中国さん「砂漠緑化した! 我が国は世界でいちばん緑が増えてる!」→緑化も環境破壊になりますよ。というお話
いつだったかSNSで「中国は世界でいちばん緑化頑張っている国!」「砂漠に植林して黄砂減った! カーボンニュートラルにも近づいた!」って褒め称えるムーブしてる人を見かけて、ちょっと半笑いになってしまった中の人。
いやね、それ、エジプトさんでもう散々見たやつだから…。
エジプトマニアは「トシュカ計画」の悲惨な展開とか十分すぎるほど見てきたから…。
※中国さんの大本営発表
https://j.people.com.cn/n3/2025/0407/c94476-20298731.html

そもそもの前提として、沙漠という場所は、雨が降らない/植物が育たないからこそ沙漠なわけです。
そこに植林して緑化するためには、どこかから水を持ってこないといけないわけです。
どこだと思います…?
ほとんどは地下水なんですよね。そう、地下水を汲み上げて消費しまくってる。
沙漠の気候なんて地球規模のものなので、どう足掻いても多少のことでは変えられないんです。人間があーだこーだしたところで、継続的に雨が降るようになるわけではない。なので、地下水をどんどん消費して、どんどん減らしていくことになります。
沙漠にある地下水はたいてい化石水といって、かつてその地域が湿潤だった時代に溜まった、使い切りの水です。
(もしくは長年かけて付近の河川から染み込んだ水で、再生されるにはとても長い時間がかかる)
これを地表にバラまいて蒸発させ続けるなら、いずれは枯渇するんですよね。
実際に、沙漠の国サウジアラビアはオイルマネーのパワーでガンガンに地下水を汲み上げまくった結果、地下水が枯渇して、自国での農業は立ち行かなくなりました。
地下水に頼る沙漠緑化は、サステナビリティとか無視した環境破壊とも言えます。地下水が枯渇するか、汲み上げ予算が尽きた時点で森は沙漠に帰る宿命です。
よっぽど乾燥に強い植物を植えれば…とかいう話もありますが、サハラ沙漠に生えてるイトスギやナミブ沙漠のオモトなどは砂嵐を防げるほど密集して森を作るほど育つわけじゃないので、まあそもそもの発想がちょっとムリなんだと思う。
では地下水を使わず、川の流れを沙漠に引き込んだらどうなのか?
それをやったのが独裁政権時代のエジプトさんです。

1997年、「沙漠を緑に」のスローガンのもと、当時のムバーラク政権がはじめた野心的なこの計画は、現在の衛星写真を見てわかるとおり、「いくつかの農場が稼働しているだけで森なんか全然ない」という状態。

ムバーラクのピラミッド──エジプトの大規模沙漠開発「トシュカ計画」の論理 (ブックレット《アジアを学ぼう》別巻) - 竹村和朗
この計画は結局、沙漠に緑を生み出すことも、定住者や雇用を生み出すこともなく、外国の支援を受けながらいくつかの農園で輸出用作物を作るに留まっています。エジプトは他にも紅海沿岸で緑化政策を行っているのですが、ここも森が定着するほどではなく、植えてる植物も数種類だけなので、生態系としては最初から破綻しています。
自然界の森ならば、その環境に適した種類が進化して定着していくものなんですが、人間が人工的に作ろうとする森は、別にそこの環境に適しているわけでもない外来種が持ち込まれて植えられるだけなので、もともともその地域に生きていた動植物からすれば邪魔なよそ者だし、既存の生態系を壊してしまう可能性が高いんですね。
沙漠という環境も自然界のひとつの形です。
沙漠を緑に! と言うと、実に響きの良い言葉に思えるかもしれませんが、実際には、やってることは自然破壊です。緑化も森林伐採も、大規模で急激な環境改変、かつ持続性がない、という意味で全く同じなんです。
というわけで、中国さんの緑化活動は、いずれ地下水か予算が尽きれば無に帰します。(断言してもいい。なんせ元が沙漠なので人の手を入れずに外来種が繁殖できる余地が無い)
それが何十年後になるかは分からないけれど、エジプトのトシュカ計画みたいに幾つかの農園や緑地だけ残った状態で成功を謳い続ける、というのが良くあるパターンかな…。独裁国家ってやることだいたい同じなんで…。
環境破壊をせず持続可能な緑化計画をやるんなら、せいぜい、地元産の植物の乾燥耐性を上げて繁殖可能地を増やすとか、沙漠の中でも比較的雨の多い地域をターゲットにするとかしかないと思いますけどね。
そもそも雨が降らない地域で森を育てるなんて前提からして無理なんで、無理を無茶で通そうとしないでほしい。あと、こんな環境負荷の高いバカなことをやってるのを手放しで褒め称えるのは、マジでやめてほしい。
私たちの手元には、既に失敗してきた悲惨な「沙漠緑化計画」の数々の事例が、既にあるんですよ…。
いやね、それ、エジプトさんでもう散々見たやつだから…。
エジプトマニアは「トシュカ計画」の悲惨な展開とか十分すぎるほど見てきたから…。
※中国さんの大本営発表
https://j.people.com.cn/n3/2025/0407/c94476-20298731.html
そもそもの前提として、沙漠という場所は、雨が降らない/植物が育たないからこそ沙漠なわけです。
そこに植林して緑化するためには、どこかから水を持ってこないといけないわけです。
どこだと思います…?
ほとんどは地下水なんですよね。そう、地下水を汲み上げて消費しまくってる。
沙漠の気候なんて地球規模のものなので、どう足掻いても多少のことでは変えられないんです。人間があーだこーだしたところで、継続的に雨が降るようになるわけではない。なので、地下水をどんどん消費して、どんどん減らしていくことになります。
沙漠にある地下水はたいてい化石水といって、かつてその地域が湿潤だった時代に溜まった、使い切りの水です。
(もしくは長年かけて付近の河川から染み込んだ水で、再生されるにはとても長い時間がかかる)
これを地表にバラまいて蒸発させ続けるなら、いずれは枯渇するんですよね。
実際に、沙漠の国サウジアラビアはオイルマネーのパワーでガンガンに地下水を汲み上げまくった結果、地下水が枯渇して、自国での農業は立ち行かなくなりました。
地下水に頼る沙漠緑化は、サステナビリティとか無視した環境破壊とも言えます。地下水が枯渇するか、汲み上げ予算が尽きた時点で森は沙漠に帰る宿命です。
よっぽど乾燥に強い植物を植えれば…とかいう話もありますが、サハラ沙漠に生えてるイトスギやナミブ沙漠のオモトなどは砂嵐を防げるほど密集して森を作るほど育つわけじゃないので、まあそもそもの発想がちょっとムリなんだと思う。
では地下水を使わず、川の流れを沙漠に引き込んだらどうなのか?
それをやったのが独裁政権時代のエジプトさんです。
1997年、「沙漠を緑に」のスローガンのもと、当時のムバーラク政権がはじめた野心的なこの計画は、現在の衛星写真を見てわかるとおり、「いくつかの農場が稼働しているだけで森なんか全然ない」という状態。
"「世紀の事業」であり、同時に「公金の浪費」と呼ばれる。「夢」が「悪夢」に変わったと言われ、「灌漑事業」ではあるが「ポンプ場しかない」と揶揄される。
――「ムバーラクのピラミッド──エジプトの大規模沙漠開発「トシュカ計画」の論理 」より"

ムバーラクのピラミッド──エジプトの大規模沙漠開発「トシュカ計画」の論理 (ブックレット《アジアを学ぼう》別巻) - 竹村和朗
この計画は結局、沙漠に緑を生み出すことも、定住者や雇用を生み出すこともなく、外国の支援を受けながらいくつかの農園で輸出用作物を作るに留まっています。エジプトは他にも紅海沿岸で緑化政策を行っているのですが、ここも森が定着するほどではなく、植えてる植物も数種類だけなので、生態系としては最初から破綻しています。
自然界の森ならば、その環境に適した種類が進化して定着していくものなんですが、人間が人工的に作ろうとする森は、別にそこの環境に適しているわけでもない外来種が持ち込まれて植えられるだけなので、もともともその地域に生きていた動植物からすれば邪魔なよそ者だし、既存の生態系を壊してしまう可能性が高いんですね。
沙漠という環境も自然界のひとつの形です。
沙漠を緑に! と言うと、実に響きの良い言葉に思えるかもしれませんが、実際には、やってることは自然破壊です。緑化も森林伐採も、大規模で急激な環境改変、かつ持続性がない、という意味で全く同じなんです。
というわけで、中国さんの緑化活動は、いずれ地下水か予算が尽きれば無に帰します。(断言してもいい。なんせ元が沙漠なので人の手を入れずに外来種が繁殖できる余地が無い)
それが何十年後になるかは分からないけれど、エジプトのトシュカ計画みたいに幾つかの農園や緑地だけ残った状態で成功を謳い続ける、というのが良くあるパターンかな…。独裁国家ってやることだいたい同じなんで…。
環境破壊をせず持続可能な緑化計画をやるんなら、せいぜい、地元産の植物の乾燥耐性を上げて繁殖可能地を増やすとか、沙漠の中でも比較的雨の多い地域をターゲットにするとかしかないと思いますけどね。
そもそも雨が降らない地域で森を育てるなんて前提からして無理なんで、無理を無茶で通そうとしないでほしい。あと、こんな環境負荷の高いバカなことをやってるのを手放しで褒め称えるのは、マジでやめてほしい。
私たちの手元には、既に失敗してきた悲惨な「沙漠緑化計画」の数々の事例が、既にあるんですよ…。