屋久島へ行こう。② 高塚小屋~白谷雲水峡まで
<前回までのあらすじ>
縄文杉いっぺん見てみたいけど、せっかくだから縦走で周りの山から踏破していこうぜ!
縄文杉から最寄りの山小屋に到着したので一泊したぞ。
*****
宿泊した高塚小屋はハイシーズンには満員になることも珍しくないとされる小屋だが、今年はどうも観光客が少ないとかで空きが多かったらしい。
「みんな万博にいっちゃったんかねぇ」と、途中で出会ったジモティー登山者の人は言っていた。
その意味では今年は当たり年だったのかもしれない。
前日早く寝て翌日は3時に目が覚めたので、4時半くらいになんとなく出発。暗がりの縄文杉を眺めて木道を下っていく。
ここからトロッコ道までは昼間は観光客が密集する地帯であり、木道がしっかり整備されているためナイトハイクとしては初級。木の上から降ってくる夜露みたいなのでしっとりしながら、ひたすら下山。
意外なことに、屋久島の山の中は夜中に活動している動物が少ない。
コノハズクっぽい鳥がひたすら鳴いていた以外に、他の動物の声はほぼ無く、虫すら見かけない。むしろシカの声で叩き起こされる奥多摩のほうが夜うるさい…?
動植物が多彩なのは里山で、原生林はむしろ生物層が偏っているものだというのを知識としては知ってたが、原生林での野営は日本ではあまりやってないので、これが普通なのか…? と思いながら歩いていた。

縄文杉~トロッコ道の合流地点まではかなりの急坂、登り・下りとも脚力が必須。
入口の看板に「往復4時間かかる」と注意書きがされているが、高齢者や体力のない人ならもっとかかるだろう。というか途中で力尽きる可能性もある。
「縄文杉はガチ山奥にあるから素人はガイドをつけて行ったほうがいい」とはよく言われるが、実際に歩いてみて、まあそうだろうなと思えた。
少なくとも高尾山や筑波山よりは二段階くらい難易度やコース強度が上。ふだん登山やってる人で日帰り荷物なら余裕だろうけど、そうじゃないなら個人での挑戦はオススメしない…。

観光客は例外なく荒川登山口からトロッコ道沿いを登ってくる。観光客用のルートなのだ。
登山客はその観光客の波に逆走することになるので、ここを早めに通過するのをオススメしたい。7時くらいがリミット。7時までに白谷雲水峡への分岐である「楠川別れ」を越えられれば、あとはほとんどすれ違いに邪魔されずに山道を歩いていける。

楠川別れから太鼓岩までは、傾斜はキツくないものの歩行二日目の身にはまぁまぁ堪える上り坂。途中、ルートファインディングを要求されるような箇所もあるが、大したことはない。コケや湿気で岩が滑る、木が腐っている、というのはここまでのルートと一緒。
なお現在、白谷雲水峡は奉行杉や弥生杉のあたりが台風で荒れたまま修復中のため、歩けるルートはほぼ一本道。ここもガイドつきツアー客が登ってくることはあるが、それほど数は多くない。


ただちょっと意外だったのは、「もののけ姫の参考になった」とされる「苔むす森」が、思ってたより普通だったということ。
いや普通というか…あれだ…
確かに苔はいっぱい生えてて緑豊かな森ではあるんだけど…
(こういう感じの山って他にいっぱいあるよね…?)

今まで行った山の中でいちばん苔がフカフカしてたのは北八ヶ岳の白駒池周辺なので、あっちのほうが「苔むす森」に相応しいんじゃないかという気もした。
感動してるツアー客が写真撮りまくっている横を素通りしてしまった。
この日も小雨が降ったり止んだりで日差しがほとんどなかったので、もしかしたら日が射せば神秘的な感じとかが出るのかもしれない。
白谷小屋を過ぎたあとは、吊橋まで谷沿いの巻き道をひたすら下っていくだけなので、ある意味、「いつもの」山行。ていうか「いつもの」西丹沢でよく歩く道の感覚。サクサク下って9時ちょっと過ぎにバス停着。9時のバスに微妙に間に合わなかったので、仕方なく谷川を眺めながら次のバスを待つことにする。

縄文杉のほうは日本人観光客が多かったのだが、こちらの白谷雲水峡は外国人がやたらと多かった。
「ジョウモン」というのが外国人に分かりづらい記号の付け方なのかもしれないし、バスの乗り継ぎのハードルが高いのかもしれない。もしくは、たまたま行った日の傾向だったとかかもしれない。
ただ、思っていたより多くのヨーロッパ系観光客がバスから降りてきて、ぞろぞろと山を登っていったのにはびっくりした。
(それもほとんどは山を歩き慣れてそうな足運びの人たち)
わざわざ屋久島まで来るあたり、かなりのもの好きというか、なんというか…。
ちなみに、白谷雲水峡からふもとの宮之浦まで下るバスから見下ろすとこんな感じで、実は町からめっちゃ離れているということが分かる。
当然、電話の電波は届かない…。

途中に展望台もあってバスをそこで降りることも出来るようだが、うっかり降りてしまうと徒歩で街に戻る絶望的な状況になりかねない。あのバス停なんのためにあるのかさっぱり分からないw
今回は人気の登山ルート縦走のみだったが、実際には屋久島の島内にはまだまだ面白そうな山がたくさんある。というか島の真ん中あたりぜんぶ山なんで、どこから入ってどこに抜けるか、いろんな縦走ルートを組み立てられると思う。
ただし天候にはかなり左右される。晴れてる時は景色すごいんだろうなあとは思った。
今回は雨だったので人が少なく、霧に包まれた神秘的な雰囲気を味わう山行でした。ひさびさの遠征楽しかったな。
あとは下山後の宮之浦周辺の町の観光とかして終了。名物のトビウオの唐揚げとカメノテを食べてお船で鹿児島へ。
いい夏休みでした。

****
あと、おまけ!
島にやたら沢山いた、鳴き方がつまり気味なミンミンゼミみたいなやつ、帰ってきてから調べたら「クロイワツクツク」という南国特有のセミ(なぜか千葉の一部にもいる)だったらしい。
本州ではそろそろセミも終わりなのに、このセミは11月まで鳴くんだとか。南国の夏は…長いんだなあ…。

https://www.nhk.or.jp/citizenlab/semi/zukan_d_5.html
縄文杉いっぺん見てみたいけど、せっかくだから縦走で周りの山から踏破していこうぜ!
縄文杉から最寄りの山小屋に到着したので一泊したぞ。
*****
宿泊した高塚小屋はハイシーズンには満員になることも珍しくないとされる小屋だが、今年はどうも観光客が少ないとかで空きが多かったらしい。
「みんな万博にいっちゃったんかねぇ」と、途中で出会ったジモティー登山者の人は言っていた。
その意味では今年は当たり年だったのかもしれない。
前日早く寝て翌日は3時に目が覚めたので、4時半くらいになんとなく出発。暗がりの縄文杉を眺めて木道を下っていく。
ここからトロッコ道までは昼間は観光客が密集する地帯であり、木道がしっかり整備されているためナイトハイクとしては初級。木の上から降ってくる夜露みたいなのでしっとりしながら、ひたすら下山。
意外なことに、屋久島の山の中は夜中に活動している動物が少ない。
コノハズクっぽい鳥がひたすら鳴いていた以外に、他の動物の声はほぼ無く、虫すら見かけない。むしろシカの声で叩き起こされる奥多摩のほうが夜うるさい…?
動植物が多彩なのは里山で、原生林はむしろ生物層が偏っているものだというのを知識としては知ってたが、原生林での野営は日本ではあまりやってないので、これが普通なのか…? と思いながら歩いていた。
縄文杉~トロッコ道の合流地点まではかなりの急坂、登り・下りとも脚力が必須。
入口の看板に「往復4時間かかる」と注意書きがされているが、高齢者や体力のない人ならもっとかかるだろう。というか途中で力尽きる可能性もある。
「縄文杉はガチ山奥にあるから素人はガイドをつけて行ったほうがいい」とはよく言われるが、実際に歩いてみて、まあそうだろうなと思えた。
少なくとも高尾山や筑波山よりは二段階くらい難易度やコース強度が上。ふだん登山やってる人で日帰り荷物なら余裕だろうけど、そうじゃないなら個人での挑戦はオススメしない…。
観光客は例外なく荒川登山口からトロッコ道沿いを登ってくる。観光客用のルートなのだ。
登山客はその観光客の波に逆走することになるので、ここを早めに通過するのをオススメしたい。7時くらいがリミット。7時までに白谷雲水峡への分岐である「楠川別れ」を越えられれば、あとはほとんどすれ違いに邪魔されずに山道を歩いていける。
楠川別れから太鼓岩までは、傾斜はキツくないものの歩行二日目の身にはまぁまぁ堪える上り坂。途中、ルートファインディングを要求されるような箇所もあるが、大したことはない。コケや湿気で岩が滑る、木が腐っている、というのはここまでのルートと一緒。
なお現在、白谷雲水峡は奉行杉や弥生杉のあたりが台風で荒れたまま修復中のため、歩けるルートはほぼ一本道。ここもガイドつきツアー客が登ってくることはあるが、それほど数は多くない。
ただちょっと意外だったのは、「もののけ姫の参考になった」とされる「苔むす森」が、思ってたより普通だったということ。
いや普通というか…あれだ…
確かに苔はいっぱい生えてて緑豊かな森ではあるんだけど…
(こういう感じの山って他にいっぱいあるよね…?)
今まで行った山の中でいちばん苔がフカフカしてたのは北八ヶ岳の白駒池周辺なので、あっちのほうが「苔むす森」に相応しいんじゃないかという気もした。
感動してるツアー客が写真撮りまくっている横を素通りしてしまった。
この日も小雨が降ったり止んだりで日差しがほとんどなかったので、もしかしたら日が射せば神秘的な感じとかが出るのかもしれない。
白谷小屋を過ぎたあとは、吊橋まで谷沿いの巻き道をひたすら下っていくだけなので、ある意味、「いつもの」山行。ていうか「いつもの」西丹沢でよく歩く道の感覚。サクサク下って9時ちょっと過ぎにバス停着。9時のバスに微妙に間に合わなかったので、仕方なく谷川を眺めながら次のバスを待つことにする。
縄文杉のほうは日本人観光客が多かったのだが、こちらの白谷雲水峡は外国人がやたらと多かった。
「ジョウモン」というのが外国人に分かりづらい記号の付け方なのかもしれないし、バスの乗り継ぎのハードルが高いのかもしれない。もしくは、たまたま行った日の傾向だったとかかもしれない。
ただ、思っていたより多くのヨーロッパ系観光客がバスから降りてきて、ぞろぞろと山を登っていったのにはびっくりした。
(それもほとんどは山を歩き慣れてそうな足運びの人たち)
わざわざ屋久島まで来るあたり、かなりのもの好きというか、なんというか…。
ちなみに、白谷雲水峡からふもとの宮之浦まで下るバスから見下ろすとこんな感じで、実は町からめっちゃ離れているということが分かる。
当然、電話の電波は届かない…。
途中に展望台もあってバスをそこで降りることも出来るようだが、うっかり降りてしまうと徒歩で街に戻る絶望的な状況になりかねない。あのバス停なんのためにあるのかさっぱり分からないw
今回は人気の登山ルート縦走のみだったが、実際には屋久島の島内にはまだまだ面白そうな山がたくさんある。というか島の真ん中あたりぜんぶ山なんで、どこから入ってどこに抜けるか、いろんな縦走ルートを組み立てられると思う。
ただし天候にはかなり左右される。晴れてる時は景色すごいんだろうなあとは思った。
今回は雨だったので人が少なく、霧に包まれた神秘的な雰囲気を味わう山行でした。ひさびさの遠征楽しかったな。
あとは下山後の宮之浦周辺の町の観光とかして終了。名物のトビウオの唐揚げとカメノテを食べてお船で鹿児島へ。
いい夏休みでした。
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あと、おまけ!
島にやたら沢山いた、鳴き方がつまり気味なミンミンゼミみたいなやつ、帰ってきてから調べたら「クロイワツクツク」という南国特有のセミ(なぜか千葉の一部にもいる)だったらしい。
本州ではそろそろセミも終わりなのに、このセミは11月まで鳴くんだとか。南国の夏は…長いんだなあ…。
https://www.nhk.or.jp/citizenlab/semi/zukan_d_5.html