解けない謎を無理やり一冊の本に増量したらこうなった。「鳥獣戯画の世界」

本の内容としてはまあ分かる、だが全般的に同じ内容の繰り返しが多くて情報量が薄く感じる…という残念な感じの本。

カラー版 鳥獣戯画の世界 (宝島社新書) - 上野 憲示
カラー版 鳥獣戯画の世界 (宝島社新書) - 上野 憲示

鳥獣戯画は作者も目的も不明、そして近年の研究では失われた部分があったことも知られている…! みたいな感じで由来や作られた時代の説明などをしているのだが、せっかくのテーマにもかかわらず謎解き感は無い。最初に結論ぜんぶ書いちゃってから話を進めているからだ。

そして要所要所に「いかがだろうか」「いかがだっただろうか」という余計な一言を挟んでしまっているせいで、インターネット上でよくある検索の上位に出てくるくせに内容の無いタイトル詐欺のページみたいになっちゃってる。
最初と最後のこれ外すだけでも、だいぶ心象変わったと思うんだけどな…。

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というわけで構成がイマイチなせいで面白みは半減していた本だったのだが、言いたいことはまあ分かった。

現代に伝わる鳥獣戯画には、たぶん意味はない。もともとは絵のうまい人が描いたお遊びで、甲巻と呼ばれる最初の巻は前半と後半で作者が違いそうだということ。
作者がわからないのはまあ、歌でも古い物語でも「作者不詳」はよくある話なので、別にそこを謎とかミステリーとは思わなかった。むしろほぼ推測に過ぎないのに、よくこの本はここまで結論ありきで書いて来るなと思ったくらい。

過去の修復で一部の絵が巻物から離れてしまい、順番も入れ替えられて別々の作品にされてしまった。という話が出てくるが、それはいいとして、なんで一部の絵だけ切り離されちゃったん? そこの部分だけ気に入ってるから欲しいみたいなこと言った偉い人でもいたのか、転売されちゃったとかなのか。その理由は何も触れられておらず、謎解き本としてはかなりのモヤモヤが残る。
というか同じ内容を何度も繰り返して水増しするくらいなら、巻物本体だけじゃなく切り離された絵の部分の来歴まで追いかけて欲しかった。いろんな本からの切り貼りで作られた本なので、たまたま参考にした資料に無かったとかなのかもしれないが。

というわけで、全く前提を知らない人がさらっと一度読むぶんには「ほう、鳥獣戯画にはこんな謎が…」くらいには楽しめるが、知的好奇心を刺激される感やワクワク感はあんまり無く、鳥獣戯画オタクの詳しい人なら「知ってることばかりだな」になるかもしれないテイスト薄めの本だった。

自分はまあ、何も知らないクチなのでそれなりに面白かったけど…。
甲巻前半の自分の気に入ってるシーンを「あまり技術高くない」と書かれたのはちょっとムッとしたかな…。前半のほうが好きなシーン多いんだけど…。