またかよ…エジプト・サッカラの第6王朝の墓から壁画盗難。「5月に判明してました」

つい先日、カイロ博物館から盗難された金の腕輪が売っぱらわれて溶解されていたことが判明したばかりのエジプトさん。
今回は墓の壁画がひっペがされて行方不明になっていたのを5ヶ月も経ってから公表。うーん…。

古代エジプト時代の絵画が行方不明　「呪いの言葉」刻まれた墓から
https://mainichi.jp/articles/20251007/k00/00m/030/020000c



呪いの言葉うんぬんはどうでもいいです。というか、古王国時代の墓は「この墓を荒らすものはただじゃおかねえ」みたいなの刻むのがテンプレみたいになってたところがあるので。(逆にツタンカーメンなど新王国時代の墓では、このテンプレは既に廃れており書かれていない)

むしろ現代においても「墓の壁画をひっぺがして売る」という行為が行われているのが驚きっすね。昔はよくあったやつなんですけどね。
というか各地の美術館とか博物館にある古代エジプト壁画、99%はこの手法で持ち出されたやつですんで…。
問題は、5月にイギリス隊が気づいて報告してたのを、すっぱ抜かれるまで黙ってたことと、また遺物の台帳作ってなくて他に何盗られたか全然わかってねえ、ってとこですね。


ちなみに持ち出された壁画はこれ。
1950年代に発見されたケンティ・カーの墓、という情報から掘り出してきましたドン。写真が白黒なのは、当時の写真しか無いからっすね。



最初に報道したのがカイロ24らしく、ニュースサイトに詳細が上がってました。
https://www.cairo24.com/2293999

「この墓は1950年代の発見以来、完全に封印され、古美術品の倉庫として使用されていたと説明した。2019年以降、再開されていない」
とのことで、付近で発掘された品の仮保管庫として墓を使ってたみたいですね。大量の遺物が見つかるため全て博物館に収めきれない、という事情を抱えたエジプトではよくあるパターン。おそらく保管庫の鍵持ってた番人とかが買収されたか、鍵が壊れていたのを報告してなかったのかと…。

なお、サッカラはギザに近く、アブ・シールとともにメンフィス近郊のネクロポリスとして知られる場所。2011年のエジプト革命以後は盗掘で大ダメージを食らった地域に入ってます。なので、ヘタするとだいぶ前に盗まれていた可能性も…。
有名な品なので、博物館とかではなく、どこかの個人コレクターに売っぱらわれたパターンでしょうね…。

エジプト革命後、エジプトの遺跡が盗掘されまくっててヤバい件
https://55096962.seesaa.net/article/201306article_23.html

※ルーブルは盗品の壁画を購入しちゃってエジプトさんと揉めたこともありますが

エジプト考古学庁、ルーブル美術館との関係停止　――Tetakiの墓から盗まれた壁画の返還要求
https://55096962.seesaa.net/article/200910article_12.html

エジプトさんさあ、ほんとさあ、掘り出すだけ掘り出してあとの管理出来ない癖どうにかしたほうがいいよ…？
遺物の数多すぎてまともに保存管理しようとすると莫大なコストがかかるのなんか分かってるけどさ。だからって倉庫に雑に山積みにされて盗み放題っていうのは違うんだわ。