日本の調査隊が発掘している「テル・シンカー」遺跡、これまでの調査経緯などを調べてみた
アッカド王朝初代首都「アガデ」かもしれない、として日本の調査隊が発掘に入っているイラクのテル・シンカー遺跡。巨大な遺跡で、周辺に散らばっている遺物(表面採集)から、おそらくアッカド王朝時代からある古い都市遺跡のはずだというのだが、そのわりに最近になるまで着目されてこなかったのが不思議だなあ。と思った。
それでこれまでの経緯をちょっと調べてみたのだが、いくつかのことが分かった。
・この遺跡自体の重要性は認識されてきたが、これまでイラクの政情不安から発掘されていなかった
現在進んでいる調査もイラク政府と軍の協力つき
・アガデの候補とされる遺跡は他にある
・テル・シンカー自体もこれまでは別の都市の候補とされてきた
この遺跡を以前に調査したのは、アメリカのシカゴ大学ののR. McC. アダムズ(Adams)で1950年代のことらしい。その時に簡易的な調査を行って、遺跡の範囲を大まかに特定し、デカいい席がここにあるねというのは分かっていたようだ。

ただ、集落に被っているし、その後イラン・イラク戦争があったり、湾岸戦争があったり、アラブの春のあとISがバクダッド近くまで侵攻したりと政治的に安定していないため、、調査できる時代がなかなかないまま今に至ったということらしい。
(遺跡はバグダッドの52km北)
調査が本格的に始まったのが2025年。その時の写真がここにあったが、ばっちり軍が警護についている。
https://www1.niu.ac.jp/topics/study/2025/7009.html
で、この遺跡だが、手持ちの本では別の都市の候補地になっていた。
月神シンを祀っていた都市、アクシャクである。その場合、アッカドはバグダッドより南ではないかという説になる。

アクシャクもアガデも、当時の主要都市キシュやニップルに近い場所にあったはずと考えられているため、この周辺で一定以上の規模があり、かつアッカド以前の時代まで遡れる都市遺構については、ほぼすべてが候補地になるようだ。
ということは、日本隊がアガデの有力候補として発掘しようとしているテル・シンカー遺跡も、この条件を満たす必要がある。前者の「一定以上の規模」は満たせるようだが、問題は後者だろうか。
アガデは紀元前2,300年にサルゴン王によってアッカドと改名され、アッカド帝国の首都となる。
それ以前の時代から居住の痕跡がないと史実に一致しない。テル・シンカーがアッカド時代まで遡るのは確実とされているが、アッカド以前の時代まで行けるかどうかが肝になってくるかなと思う。
あと都市名を書いた粘土板とかが出てくれば確定するのだが…果たしてそこはどうなるか。
改めて調べてみて思ったのだが、シュメール・アッカドあたるの古いとしは、名前が分かっていても場所が分からないケースがとても多い。理由は、川の流れが時代によって大きく変化しているからである。
川の流れが変わって放棄された都市すらあるくらいだ。
エジプトの場合も、ナイルの流れは大きく変化している。変化しているが、メンフィス以北のナイル渓谷は東西の谷の中で流れが変わっているので、都市を見失うことはほとんどない。だいたいの場所と探すべき範囲はわかる。
ナイル下流で扇状地にあった都市は、完全に水没していたり、泥に埋もれたりしていて特定出来ないケースもあるが、名前もわからない遺跡がぽこぽこある状態ではない。
今あるシュメールやアッカドの時代の都市地図は、かなりの範囲で推定を含んだものだということは、ひとつ認識しておいてもいいかもしれない。
****
なお、川の流れの変化については以下の記事も参考として置いておく。
同じ大河のほとりに芽生えた文明とはいえ、その大河の性格がかなり違うのが、メソポタミアとエジプトなのだ。
他の大河と比較した場合、ナイル川はあまり土砂を運んでいない。大河文明と川の性格について
https://55096962.seesaa.net/article/515241770.html
メソポタミアの古代の農業用灌漑水路、エリドゥ周辺の調査で明らかに
https://55096962.seesaa.net/article/511414300.htm
それでこれまでの経緯をちょっと調べてみたのだが、いくつかのことが分かった。
・この遺跡自体の重要性は認識されてきたが、これまでイラクの政情不安から発掘されていなかった
現在進んでいる調査もイラク政府と軍の協力つき
・アガデの候補とされる遺跡は他にある
・テル・シンカー自体もこれまでは別の都市の候補とされてきた
この遺跡を以前に調査したのは、アメリカのシカゴ大学ののR. McC. アダムズ(Adams)で1950年代のことらしい。その時に簡易的な調査を行って、遺跡の範囲を大まかに特定し、デカいい席がここにあるねというのは分かっていたようだ。
ただ、集落に被っているし、その後イラン・イラク戦争があったり、湾岸戦争があったり、アラブの春のあとISがバクダッド近くまで侵攻したりと政治的に安定していないため、、調査できる時代がなかなかないまま今に至ったということらしい。
(遺跡はバグダッドの52km北)
調査が本格的に始まったのが2025年。その時の写真がここにあったが、ばっちり軍が警護についている。
https://www1.niu.ac.jp/topics/study/2025/7009.html
で、この遺跡だが、手持ちの本では別の都市の候補地になっていた。
月神シンを祀っていた都市、アクシャクである。その場合、アッカドはバグダッドより南ではないかという説になる。
アクシャクもアガデも、当時の主要都市キシュやニップルに近い場所にあったはずと考えられているため、この周辺で一定以上の規模があり、かつアッカド以前の時代まで遡れる都市遺構については、ほぼすべてが候補地になるようだ。
ということは、日本隊がアガデの有力候補として発掘しようとしているテル・シンカー遺跡も、この条件を満たす必要がある。前者の「一定以上の規模」は満たせるようだが、問題は後者だろうか。
アガデは紀元前2,300年にサルゴン王によってアッカドと改名され、アッカド帝国の首都となる。
それ以前の時代から居住の痕跡がないと史実に一致しない。テル・シンカーがアッカド時代まで遡るのは確実とされているが、アッカド以前の時代まで行けるかどうかが肝になってくるかなと思う。
あと都市名を書いた粘土板とかが出てくれば確定するのだが…果たしてそこはどうなるか。
改めて調べてみて思ったのだが、シュメール・アッカドあたるの古いとしは、名前が分かっていても場所が分からないケースがとても多い。理由は、川の流れが時代によって大きく変化しているからである。
川の流れが変わって放棄された都市すらあるくらいだ。
エジプトの場合も、ナイルの流れは大きく変化している。変化しているが、メンフィス以北のナイル渓谷は東西の谷の中で流れが変わっているので、都市を見失うことはほとんどない。だいたいの場所と探すべき範囲はわかる。
ナイル下流で扇状地にあった都市は、完全に水没していたり、泥に埋もれたりしていて特定出来ないケースもあるが、名前もわからない遺跡がぽこぽこある状態ではない。
今あるシュメールやアッカドの時代の都市地図は、かなりの範囲で推定を含んだものだということは、ひとつ認識しておいてもいいかもしれない。
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なお、川の流れの変化については以下の記事も参考として置いておく。
同じ大河のほとりに芽生えた文明とはいえ、その大河の性格がかなり違うのが、メソポタミアとエジプトなのだ。
他の大河と比較した場合、ナイル川はあまり土砂を運んでいない。大河文明と川の性格について
https://55096962.seesaa.net/article/515241770.html
メソポタミアの古代の農業用灌漑水路、エリドゥ周辺の調査で明らかに
https://55096962.seesaa.net/article/511414300.htm