アルジェリア(3) 砂塵の幕屋にて
いよいよ、ジャネットの街を出て南部の砂漠へ向かう。目指すはリビア&ニジェールとの国境にほど近い、タダラート地方である。
国旗に近いため、この砂漠地帯に入るにはあらかじめ許可書を取っておき、入口の検問で見せて通してもらう必要がある。砂漠の道は何本かあるようだが、いずれも軍の警備網が敷かれている。
…アフリカあるあるで、隣国からの亡命者や難民が陸路で越えて来たり、抜け道使って密輸が行われたりしているらしい。
ジャネット近辺にも難民キャンプらしき場所があったのは見かけた。
まあ、それはともかく、タダラートの入口に立ってる看板には思いっきり「観光地」と書いてある。(※Google翻訳)
丘から見下ろす風景はザ・砂漠。みんなの想像する「サハラ」のイメージそのまんまの風景を見ることが出来る。
スマホの電波が届くのはこのあたりまで。この先は衛星電話くらいしか通じない、強制的にデジタル・デトックス状態になる領域。


岩絵と景勝地を巡るこのツアーは、地元ツアー会社から地元民ガイドさんがついてくる。ベルベル系のトゥアレグ族のドライバーさん&英語が喋れるガイドさんである。
ヨーロッパから自前の車を持ち込んで走る人達もいるようだが、ツアーガイドはいたほうがいい。というか居ないと大変だと思う。
実際、途中で砂にハマってスタックしてるよそのツアーの車を救出する場面もあったからだ。慣れてないと、道に迷うか車のトラブルで行き倒れかねない…。
ちなみにこの砂漠、走ってる車は片っ端からトヨタ ハイラックスである。(一台だけジープも見かけたけど…)
途中で出会った陽気なイタリア人集団もハイラックス祭りで、日本から来たというと「サンキュー トヨタ!w」って言われた。うんまあ、パワーある車じゃないと無理ですねココは。


この砂漠ツアーで使われているハイラックスは、軒並み40万キロくらい走っているボロボロの車である。砂漠ツアー自体1日200kmくらいは軽く移動するので、走行距離が積み上がっているのはまあいいのだが、それはそれとして、よくこんな状態で走っているなと思わされる。
サンバイザーが取れてる、フロントガラスにヒビが入ってる、ミラーが片方無い、とかは当たり前。車検という概念のない国なので、とにかく走れればそれでいいらしい。そして、砂塵まみれ&礫石だらけの過酷な環境なので、そもそも新車を走らせるような場所でもないという。
表面上はズタボロでも快走するハイラックスが流石すぎる。
で、砂漠の中にはホテルなどもちろん無いので、テントで野宿である。

自分の場合、テント泊は山でいくらでもやってるので慣れたものだが、山と違って「砂だらけ」「極度に乾燥している」。
そして、砂漠の夜は寒い、とはよく言われるが、その寒さを実際に体験できるというわけだ。
今回はタダラートなので標高はそんなに無く、まだ温かいほうだったが、タッシリ・ナジェールだと標高があるので平地よりさらに寒いと思われる。
テン泊の場所はガイドさんたちが確保してくれる。
速いのもの勝ちでもあるそうで、先行する食料&水を積んだ車と料理番の人が場所取り係。周囲を岩壁に囲まれた、風の来ない場所などをチョイスしてくれるのは地元ガイドならでは。いい場所は知り尽くしているのだ。

こちらは砂丘のふもとの岩陰キャンプ場。砂丘に映える星が綺麗な場所だった。

テントの中はこんなかんじ。
日本のキャンプだと断熱マットを下に敷くのが一般的だが、ここではベルベル・スタイルの分厚いマットレスである。これのお陰で地面の冷たさを全然感じることなく快適に寝ることが出来た。
ていうかこのマットが無いとキツかったと思う…。
マットは固く編み込まれていて、砂がついても軽くはたけばすぐ取れる。地元民愛用の品らしい。
地元ドライバーさんたちは、テントも使わず、着込んだだけで、このマットの上に直接寝転んで夜を過ごしていた。

ただ、テント自体はよくあるペラッペラのやつなので、風が吹くと下から吹き込んできてけっこう寒い。夜間は気温一桁まで下がるので、寝袋は冬用のものでちょうど良かった。具体的に言うとモン○ルのダウンハガー#2。寝袋さえしっかりしていれば、あとは冬山用下着一枚でも朝までグッスリ。
テントと寝袋の生活に慣れていれば気持ちよく眠れるのだが、慣れていない人とか、体が大きくてテントが狭い人だとちょっとつらいかもしれない。まあ慣れです…。
あとトイレはお察しの通り青空トイレ、乾燥しているのですぐ乾くとはいえ、そのへんの岩陰に糞尿垂れ流しになるので環境に対してはあまり良くないと思われる。
目立たない岩陰とかにいくと、誰かキャンプした跡とかトイレットペーパーの切れ端とかゴミとかがたくさん落ちてて、うーん…。と思わされるところも多々あった。
さすがに写真は撮っていないが、誰か先客の用を足したあとに見事なフンコロガシがいたのには、ちょっと感動すら覚えた。(日本でいうオオセンチコガネみたいなキラキラしたやつ)
観光客のせいで現地の生態系にゴリゴリに作用しちゃってるんですね…。


さすがに砂漠にトイレは作れないだろうけど、糞尿くらいなら分解はされるので、ペーパーとかペットボトルとかだけでも無くなれば…。
自分も観光に来てる一人なのであんま偉そうなことは言えないんですけど、環境への影響を低減するためにも、せめて、トイレットペーパーやゴミは持ち帰るようにしたいですね…。
砂漠の夜は冷える、とはよく言われる。
確かに日が暮れたあとは急激に気温が下がり、日中は汗ばむほどだったのが一気に10度以下になる。ただ、実際に体験してみると「思ったほど寒くないな…」と感じた。
理由は、夜は風が吹かないから、である。まともに風が吹くのは夜明けと夕方だけ。これは、日の当たる暑い場所と、日陰になった冷たい場所の温度差によって空気が動いているからだと思われる。(なので朝と夕方で風の向きが逆になる)
空気が動かなければ寒さを感じないのだ。
また体温を奪われている感覚もない。日本の冬がとにかく寒いのは、おそらく湿気とか風の具合が関わっているのだと思う。
ただ、それはあくまで空気の話であり、地面はとんでもなく冷たくなる。それこそ、日中は熱いとすら感じていた砂が、ひんやり冷蔵庫みたいな温度まで下がって、冷たくて裸足で歩けないほどになっている。びっくりするほどの冷たさ。なのでテントの下に敷くマットが分厚いのは本当に助かった。
また、日本でテント泊をすると、夏でも冬でも必ず結露するものだが、乾燥しきった砂漠では、一切、露がつかない。内部も、フライシートの内側も、テントの床でさえそう。つまり地面から蒸発してくる水はないし、寝てる間に自分の体から出た蒸気も全て消えてしまうのだ。湿気の多い日本ではちょっと想像できない世界。
乾燥しきっているので、ハンドクリーム塗ってても指の間接が荒れていく。マスクをしてリップ塗っていないと唇がカサカサになる。
コンタクトだと乾燥しているうえに細かい砂が入って死ぬ。
砂漠キャンプ自体はヨルダンでも体験したが、サハラの砂はヨルダンのワディ・ラムよりずっと細かく、乾燥具合も上で、より過酷な場所だった。
楽しかったのだが、基本的に人間が生きるのには向かない土地だなとシミジミ思ったのだった。
****
まとめ読みはこちら
国旗に近いため、この砂漠地帯に入るにはあらかじめ許可書を取っておき、入口の検問で見せて通してもらう必要がある。砂漠の道は何本かあるようだが、いずれも軍の警備網が敷かれている。
…アフリカあるあるで、隣国からの亡命者や難民が陸路で越えて来たり、抜け道使って密輸が行われたりしているらしい。
ジャネット近辺にも難民キャンプらしき場所があったのは見かけた。
まあ、それはともかく、タダラートの入口に立ってる看板には思いっきり「観光地」と書いてある。(※Google翻訳)
丘から見下ろす風景はザ・砂漠。みんなの想像する「サハラ」のイメージそのまんまの風景を見ることが出来る。
スマホの電波が届くのはこのあたりまで。この先は衛星電話くらいしか通じない、強制的にデジタル・デトックス状態になる領域。
岩絵と景勝地を巡るこのツアーは、地元ツアー会社から地元民ガイドさんがついてくる。ベルベル系のトゥアレグ族のドライバーさん&英語が喋れるガイドさんである。
ヨーロッパから自前の車を持ち込んで走る人達もいるようだが、ツアーガイドはいたほうがいい。というか居ないと大変だと思う。
実際、途中で砂にハマってスタックしてるよそのツアーの車を救出する場面もあったからだ。慣れてないと、道に迷うか車のトラブルで行き倒れかねない…。
ちなみにこの砂漠、走ってる車は片っ端からトヨタ ハイラックスである。(一台だけジープも見かけたけど…)
途中で出会った陽気なイタリア人集団もハイラックス祭りで、日本から来たというと「サンキュー トヨタ!w」って言われた。うんまあ、パワーある車じゃないと無理ですねココは。
この砂漠ツアーで使われているハイラックスは、軒並み40万キロくらい走っているボロボロの車である。砂漠ツアー自体1日200kmくらいは軽く移動するので、走行距離が積み上がっているのはまあいいのだが、それはそれとして、よくこんな状態で走っているなと思わされる。
サンバイザーが取れてる、フロントガラスにヒビが入ってる、ミラーが片方無い、とかは当たり前。車検という概念のない国なので、とにかく走れればそれでいいらしい。そして、砂塵まみれ&礫石だらけの過酷な環境なので、そもそも新車を走らせるような場所でもないという。
表面上はズタボロでも快走するハイラックスが流石すぎる。
で、砂漠の中にはホテルなどもちろん無いので、テントで野宿である。
自分の場合、テント泊は山でいくらでもやってるので慣れたものだが、山と違って「砂だらけ」「極度に乾燥している」。
そして、砂漠の夜は寒い、とはよく言われるが、その寒さを実際に体験できるというわけだ。
今回はタダラートなので標高はそんなに無く、まだ温かいほうだったが、タッシリ・ナジェールだと標高があるので平地よりさらに寒いと思われる。
テン泊の場所はガイドさんたちが確保してくれる。
速いのもの勝ちでもあるそうで、先行する食料&水を積んだ車と料理番の人が場所取り係。周囲を岩壁に囲まれた、風の来ない場所などをチョイスしてくれるのは地元ガイドならでは。いい場所は知り尽くしているのだ。
こちらは砂丘のふもとの岩陰キャンプ場。砂丘に映える星が綺麗な場所だった。
テントの中はこんなかんじ。
日本のキャンプだと断熱マットを下に敷くのが一般的だが、ここではベルベル・スタイルの分厚いマットレスである。これのお陰で地面の冷たさを全然感じることなく快適に寝ることが出来た。
ていうかこのマットが無いとキツかったと思う…。
マットは固く編み込まれていて、砂がついても軽くはたけばすぐ取れる。地元民愛用の品らしい。
地元ドライバーさんたちは、テントも使わず、着込んだだけで、このマットの上に直接寝転んで夜を過ごしていた。
ただ、テント自体はよくあるペラッペラのやつなので、風が吹くと下から吹き込んできてけっこう寒い。夜間は気温一桁まで下がるので、寝袋は冬用のものでちょうど良かった。具体的に言うとモン○ルのダウンハガー#2。寝袋さえしっかりしていれば、あとは冬山用下着一枚でも朝までグッスリ。
テントと寝袋の生活に慣れていれば気持ちよく眠れるのだが、慣れていない人とか、体が大きくてテントが狭い人だとちょっとつらいかもしれない。まあ慣れです…。
あとトイレはお察しの通り青空トイレ、乾燥しているのですぐ乾くとはいえ、そのへんの岩陰に糞尿垂れ流しになるので環境に対してはあまり良くないと思われる。
目立たない岩陰とかにいくと、誰かキャンプした跡とかトイレットペーパーの切れ端とかゴミとかがたくさん落ちてて、うーん…。と思わされるところも多々あった。
さすがに写真は撮っていないが、誰か先客の用を足したあとに見事なフンコロガシがいたのには、ちょっと感動すら覚えた。(日本でいうオオセンチコガネみたいなキラキラしたやつ)
観光客のせいで現地の生態系にゴリゴリに作用しちゃってるんですね…。
さすがに砂漠にトイレは作れないだろうけど、糞尿くらいなら分解はされるので、ペーパーとかペットボトルとかだけでも無くなれば…。
自分も観光に来てる一人なのであんま偉そうなことは言えないんですけど、環境への影響を低減するためにも、せめて、トイレットペーパーやゴミは持ち帰るようにしたいですね…。
砂漠の夜は冷える、とはよく言われる。
確かに日が暮れたあとは急激に気温が下がり、日中は汗ばむほどだったのが一気に10度以下になる。ただ、実際に体験してみると「思ったほど寒くないな…」と感じた。
理由は、夜は風が吹かないから、である。まともに風が吹くのは夜明けと夕方だけ。これは、日の当たる暑い場所と、日陰になった冷たい場所の温度差によって空気が動いているからだと思われる。(なので朝と夕方で風の向きが逆になる)
空気が動かなければ寒さを感じないのだ。
また体温を奪われている感覚もない。日本の冬がとにかく寒いのは、おそらく湿気とか風の具合が関わっているのだと思う。
ただ、それはあくまで空気の話であり、地面はとんでもなく冷たくなる。それこそ、日中は熱いとすら感じていた砂が、ひんやり冷蔵庫みたいな温度まで下がって、冷たくて裸足で歩けないほどになっている。びっくりするほどの冷たさ。なのでテントの下に敷くマットが分厚いのは本当に助かった。
また、日本でテント泊をすると、夏でも冬でも必ず結露するものだが、乾燥しきった砂漠では、一切、露がつかない。内部も、フライシートの内側も、テントの床でさえそう。つまり地面から蒸発してくる水はないし、寝てる間に自分の体から出た蒸気も全て消えてしまうのだ。湿気の多い日本ではちょっと想像できない世界。
乾燥しきっているので、ハンドクリーム塗ってても指の間接が荒れていく。マスクをしてリップ塗っていないと唇がカサカサになる。
コンタクトだと乾燥しているうえに細かい砂が入って死ぬ。
砂漠キャンプ自体はヨルダンでも体験したが、サハラの砂はヨルダンのワディ・ラムよりずっと細かく、乾燥具合も上で、より過酷な場所だった。
楽しかったのだが、基本的に人間が生きるのには向かない土地だなとシミジミ思ったのだった。
****
まとめ読みはこちら