日本で見つかっていた「トラの骨」、実はホラアナライオンだった。ライオンはどうやって日本にやって来たか
トラとライオンはどちらも生態系上位の肉食獣である。エモノなども被ることから、生活圏が競合すると、どちらか一方だけが残ることが一般的らしい。
その流れから、かつての日本は、中国大陸と同じくトラ圏だと思われてきた。日本で見つかっている古い大型ネコ科動物の骨も、すべてトラだろうと思われてきたのだ。
――が、ミトコンドリアDNAを抽出してみたら、なんと、全部ホラアナライオンだったらしい。
なんと日本はライオン圏。それも、アメリカに渡った集団の一部と近縁で、おそらくシベリアあたりで分岐して入ってきたものだろうと考えられるらしい。
The Japanese Archipelago sheltered cave lions, not tigers, during the Late Pleistocene
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2523901123
さすがに全てのサンプルからDNAは抽出出来なかったようだが、抽出できた赤い●の分布を見ると、おそらく日本全国、北から南までホラアナライオンいたんだろうなあという分散具合になっている。

ミトコンドリアDNAの近似から各系統との距離を示した系統樹はこれ。
日本の個体から検出されたものは「Japanease」と書かれている部分で、ヒョウやトラとは明らかに違う、ホラアナライオンのグループに含まれる系統と分かる。
これだけはっきり結果が出ていると、「なるほど…トラじゃなくてホラアナライオンなんだな…」と納得できる。
(ミトコンドリアDNAでの判別なので、厳密には母系しか分からないが、異種交雑はほとんど発生しないのでここでは考慮しなくていい。また、検出されたミトコンドリアDNAがすべてホラアナライオンだったからといって、トラが全くいなかった証拠にはならないが、いたとしても数は少ないか、定着しなかった可能性が高い)

ライオンの祖先がアフリカを出発したのは約100万年前。
約75万~70万年前までにはヨーロッパに到達。ユーラシア大陸を横断し、約19万前くらいにはアラスカにも到達しているという。
なので、シベリアにはそれ以前からホラアナライオンが居たとしても矛盾はない。
アメリカには少なくとも3回、ライオンの仲間の移住の波があったとされる。
1回めにアメリカライオン、2回めにホラアナライオン(グループ1)、3回めにホラアナライオン(グループ2)。このうち、日本で見つかった骨のミトコンドリアDNAから検出されているのは、2回めの移住の波と一致するホラアナライオン(グループ1)に近いもの。
つまり、このグループから分離したものが日本にもやってきた、と見なすのが妥当。時期的に7万1千年~5万6千年前くらい。

日本列島に最初に人間が渡ってきたのは4万年前ごろとされ、ホラアナライオンが姿を消すのは1万年前くらい。その時代の日本列島には、オオカミ、ヒグマ、ツキノワグマといった大型肉食獣もいた。(今は北海道にしかいないヒグマが本州にもいた)
つまり我々のご先祖様は、これらの強敵に加え、ホラアナライオンとも戦いながら生き延びてきたわけである。うーん! 強い…!
なお、この論文の最後に「なぜトラではなくホラアナライオンが日本で勢力圏を広げたのか」について、面白い考察が書かれていた。
単独で狩りをするトラに比べ、集団で狩りをするライオンのほうが生き延びやすい環境だったのかもしれない、というものだ。
中国の海岸沿いような平原の多い広い土地と、狭くて山がちな日本だと狩りの効率が変わるというのはあるかもしれない。
もしくは、単純にホラアナライオンのほうが先に日本列島に入ってきて勢力圏を築いてしまったので、あとから来たトラは広がれずに撤退したとかかもしれないが。
いずれにせよ、「古代の日本にホラアナライオンがいた」というのは、今までのイメージを大きく変える発見になるだろう。
それと、いくつかのサイトで以下のようなイメージ図が出回っていたが、これはいろんな意味で正しくない…。
そもそも富士山が今の姿になったのは1万年前くらいで、ホラアナライオンのいた時代にこんな形の富士山はないw

出典元

出典元
また、雪の積もった木が明らかに落葉広葉樹で、氷期にこんな木が生えてるわけはない。もっと寒冷地むきの木、いまのシベリアとかに生えてるような種類だったはずだ。古代に対する想像力が足りない。日本ってことでなんか日本的なシンボルを出したかったんだろうが、イメージ図はやり直してほしいところである…。
その流れから、かつての日本は、中国大陸と同じくトラ圏だと思われてきた。日本で見つかっている古い大型ネコ科動物の骨も、すべてトラだろうと思われてきたのだ。
――が、ミトコンドリアDNAを抽出してみたら、なんと、全部ホラアナライオンだったらしい。
なんと日本はライオン圏。それも、アメリカに渡った集団の一部と近縁で、おそらくシベリアあたりで分岐して入ってきたものだろうと考えられるらしい。
The Japanese Archipelago sheltered cave lions, not tigers, during the Late Pleistocene
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2523901123
さすがに全てのサンプルからDNAは抽出出来なかったようだが、抽出できた赤い●の分布を見ると、おそらく日本全国、北から南までホラアナライオンいたんだろうなあという分散具合になっている。
ミトコンドリアDNAの近似から各系統との距離を示した系統樹はこれ。
日本の個体から検出されたものは「Japanease」と書かれている部分で、ヒョウやトラとは明らかに違う、ホラアナライオンのグループに含まれる系統と分かる。
これだけはっきり結果が出ていると、「なるほど…トラじゃなくてホラアナライオンなんだな…」と納得できる。
(ミトコンドリアDNAでの判別なので、厳密には母系しか分からないが、異種交雑はほとんど発生しないのでここでは考慮しなくていい。また、検出されたミトコンドリアDNAがすべてホラアナライオンだったからといって、トラが全くいなかった証拠にはならないが、いたとしても数は少ないか、定着しなかった可能性が高い)
ライオンの祖先がアフリカを出発したのは約100万年前。
約75万~70万年前までにはヨーロッパに到達。ユーラシア大陸を横断し、約19万前くらいにはアラスカにも到達しているという。
なので、シベリアにはそれ以前からホラアナライオンが居たとしても矛盾はない。
アメリカには少なくとも3回、ライオンの仲間の移住の波があったとされる。
1回めにアメリカライオン、2回めにホラアナライオン(グループ1)、3回めにホラアナライオン(グループ2)。このうち、日本で見つかった骨のミトコンドリアDNAから検出されているのは、2回めの移住の波と一致するホラアナライオン(グループ1)に近いもの。
つまり、このグループから分離したものが日本にもやってきた、と見なすのが妥当。時期的に7万1千年~5万6千年前くらい。
日本列島に最初に人間が渡ってきたのは4万年前ごろとされ、ホラアナライオンが姿を消すのは1万年前くらい。その時代の日本列島には、オオカミ、ヒグマ、ツキノワグマといった大型肉食獣もいた。(今は北海道にしかいないヒグマが本州にもいた)
つまり我々のご先祖様は、これらの強敵に加え、ホラアナライオンとも戦いながら生き延びてきたわけである。うーん! 強い…!
なお、この論文の最後に「なぜトラではなくホラアナライオンが日本で勢力圏を広げたのか」について、面白い考察が書かれていた。
単独で狩りをするトラに比べ、集団で狩りをするライオンのほうが生き延びやすい環境だったのかもしれない、というものだ。
中国の海岸沿いような平原の多い広い土地と、狭くて山がちな日本だと狩りの効率が変わるというのはあるかもしれない。
もしくは、単純にホラアナライオンのほうが先に日本列島に入ってきて勢力圏を築いてしまったので、あとから来たトラは広がれずに撤退したとかかもしれないが。
いずれにせよ、「古代の日本にホラアナライオンがいた」というのは、今までのイメージを大きく変える発見になるだろう。
それと、いくつかのサイトで以下のようなイメージ図が出回っていたが、これはいろんな意味で正しくない…。
そもそも富士山が今の姿になったのは1万年前くらいで、ホラアナライオンのいた時代にこんな形の富士山はないw
出典元
出典元
また、雪の積もった木が明らかに落葉広葉樹で、氷期にこんな木が生えてるわけはない。もっと寒冷地むきの木、いまのシベリアとかに生えてるような種類だったはずだ。古代に対する想像力が足りない。日本ってことでなんか日本的なシンボルを出したかったんだろうが、イメージ図はやり直してほしいところである…。