「パリに咲くエトワール」観てきた、美術史・戦争史好きほど楽しめるはず
「パリに咲くエトワール」、初週のなかなか好評だったのと、予告編からして映画館の映像と音響で見ないとだけなやつだな…と察したので、映画館に足を運んでみた。
評判通りの良作、そして丁寧に積み上げられていくストーリーの起伏。時代考証もしっかりされていてパリの街とそこに住む人たちが魅力的に描かれていてエンタテイメントとしてよくできている。
大きな出来事や劇的な転換期はないが、見ていて見終わったあとに爽やかさの残るいい作品である。(その後の厳しい時代を考えると、彼女たちの未来が手放しに明るかったとも思えず、あそこで終わるのはまあ、お話としてはいい区切りかと…)
公式
https://sh-anime.shochiku.co.jp/parieto-movie/

起承転結でいうならば、自分の夢を諦めようとしていた千鶴がパリのバレエ団に挑戦することを決め、対照的に、今まで自分の夢のために突っ走ってきたフジコが絵を描けなくなってしまうところが「転」だろうか。
「すごい画家がいっぱいいすぎて、どんな絵を描いたらいいかわからなくなった」と泣きながら吐露するところは、あーね…と思ってしまった。気持ちは分かる。だって当時のフランス、すごい画家がいっぱいいるんだもん。
モネもルノワールもまだ存命だし、新進気鋭のピカソまである。あとマティスでしょ。そういやミュシャも一時期フランスにいたはず。超序盤に一瞬だけサプリミナルみたいに流れていった巨匠たちの名画が、そこでストーリーに繋がってくる。
あの巨匠たちと同時代に生きてたら、凡才は筆を折りたくなっても仕方がない…。
でも、彼女は諦めないのだ。最後に、自分なりの答えを出す。それが
そして、淡い恋心を抱いていた若きピアニストとの関係にも結論を出す。
(というか、その恋心の描写が全編に渡って繊細なので、デート映画としてもよくできている。スズランの花束を千鶴が受け取るシーンで嫉妬を隠せないのがいじらしくて大変よろしい)
千鶴のほうが目立ってはいるけれど、そしてタイトルが「エトワール」ではあるけれど、主人公はフジコのほうなんだな、と分かる作りになっているのも構成としての手腕が光る。
また先述したとおり、その時代に生きていた画家などの美術史や、劇中で背景情報として流れていく「ドイツがロンドンを空爆した」「男が戦争に取られていくから女も働かなければ」などの街の噂話は、戦争史を知っていればより楽しめると思う。
描写がリアルなだけに、あー…あの戦いがこれから起きるのか…とか、あと○年経てばパリで講和するけど、そのあと第二次世界大戦が…とか、いろんなことが頭を過ぎって、劇中の登場人物たちが心配していることや、これから起きることがなんとなく分かるのだ。軍人さんの軍服とか、街に貼ってあるポスターまで作り込まれているので、舞台背景としてミリタリーオタはきっと色々気がつくんだろうなあ。
オタク向け要素はないし派手さもないが、映像、音楽、そしてきれいに纏ったストーリー、見終わったあとの余韻など、映画に求めるものが一通り揃っていて、確かに「加点方式で積み上げていくと100点に近くなる」という作品だった。
一つだけ難を言えば、声優を起用していないのでフジコの声は最後まで慣れなかった。棒読みとまではいかないが、なんか演技が不自然だった…。千鶴はまだ聞けたけど…。
******
あと断片的な感想おまけ
・聞き間違いじゃなければ薙刀のシーンで通行人が「なんでこんなところでバリツを」って多分言ってたと思う。そういえば、シャーロック・ホームズシリーズが連載されていたのもこの時代
・ジャム作り大好きおばさんはちょっと笑った。フランスのおばさんといえば、やはりジャム…。
・イッヌかわいい。ネコもいちおう出てくるけどイッヌ推しの映画。なんであんなにイッヌの行動がリアルなんだ。
・トラムー! 100年前のトラムだウォオオ
・この軍人さんの制服、ヘタリアで見たやつ!
・バレエ教室のライバルちゃん大好き、千鶴との絡みをもっと見ていたかった。帰国してからも手紙のやりとりとかしてて欲しい
・申し訳ないがルスランはロミオの青い空のアルフレドにしか見えなかった、早世しそうな先入観ががが
******
この映画の設定年代と同時期に、パリで漆職人をやっていた日本人もいた。以前調べた記事は以下。
知られざる100年前の日本人芸術家海外事情「パリの漆職人」
https://55096962.seesaa.net/article/202203article_12.html
フジコや千鶴と同じように夢を抱いてパリに移住し、歴史に微かな痕跡を残して消えていった無名の日本人芸術家たちも沢山いたんだろうなあ、と思うのだ。
評判通りの良作、そして丁寧に積み上げられていくストーリーの起伏。時代考証もしっかりされていてパリの街とそこに住む人たちが魅力的に描かれていてエンタテイメントとしてよくできている。
大きな出来事や劇的な転換期はないが、見ていて見終わったあとに爽やかさの残るいい作品である。(その後の厳しい時代を考えると、彼女たちの未来が手放しに明るかったとも思えず、あそこで終わるのはまあ、お話としてはいい区切りかと…)
公式
https://sh-anime.shochiku.co.jp/parieto-movie/
起承転結でいうならば、自分の夢を諦めようとしていた千鶴がパリのバレエ団に挑戦することを決め、対照的に、今まで自分の夢のために突っ走ってきたフジコが絵を描けなくなってしまうところが「転」だろうか。
「すごい画家がいっぱいいすぎて、どんな絵を描いたらいいかわからなくなった」と泣きながら吐露するところは、あーね…と思ってしまった。気持ちは分かる。だって当時のフランス、すごい画家がいっぱいいるんだもん。
モネもルノワールもまだ存命だし、新進気鋭のピカソまである。あとマティスでしょ。そういやミュシャも一時期フランスにいたはず。超序盤に一瞬だけサプリミナルみたいに流れていった巨匠たちの名画が、そこでストーリーに繋がってくる。
あの巨匠たちと同時代に生きてたら、凡才は筆を折りたくなっても仕方がない…。
でも、彼女は諦めないのだ。最後に、自分なりの答えを出す。それが
そして、淡い恋心を抱いていた若きピアニストとの関係にも結論を出す。
(というか、その恋心の描写が全編に渡って繊細なので、デート映画としてもよくできている。スズランの花束を千鶴が受け取るシーンで嫉妬を隠せないのがいじらしくて大変よろしい)
千鶴のほうが目立ってはいるけれど、そしてタイトルが「エトワール」ではあるけれど、主人公はフジコのほうなんだな、と分かる作りになっているのも構成としての手腕が光る。
また先述したとおり、その時代に生きていた画家などの美術史や、劇中で背景情報として流れていく「ドイツがロンドンを空爆した」「男が戦争に取られていくから女も働かなければ」などの街の噂話は、戦争史を知っていればより楽しめると思う。
描写がリアルなだけに、あー…あの戦いがこれから起きるのか…とか、あと○年経てばパリで講和するけど、そのあと第二次世界大戦が…とか、いろんなことが頭を過ぎって、劇中の登場人物たちが心配していることや、これから起きることがなんとなく分かるのだ。軍人さんの軍服とか、街に貼ってあるポスターまで作り込まれているので、舞台背景としてミリタリーオタはきっと色々気がつくんだろうなあ。
オタク向け要素はないし派手さもないが、映像、音楽、そしてきれいに纏ったストーリー、見終わったあとの余韻など、映画に求めるものが一通り揃っていて、確かに「加点方式で積み上げていくと100点に近くなる」という作品だった。
一つだけ難を言えば、声優を起用していないのでフジコの声は最後まで慣れなかった。棒読みとまではいかないが、なんか演技が不自然だった…。千鶴はまだ聞けたけど…。
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あと断片的な感想おまけ
・聞き間違いじゃなければ薙刀のシーンで通行人が「なんでこんなところでバリツを」って多分言ってたと思う。そういえば、シャーロック・ホームズシリーズが連載されていたのもこの時代
・ジャム作り大好きおばさんはちょっと笑った。フランスのおばさんといえば、やはりジャム…。
・イッヌかわいい。ネコもいちおう出てくるけどイッヌ推しの映画。なんであんなにイッヌの行動がリアルなんだ。
・トラムー! 100年前のトラムだウォオオ
・この軍人さんの制服、ヘタリアで見たやつ!
・バレエ教室のライバルちゃん大好き、千鶴との絡みをもっと見ていたかった。帰国してからも手紙のやりとりとかしてて欲しい
・申し訳ないがルスランはロミオの青い空のアルフレドにしか見えなかった、早世しそうな先入観ががが
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この映画の設定年代と同時期に、パリで漆職人をやっていた日本人もいた。以前調べた記事は以下。
知られざる100年前の日本人芸術家海外事情「パリの漆職人」
https://55096962.seesaa.net/article/202203article_12.html
フジコや千鶴と同じように夢を抱いてパリに移住し、歴史に微かな痕跡を残して消えていった無名の日本人芸術家たちも沢山いたんだろうなあ、と思うのだ。