フランスのぶどうの遺伝子調査:接ぎ木技術が発展してからはずっとクローン栽培なのでDNA一致するらしい

フランスでワインづくりに作られるブドウ品種のDNAを古代の品種と調べてみた、という論文を見つけたのでちょっと読んでみた。
ローマ時代に広まった品種が今の系統に繋がっていることも面白かったが、600年くらい前からは接ぎ木技術が普及したのでクローンでぶどうを増やしていて、中世のブドウの一つは、現代の「ピノ・ノワール」という品種とDNAが一致するらしい。なるほどなあという結果。

Ancient DNA reveals 4000 years of grapevine diversity, viticulture and clonal propagation in France
https://www.nature.com/articles/s41467-026-70166-z

調べたのは、約4,000年前からのヨーロッパ近辺全般の野生ぶどう種49種と、現代のフランスで栽培されている品種。
地域によって系統がある程度まとまっているのは、まあ予想通り。フランスでは

古代のぶどうの時代と検出されたタイプがこちら

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現代のぶどうとの比較はこちら。
右下に古代ぶどうと現代ぶどうの凡例あり、遺伝的に近いか遠いかが記されている。

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エジプトを含む地中海対岸のぶどうの系統はほぼ入っていないが、イタリア方面から伝わっている系統あはあり、これ地文ローマ帝国の時代に物流の中で交雑していったな? という感じがする。クローン技術が普及する前は、自然交配もそれなりに発生していたと考えられる。
野生系統のみの遺伝子プロファイルを持つサンプルは青銅器時代(紀元前2,300年)からローマ時代(紀元後1世紀)までしか存在しないようなので、それ以降はフランスで人為的なぶどう栽培が開始され、ワイン生産が始まったと解釈される。
これは一般的なワイン史とも一致するので、内容的には妥当そうだ。

フランス北部と南部でやや系統が違うようにも見えるが、これは気候が違うので栽培に適した品種も違うためかな、と思う。
系統を辿っていくと、栽培の歴史が見えてくるようでなかなか興味深い結果だった。

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ちなみに、この論文が目に留まった理由は、過去に「マスカット・オブ・アレキサンドリア」というぶどうについて調べたことがあったからだ。

このぶどうはフランスでワイン作りに使われる品種の一つだが、Web上では「エジプト原産で、アレキサンドラアからヨーロッパ世界に輸出されていったのだ」という説が記載されている。しかしエジプトで栽培されていたのは一般的に赤ワイン用のぶどうであり、白ワイン用のぶどうが栽培されていた証拠は乏しい。白ワインも検出されてはいるものの、輸入品ではないかとされている。

逆にいうと、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」をエジプト原産と信じる理由も根拠も見つからない。
墓内の壁画や図像に登場するのは常に赤ワイン用のぶどうで、そもそもマスカット品種が栽培されていたかどうかもわからない。

最近のDNA調査でも「マスカット・オブ・アリキサンドリア」はギリシャの野生ぶどうと東地中海品種の自然交配だと出ているようなので、古代品種には違いないが、エジプト原産ではなく、東地中海沿岸のどこか(ギリシャ人入植地?)と考えるのが妥当だろうと思う。