アルジェリア(6) 奇岩の風景と砂漠の風
ここまでは砂漠の中に人間の残した遺跡についての話だったが、今回行った場所は自然造形物も美しい土地だった。
というか、風景・景観での景勝地としても売りだされており、今回参加したツアーも半分が岩絵、もう半分が砂漠の風景を目玉とした構成にななっていたので、その残り半分についても書いておこう。
サハラは意外と緑の多い土地であり、砂の多い、みんなの想像するいわゆる「ザ・砂漠」な風景は限られた場所にしか存在しない。
その「ザ・砂漠」の代表みたいな風景があるのがタダラートなのだ。
※CGみたいに見えるが現実


砂丘登りもやった。
これ自体はヨルダンの砂漠でもやった。よくあるアクティビティなのだと思うが、なんといってもサハラの砂丘は「デカい」。登るのはほぼ登山。そして周辺は見渡す限りの砂漠で、まさに「砂の海」。サハラの広大な砂の海を地平線まで見渡せるのは、ここならではだ。
まあ、ここ国境なんで、実際はこの広大な砂漠の向こうのほうに国境線が引かれている。砂漠の出口には厳重な警備が敷かれており、実際に不法移民や難民がこの砂を越えてくる。そして、見えているこの風景は、日本の外務省の情報でレベル4もしくはレベル3とされる地域でもある。
とはいっても、小さな村すら無く人が全然居ないので、実際には治安が危険というより「何があるかわからない」「何かあっても救出が困難」という意味でのレベル設定なのだろう。



写真だとわからないが、これらの写真が夕方もしくは朝早い時間だった場合、ほぼ確実に強い風が吹いている。
風は温度差によって生まれ、気温の高いところから低いところへと流れる。
砂漠は日が暮れると急速に気温が下がる。逆に日が昇ると照らされた地面が急速に温められて温度が上がる。
日が沈む時は太陽が西にあり、すでに暗くなった東側が寒くなるため、北西から南東へ向けて強い風が吹く。日が昇る時は逆で太陽が東にあり、明るくなった東側のほうが熱いため、南東から北西へ向けて強い風が吹く。風の強さは気温差によるため、日によって変わる。
また、季節によっても変わるはずだ。冬の気温は日中20度、夜間5度くらい。夏は日中40度、夜間10度くらい。差が大きいのは夏なので、おそらく冬よりは夏のほうが風が強いのではないかと思う。
この風は毎日吹いており、砂丘の上に立つと、稜線部分がちょうど風の向きに対して90度に直交していること分かった。つまりは、吹き寄せられた砂が朝夕に両側から吹き寄せられて大砂丘を形成しているのだ。そして砂丘のできる条件は、そこが風通しのよい場所、風の通り道の上にあることだったのだ。
これは、ヨルダンの砂丘ではわからなかった。砂丘に登ったのが真昼で、ほぼ風が無かったからだ。日暮れ時に砂丘を歩くとか、まぁ普通に暮らしてたらまず無い体験だろう…。
また、追記しておくと、砂丘登りは常に砂が叩きつける風の中を歩くことになる。全身砂まみれである。コンタクトは絶対やめよう。
あと靴も装備も無限に砂を浴びるのは覚悟していこう。帰国してから洗っても全然きれいにならないというか、どこかから追加の砂が湧いてくる状態だから…w
なお、このサハラの砂丘の歩きごこちは、日本で言うとパウダースノーの新雪に似ている。それが坂道になるのだから足が滑って全然前に進まない感じ。
雪ほど冷たくはなく、ビショビショになることはないが、逆に照りつける日差しが極悪。そして風が吹くと砂まみれになる。
登山者は、アイゼンすら刺さらない、あの新雪のサラサラ具合を思い出してほしい。雪山用の輪っかを付けたストックがあるとかなり登りやすくなると思われる。
そんななので、砂丘登りはぶっちゃけそんなに楽しくないw 見晴らしはいいんだけど…。足がずるずる滑るのに苛つくので…。
なぜか現地の人たちはすごいスピードでサックサク登っていたが、あれが出来るようになるには年月をかけて慣れなくては無理なんじゃないかと思うのだ…。
砂丘のほかに、この砂漠には奇岩もたくさんある。この砂風で毎日削られていれば、そりゃ岩の形も面白くなろうというもの。
一番有名なのは、このハリネズミ岩だろう。AIで生成したのかと疑われがちだが、ほんとにある。かわいい。ただし裏側から見るとただの岩。
写真映えのために岩に登るバカがたまにいるそうで、岩を痛めるので困っているとガイドさんが言っていた。


ただ、これらの岩の中には「xxに見えるからxx岩」と名前がついていても、イマイチそうは見えないものもたくさんある。
たとえば、こちらのゾウ岩。まあ頑張ればゾウに見えなくもないのだが、ハリネズミほど出来はよくない。
他にもいろんな、名物とされるネームドの岩を見たが、刺さるものはそれほど多くはなかった。

面白いと思ったのは、これらの浸食された岩が有機物を含む岩の多そうだということ。
こちらのアーチ岩などがわかりやすい。なんかこれ、石化したサンゴみたいな浸食の仕方をしている。
砂と風で浸食されているからには柔らかいとは思っていたが、実際に、これらの岩は砂漠の中では柔らかい部類だ。



サハラは古代には海だったといわれているが、柔らかい石はもしかしたら、古代の海の堆積物で出来た地層かもしれない。後日、化石の多いサイトを訪れた時に海の生き物っぽい化石がゴロゴロ落ちているのを見かけた。海藻の化石みたいに見える岩肌もあった。
エジプトの砂漠には、「鯨の谷(ワディ・エル・ヒタン)」という古代のクジラの祖先たちの化石がたくさん見られる場所があるが、緯度的にはそれよりずっと南のほうなのに、このあたりも古代には海だったのだろうか。


というわけで、サハラには化石の聖地まであった。
というかそのへんに化石落ちてるのは、いいのか…? とちょっと思ったけど。どうせ、価値のあるものはフランス植民地時代に持ち出されてるとかのパターンなんだろうなあ。
砂漠ツアーでは、これら岩絵を含む「見どころ」をチョイスして回っていくことになる。まあだいたいみんな行くところは同じなので、向かった先で別のグループと出くわすこともある。逆に言えば、それ以外で他グループの人間はほぼ見かけない。景勝地から離れた場所でスタックしたりパンクしたりすると、ほぼ遭難状態になるのではないかと…。
現代でもガチ遭難できる砂漠、それがサハラ。
衛星電話くらいしか使えず、GPSも怪しいこの地域は、今でも秘境と呼ぶにふさわしい領域だと思えたのだった。
****
まとめ読みはこちら
というか、風景・景観での景勝地としても売りだされており、今回参加したツアーも半分が岩絵、もう半分が砂漠の風景を目玉とした構成にななっていたので、その残り半分についても書いておこう。
サハラは意外と緑の多い土地であり、砂の多い、みんなの想像するいわゆる「ザ・砂漠」な風景は限られた場所にしか存在しない。
その「ザ・砂漠」の代表みたいな風景があるのがタダラートなのだ。
※CGみたいに見えるが現実
砂丘登りもやった。
これ自体はヨルダンの砂漠でもやった。よくあるアクティビティなのだと思うが、なんといってもサハラの砂丘は「デカい」。登るのはほぼ登山。そして周辺は見渡す限りの砂漠で、まさに「砂の海」。サハラの広大な砂の海を地平線まで見渡せるのは、ここならではだ。
まあ、ここ国境なんで、実際はこの広大な砂漠の向こうのほうに国境線が引かれている。砂漠の出口には厳重な警備が敷かれており、実際に不法移民や難民がこの砂を越えてくる。そして、見えているこの風景は、日本の外務省の情報でレベル4もしくはレベル3とされる地域でもある。
とはいっても、小さな村すら無く人が全然居ないので、実際には治安が危険というより「何があるかわからない」「何かあっても救出が困難」という意味でのレベル設定なのだろう。
写真だとわからないが、これらの写真が夕方もしくは朝早い時間だった場合、ほぼ確実に強い風が吹いている。
風は温度差によって生まれ、気温の高いところから低いところへと流れる。
砂漠は日が暮れると急速に気温が下がる。逆に日が昇ると照らされた地面が急速に温められて温度が上がる。
日が沈む時は太陽が西にあり、すでに暗くなった東側が寒くなるため、北西から南東へ向けて強い風が吹く。日が昇る時は逆で太陽が東にあり、明るくなった東側のほうが熱いため、南東から北西へ向けて強い風が吹く。風の強さは気温差によるため、日によって変わる。
また、季節によっても変わるはずだ。冬の気温は日中20度、夜間5度くらい。夏は日中40度、夜間10度くらい。差が大きいのは夏なので、おそらく冬よりは夏のほうが風が強いのではないかと思う。
この風は毎日吹いており、砂丘の上に立つと、稜線部分がちょうど風の向きに対して90度に直交していること分かった。つまりは、吹き寄せられた砂が朝夕に両側から吹き寄せられて大砂丘を形成しているのだ。そして砂丘のできる条件は、そこが風通しのよい場所、風の通り道の上にあることだったのだ。
これは、ヨルダンの砂丘ではわからなかった。砂丘に登ったのが真昼で、ほぼ風が無かったからだ。日暮れ時に砂丘を歩くとか、まぁ普通に暮らしてたらまず無い体験だろう…。
また、追記しておくと、砂丘登りは常に砂が叩きつける風の中を歩くことになる。全身砂まみれである。コンタクトは絶対やめよう。
あと靴も装備も無限に砂を浴びるのは覚悟していこう。帰国してから洗っても全然きれいにならないというか、どこかから追加の砂が湧いてくる状態だから…w
なお、このサハラの砂丘の歩きごこちは、日本で言うとパウダースノーの新雪に似ている。それが坂道になるのだから足が滑って全然前に進まない感じ。
雪ほど冷たくはなく、ビショビショになることはないが、逆に照りつける日差しが極悪。そして風が吹くと砂まみれになる。
登山者は、アイゼンすら刺さらない、あの新雪のサラサラ具合を思い出してほしい。雪山用の輪っかを付けたストックがあるとかなり登りやすくなると思われる。
そんななので、砂丘登りはぶっちゃけそんなに楽しくないw 見晴らしはいいんだけど…。足がずるずる滑るのに苛つくので…。
なぜか現地の人たちはすごいスピードでサックサク登っていたが、あれが出来るようになるには年月をかけて慣れなくては無理なんじゃないかと思うのだ…。
砂丘のほかに、この砂漠には奇岩もたくさんある。この砂風で毎日削られていれば、そりゃ岩の形も面白くなろうというもの。
一番有名なのは、このハリネズミ岩だろう。AIで生成したのかと疑われがちだが、ほんとにある。かわいい。ただし裏側から見るとただの岩。
写真映えのために岩に登るバカがたまにいるそうで、岩を痛めるので困っているとガイドさんが言っていた。
ただ、これらの岩の中には「xxに見えるからxx岩」と名前がついていても、イマイチそうは見えないものもたくさんある。
たとえば、こちらのゾウ岩。まあ頑張ればゾウに見えなくもないのだが、ハリネズミほど出来はよくない。
他にもいろんな、名物とされるネームドの岩を見たが、刺さるものはそれほど多くはなかった。
面白いと思ったのは、これらの浸食された岩が有機物を含む岩の多そうだということ。
こちらのアーチ岩などがわかりやすい。なんかこれ、石化したサンゴみたいな浸食の仕方をしている。
砂と風で浸食されているからには柔らかいとは思っていたが、実際に、これらの岩は砂漠の中では柔らかい部類だ。
サハラは古代には海だったといわれているが、柔らかい石はもしかしたら、古代の海の堆積物で出来た地層かもしれない。後日、化石の多いサイトを訪れた時に海の生き物っぽい化石がゴロゴロ落ちているのを見かけた。海藻の化石みたいに見える岩肌もあった。
エジプトの砂漠には、「鯨の谷(ワディ・エル・ヒタン)」という古代のクジラの祖先たちの化石がたくさん見られる場所があるが、緯度的にはそれよりずっと南のほうなのに、このあたりも古代には海だったのだろうか。
というわけで、サハラには化石の聖地まであった。
というかそのへんに化石落ちてるのは、いいのか…? とちょっと思ったけど。どうせ、価値のあるものはフランス植民地時代に持ち出されてるとかのパターンなんだろうなあ。
砂漠ツアーでは、これら岩絵を含む「見どころ」をチョイスして回っていくことになる。まあだいたいみんな行くところは同じなので、向かった先で別のグループと出くわすこともある。逆に言えば、それ以外で他グループの人間はほぼ見かけない。景勝地から離れた場所でスタックしたりパンクしたりすると、ほぼ遭難状態になるのではないかと…。
現代でもガチ遭難できる砂漠、それがサハラ。
衛星電話くらいしか使えず、GPSも怪しいこの地域は、今でも秘境と呼ぶにふさわしい領域だと思えたのだった。
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まとめ読みはこちら