パピルスに使われた修正液はなぜ白いのか/新品のパピルスは白かったから…
1922年にウィリアム・フリンダーズ・ペトリーが発見し、現在はイギリスのフィッツウィリアム美術館に収蔵されている「死者の書」に、修正液の跡が見つかった、という記事を見つけて読んでいた。
修正されていた箇所は「道を切り開くもの」という別名を持つウプウアウト(ウェプワウト)神の体だ。上下が白いラインで修正され、体を細くしている。(神に触れているのは、この「死者の書」の持ち主、ラモーセ)

https://archaeology.org/news/2026/03/12/correction-fluid-analyzed-in-ancient-egyptian-book-of-the-dead/
この死者の書は新王国時代のもので、この時代には王族だけでなく貴族の高官も準備さえすれば来世の楽園に行けることになっていた。自分の好みの墓を作らせ、人によっていろんな副葬品、死者の書を含む呪文書などを墓に入れていた。
死者の書は工房のような場所で流れ作業で作られていたと考えられ、弟子の描いたイマイチな神の図を師匠が修正した、とか、依頼主のラモーセが、完成品を見て気に入らない部分のリテイク指示を出したのかもしれない。
それ自体はよくあることなので、特に珍しいというわけではない。
ただ面白いのは、この白いラインを分析したら黄色い塗料が混じっていたということで、本来この線は白ではなくクリーム色っぽい感じだったのだ。
これは新品のパピルス紙の色。年月が経つと黄色が濃く、黒ずんだ感じになってしまうのだが、本来のパピルス紙は白に近い色なのだ。そして、高級品ほど白いとされていたことも分かっている。
ということは、修正されたのは紙がまだ新しかった時期で、かつラモーセは高級なパピルス紙を使って自分用の死者の書を作らせていたことがわかる。
修正液が使われているパピルスはいままで博物館などで何度か見てきて、そのたびに「おもくそ白塗りしてんなあ…目立つなあ…」と思ってきたのだが、紙が新しかった時代には目立たなかったのだ、というのは新しい気付きだった。
まあそうだよね。納品先を急遽変えて人の名前すら修正液で直してるやつあるもんね。あれ多分、ほんとは直したことがバレないようにうまいことやってたんだな…。
*****
エジプトの工房事情については、最近こんな研究も出ている。
徒弟制度なので、弟子が作ったとこと師匠の作ったとこでレベルが違う。レリーフや壁画のリテイク跡もけっこう見つかるようなので、絵師の工房も事情は同じだったのだと思う。
古代エジプトの浮き彫り絵師事情;壁画のお仕事はOJTで!
https://55096962.seesaa.net/article/202111article_23.html
蛍光X線分析で見る古代エジプトの墓壁画/描き直しの跡いろいろ
https://55096962.seesaa.net/article/500039665.html
修正されていた箇所は「道を切り開くもの」という別名を持つウプウアウト(ウェプワウト)神の体だ。上下が白いラインで修正され、体を細くしている。(神に触れているのは、この「死者の書」の持ち主、ラモーセ)
https://archaeology.org/news/2026/03/12/correction-fluid-analyzed-in-ancient-egyptian-book-of-the-dead/
この死者の書は新王国時代のもので、この時代には王族だけでなく貴族の高官も準備さえすれば来世の楽園に行けることになっていた。自分の好みの墓を作らせ、人によっていろんな副葬品、死者の書を含む呪文書などを墓に入れていた。
死者の書は工房のような場所で流れ作業で作られていたと考えられ、弟子の描いたイマイチな神の図を師匠が修正した、とか、依頼主のラモーセが、完成品を見て気に入らない部分のリテイク指示を出したのかもしれない。
それ自体はよくあることなので、特に珍しいというわけではない。
ただ面白いのは、この白いラインを分析したら黄色い塗料が混じっていたということで、本来この線は白ではなくクリーム色っぽい感じだったのだ。
これは新品のパピルス紙の色。年月が経つと黄色が濃く、黒ずんだ感じになってしまうのだが、本来のパピルス紙は白に近い色なのだ。そして、高級品ほど白いとされていたことも分かっている。
ということは、修正されたのは紙がまだ新しかった時期で、かつラモーセは高級なパピルス紙を使って自分用の死者の書を作らせていたことがわかる。
修正液が使われているパピルスはいままで博物館などで何度か見てきて、そのたびに「おもくそ白塗りしてんなあ…目立つなあ…」と思ってきたのだが、紙が新しかった時代には目立たなかったのだ、というのは新しい気付きだった。
まあそうだよね。納品先を急遽変えて人の名前すら修正液で直してるやつあるもんね。あれ多分、ほんとは直したことがバレないようにうまいことやってたんだな…。
*****
エジプトの工房事情については、最近こんな研究も出ている。
徒弟制度なので、弟子が作ったとこと師匠の作ったとこでレベルが違う。レリーフや壁画のリテイク跡もけっこう見つかるようなので、絵師の工房も事情は同じだったのだと思う。
古代エジプトの浮き彫り絵師事情;壁画のお仕事はOJTで!
https://55096962.seesaa.net/article/202111article_23.html
蛍光X線分析で見る古代エジプトの墓壁画/描き直しの跡いろいろ
https://55096962.seesaa.net/article/500039665.html