屋久島へ行こう。① 淀川登山口~高塚小屋まで

屋久島に行こうと思った流れ

・今年はクソ忙しい…特に夏は休みが取れない…海外行けない…三連休で国内の行けるところ行くしか…
・そういや屋久島って一回も言ったことないな、行ってみるか
・ガイドつきツアーあるけど高いしかったるいな、自力で登るか
・ついでだし宮之浦岳も登っとくか

 ↓↓↓

登山コース設定し出発☆彡


というわけで夏休みは南の島でバカンスだよ!
やってることは全然バカンスじゃないけどな!!

7.png

--------------
●今回のコース
淀川登山口→宮之浦岳→縄文杉→白谷雲水峡 の王道縦走コース

●天気
曇り + 雷雨 + 一瞬晴れ のコンボ

●コース難易度
高くないがクセあり。ほぼ平らなゆるゆる箇所と急坂が交互に出現するため、脚力が要求される。

●出現エネミー
猿めっちゃ出る。お菓子食ってると頭上から声がするし目の前に来る。威嚇して追っ払うこと。
山小屋周辺はネズミも出る。宿泊時、暑いからといって山小屋やテントの扉を開けたまま寝ると死ぞ

●必須アイテム
ザックカバー、レインウェア、防水のしっかりした靴
トイレブースにはペーパーないところも多いのでトイレットペーパー

--------------

さて屋久島といえば、「1カ月に35日雨が降る」というくらい多雨な島。それが縄文杉を始めとする巨木の森や、苔むす緑の森を創り出している。
水が豊富なので水力発電もガンガンにやってて余ったぶんを隣の種子島に輸出しようとしているくらい。

そんな山域なので、雨は当然のように降る。
朝イチ晴れてても昼前からいきなり降り出したり、夜中に土砂降りになったり、天気予報は全然当たらない(笑) 山道や藪は常に濡れている。木道は腐ってつるつる滑るようになっているのがデフォ、湿原以外の登山道にまで水が流れている。

事前に地図を見てそのへんなんとなく察していたのだが、現地に行ってみると普通のスニーカーで来ている恐れ知らずなハイキング勢が普通にいて、逆にびっくりした。いやいや。いやいや。
自分の防水した登山靴でも浸水したくらいの道なんで、さすがにそれは危険過ぎる。折りたたみ傘も全く役に立たないのでちゃんとしたレインウェアは必須。またストックは使える箇所がほぼ無い。板の上で滑ったり、絡まった木の根っこに先を取られたりして逆に危険なのでむしろ邪魔だと思う。(そもそも私は登山にストックは不要だろ派なのだが)

コース難易度自体は高くない。危険箇所もほぼ無い。ただし、滑りやすい箇所や岩ゴロゴロの箇所、急坂が非常に多いため、標高差以上に脚力を要求される。 純然たる体力が必要な道とも言える。
たまに登山SNSで途中でバテちゃったと言ってる人を見かけるが、体力や脚力が不足しているか、見た目上ゆるいコースに見えるのでペース配分に失敗したかだと思う。

最初の淀川登山口から花之江河までは、こんな感じのゆるゆるした上り。
木の根っこや石が絡まり合うジメジメしたゾーンで、傾斜は大したことないのにちょっと歩きづらい。ロープを使う箇所もあるがまあハイキングの人でも越えられなくはないかな。

緑がいっぱいエネミーもといサルもいっぱい。途中に展望台もあるので、日帰りで体力のない人ならこのへんだけ歩いて帰るのもアリかも。

1.png

2.png

花之江河を過ぎて黒味岳、筑紫岳、安房岳、翁岳、栗生岳と縦走していくコースは、少し難易度が上がり、クソデカ一枚岩をよじ登らされる箇所が複数出てくる。このへんから「登山道なのか川なのかわかんねーぞなんだこの池みたいなの」という感じで、靴が濡れるの前提みたいな行程になっていく…。

上りの標高差は大したことがないのだが、「xx岳」とついているピーク付近を越えるたびに「上り」「下り」が発生するため、とにかく小刻みに足に負担がかかる。ここから先は山に慣れてる人じゃないとキツいかなあ、と思いながら歩いていた。
天気はイマイチだったけど、靄に包まれた岩のモコモコでっぱった風景がかえってロマンを感じさせる。岩が尖っておらず、全般的に丸みを帯びているのが優しい感じ。歩いてるぶんには滑るのが全然優しくないけど。

3.png

4.png

ただ、このコース、黒味岳いがいは通過している山のピークをほぼ踏めないという面白いコースなのだ。
理由は現地に行くと分かる。こうなので。

5.png

たぶんあの岩の上がピークなので。
…植物に覆われてて近づくことすら出来ねえ。「岩の上がピーク」って確か立山の大汝山とかもそういうやつだけど、あれは岩の裏から周ればギリ登れたからなあ。ガチで踏めないピークって珍しいかもしれない。

あとこれ栗生岳ちゃん、どう見てもその屹立してる岩がいちばん高いとこなんだけど…山頂っていうか…岩のてっぺん?w
「山頂」の 概念 が 乱れる!

6.png

というわけで、宮之浦岳いがいは「山頂っぽい岩を眺めながら横を通過する」という感じ。
宮之浦岳を通過すると、見た目は牧歌的な、傾斜のゆるい笹原を突っ切っていくことになる。面白い形の岩もたくさん。
晴れていたら物凄く気持ちいいだろうな、と思える道。

8.png

9.png

10.png

ただし実際は足元は岩がゴロゴロで全く気が抜けない。というか土の道が半分くらいしかなく、「岩」「岩盤」「岩と岩の間にかけられたはしご」と滑りやすい箇所が延々続く。慣れてる人と慣れてない人でこの辺りのコースタイムはかなり変わると思う。

最後の小ピークを越えたあたりから樹林帯に突入し、木の根っこがウネウネ絡み合うトラップゾーンへ。「xx杉」みたいな名前はついていないが、デカい木がゴロゴロしているので、ちょっと足を止めて眺めてみるのもいいと思う。

11.png

木のはしごや、木の板で道の補強をした箇所などがあるが、それらの木材は例外なく腐っている。つまり滑るか、ヘタに踏むと割れたり外れたりする。雨が降ってると滑りやすくなっている。下りきって平らなところに出ると、そこが新高塚小屋だ。
中の人の到着は12:30くらい、無人の小屋のはずなのにその日は小屋番の人がいて「この時間に来るなんて早いじゃん! あんたなら次の高塚小屋までいける楽勝楽勝、いっちゃいなYO!」と言われたので、じゃあ行くか…とさらに一時間ほどかけて縄文杉のすぐ横にある高塚小屋まで移動。

直後に土砂降りの雷雨が来たせいもあり、小屋は珍しく貸切状態。
夕方に一瞬だけ晴れたが、その後、日暮れとともにさらに雷雨になった。夜中にふと目がさめてトイレに起きると、きれいな月夜に変わっていた。

ちなみに目がさめた理由は鳥の夜鳴きがうるさかったからである。真夜中なのにめっちゃ鳴いてる。
…そんな目の覚まし方は人生ではじめてだった。
検索で探してみると、鳴き声的にはリュウキュウコノハズクが一番近い感じなのだが、コノハズクってあんなデカい声で鳴くもんなんだろうか…?

静かな森の中だったので余計に響いたのかもしれないけど、なかなか貴重な体験をさせてもらった。

なお高塚小屋の水場は縄文杉の真下なので、そこまで十分ほどかけて汲みに行く必要がある。
13時をすぎると観光客はみんな帰ってしまうので、小屋泊すれば独り占め状態で眺め回すことも可能。とはいえ展望デッキまでしか近づけないので、かなり遠巻きにはなってしまうのだが。

晴れていれば夕日に染まる姿も見えたのかもしれないが、今回は土砂降りの中だったので「なんかデカいの立ってるな」くらいでしかなかった…w
とりあえず旅の目的は…果たしたよ…。



後半へつづく。