日本人の腸内細菌に海藻分解酵素の遺伝子が! →よく見て…日本人「だけ」じゃないよ…。
かつて、海草(海藻)を消化できるのは日本人だけ! というトリビアが出回ったことがあった。それについては、だいぶ前に書いた以下の記事で、「母数が少なすぎる」「世界中の国を調べたわけでもなく、比較対象が限られすぎている」という点を指摘した。
海草(海藻)を消化できるのは日本人だけ! という話の出所を調べたら、話が全然違ってた
https://55096962.seesaa.net/article/201801article_11.html
ちなみに、上記トリビアの大元になった2010年の論文自体はまっとうなものだった。その内容が曲解されて一部だけ切り出された結果、おかしな話になってしまったというオチである。
Transfer of carbohydrate-active enzymes from marine bacteria to Japanese gut microbiota
https://www.nature.com/articles/nature08937
で、今回、「母数を増やしました!」「世界中調べてきました!」という発表が出たので、内容を紹介しておきたい。
日本人の腸内細菌は世界とどう違う?―世界37カ国の大規模比較から見えた日本人腸内マイクロバイオームの特徴
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/0029170.html

ただ最初に言っておくが、この研究も、日本人「だけ」が海藻を分解できるという話はしていない。 海藻の持つ糖分を分解できる酵素をつくりだせる腸内細菌の保持率は、日本人では約90%だが、韓国では、酵素の種類により91%、95%が保有する。つまり韓国のほうが比率が高い。
また中国やタイでもそこそこのパーセンテージがあり、他の地域でも少ないながら検出されているので、「東アジアに顕著に多い」と言っていい。

面白いのはカナダやアメリカでもそこそこのパーセンテージが出ていることだが、これはアメリカ先住民にルーツを持つ人からの検出では…? 国籍で分けるのではなく、ルーツでわけたほうがわかりやすいかもしれない。
アメリカ先住民は、みなさんご存知のとおり、アジア方面からベーリング海峡を渡って行った人々なのだ。
もし私の予想通り、アメリカ先住民の腸内細菌が東アジア人と共通する遺伝子を持っているのなら、その特性変化はベーリング海峡を渡った集団が分離する前に(おそらく直前とかに)起きていた可能性が高くなる。
ロシアからの検出も、シベリアとか、アジアに近い地域にルーツを持つ人からじゃないのかな…。
イスラエルに多いのは、イスラエル人にロシアからの移住者が多いのとも関連しているだろう。まあなんか、特定の腸内細菌の傾向から人の移動がうっすら見えるのは面白いと思う。
腸内細菌全般の傾向としては、インドとバングラディシュだけ突出してるっていうのが実に興味深い。
いや、うん…インド人はあのインドの料理食って生きていられるから、たぶん腸内環境がなんか特殊なんだとは思ってたけど、ほんとに特殊なんだな…。
というわけで、やはり「海草(海藻)を消化できるのは日本人だけ」は間違い。
「東アジア全般で分解に有利な腸内細菌を飼ってる率が高い」が正解で、「日本の比率は一位ではない」。そして「東アジア以外でもこの分解酵素を作れる腸内細菌を飼ってる人はそれなりにいる」。
これで覚えておきましょう。
******
なぜか何本も書いてる腸内細菌関連の記事
「大人は牛乳を消化出来ずにお腹を壊す」の誤解と、古代人のミルク摂取事情
https://55096962.seesaa.net/article/201902article_24.html
※この話は今回の発表の中にも含まれていた
縄文人の糞石から腸内フローラを分析する。コプロライトから知る古代人のお通じ事情
https://55096962.seesaa.net/article/502242125.html
人間同様、家畜の腸内細菌も地域差がありそうだ…という話
https://55096962.seesaa.net/article/499546483.html
あと、腸関連でのオマケ
「日本人は草食なので欧米人より腸が長い」の嘘と実際/データを調べてみた
https://55096962.seesaa.net/article/201903article_5.html
海草(海藻)を消化できるのは日本人だけ! という話の出所を調べたら、話が全然違ってた
https://55096962.seesaa.net/article/201801article_11.html
ちなみに、上記トリビアの大元になった2010年の論文自体はまっとうなものだった。その内容が曲解されて一部だけ切り出された結果、おかしな話になってしまったというオチである。
Transfer of carbohydrate-active enzymes from marine bacteria to Japanese gut microbiota
https://www.nature.com/articles/nature08937
で、今回、「母数を増やしました!」「世界中調べてきました!」という発表が出たので、内容を紹介しておきたい。
日本人の腸内細菌は世界とどう違う?―世界37カ国の大規模比較から見えた日本人腸内マイクロバイオームの特徴
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/0029170.html
ただ最初に言っておくが、この研究も、日本人「だけ」が海藻を分解できるという話はしていない。 海藻の持つ糖分を分解できる酵素をつくりだせる腸内細菌の保持率は、日本人では約90%だが、韓国では、酵素の種類により91%、95%が保有する。つまり韓国のほうが比率が高い。
また中国やタイでもそこそこのパーセンテージがあり、他の地域でも少ないながら検出されているので、「東アジアに顕著に多い」と言っていい。
面白いのはカナダやアメリカでもそこそこのパーセンテージが出ていることだが、これはアメリカ先住民にルーツを持つ人からの検出では…? 国籍で分けるのではなく、ルーツでわけたほうがわかりやすいかもしれない。
アメリカ先住民は、みなさんご存知のとおり、アジア方面からベーリング海峡を渡って行った人々なのだ。
もし私の予想通り、アメリカ先住民の腸内細菌が東アジア人と共通する遺伝子を持っているのなら、その特性変化はベーリング海峡を渡った集団が分離する前に(おそらく直前とかに)起きていた可能性が高くなる。
ロシアからの検出も、シベリアとか、アジアに近い地域にルーツを持つ人からじゃないのかな…。
イスラエルに多いのは、イスラエル人にロシアからの移住者が多いのとも関連しているだろう。まあなんか、特定の腸内細菌の傾向から人の移動がうっすら見えるのは面白いと思う。
腸内細菌全般の傾向としては、インドとバングラディシュだけ突出してるっていうのが実に興味深い。
いや、うん…インド人はあのインドの料理食って生きていられるから、たぶん腸内環境がなんか特殊なんだとは思ってたけど、ほんとに特殊なんだな…。
というわけで、やはり「海草(海藻)を消化できるのは日本人だけ」は間違い。
「東アジア全般で分解に有利な腸内細菌を飼ってる率が高い」が正解で、「日本の比率は一位ではない」。そして「東アジア以外でもこの分解酵素を作れる腸内細菌を飼ってる人はそれなりにいる」。
これで覚えておきましょう。
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なぜか何本も書いてる腸内細菌関連の記事
「大人は牛乳を消化出来ずにお腹を壊す」の誤解と、古代人のミルク摂取事情
https://55096962.seesaa.net/article/201902article_24.html
※この話は今回の発表の中にも含まれていた
縄文人の糞石から腸内フローラを分析する。コプロライトから知る古代人のお通じ事情
https://55096962.seesaa.net/article/502242125.html
人間同様、家畜の腸内細菌も地域差がありそうだ…という話
https://55096962.seesaa.net/article/499546483.html
あと、腸関連でのオマケ
「日本人は草食なので欧米人より腸が長い」の嘘と実際/データを調べてみた
https://55096962.seesaa.net/article/201903article_5.html