林が消滅した地域とか…