現生人類とネアンデルタールは言葉が通じたか? 言語の発達が種を分けた可能性について

きっかけは、「ヒトも昔はウホウホ言ってた」という話からである。
まあこの言い方自体がだいぶ素人臭いが、人文学にはあまり興味のない人の発言なのでそれは置いておく。

ウホウホ言わなくなるのは言語概念が発達してからと考えられるが、大型類人類ですら現在では簡易言語を持っていて、意味もなくウホウホ言ってるわけではない。従って、この定義でいくとヒトの祖先である大型類人猿の時代、つまり200万年くらい前には、すでにウホウホ言わなくなっている=原始的な言語は持っていたという可能性が出てくる。

より複雑化された言語、となると、20-10万年前くらいではないかと考えられる。これは複雑な石器の作り方が継承されはじめる時代で、文化の萌芽みたないものが見えるからだ。言語がないと、道具の作り方や使い方を継承するのは難しいのではないかと思う。
ただ、ここは発見一つで年代が数万年ズレたりするので、特定は難しい。
学者によっては5万年前という直近を挙げていたりするが、これは明らかに文化的な「xx様式」と名付けられるような遺物が出始める頃なので、さすがに遅すぎるだろうと思う。ヘタしたら、その時代にはある程度成熟した文法を持つ長文言語が出来ていた可能性すらある。

とすると問題は、その言語はどのくらい細分化されていたのか、である。
現代世界には、セム語系だとかテュルク語系だとか、複数の言語系統が存在するが、それらの言語系統はいつから発生していたのか。
現在では、ヨーロッパ在住ホモ・サピエンスとアジア在住ホモ・サピエンスの言語は全く異なっている。世界に拡散していく時点で言語も分かれていったのだとすれば、アフリカ近辺に居た頃は、まだ言語的な差異も少なく、そこそこ通じたのではないかと思う。
遺伝子に「ミトコンドリア・イヴ」があるように、ヒトの言語にも「ヒト言語イヴ」があったはずなのだ。

では、そのヒト言語イヴ、現生人類の共通原始言語は、他のヒト種には通じたのか?


現代の定説では、ホモ・サピエンスとネアンデルタールなど他のヒト種は、種として分離してからもそこそこ長い時間をともに生きていたとされる。そしてたまに交雑もしていたと分かっている。
言語が通じない相手と交流は難しい。全く出来ないわけではなく、同じホモ・サピエンス同士なら言語が違っても雰囲気でなんとなく言いたいことが分かったりするが、種が違うレベルになるとどうなるのか。


ここまで考えた時、「もしかして現生人類と他のヒト種を分けた見えざる壁は言語の違いでは…?」と思ったのだ。
こちらが現代人の10歳レベルの言語能力を持ち、相手が現代人の2歳レベルままでしか言語を理解出来なかった場合、つまり相手が極度に幼く感じられた場合、そこに恋愛感情は生まれるだろうか。「あいつらはバカすぎる」と古代人だって感じるのではないか。
または言語レベルは同じでも全く通じない場合、見た目が異なるのもあって交流は生まれにくいのではないだろうか。

つまりは、近くに暮らしていて、実際には交雑可能にも関わらず、実際にはあまり頻繁に交雑が発生しなかったことや、ネアンデルタール絶滅前夜、彼らが小規模な集団をホモ・サピエンスの近くに作りながらもホモ・サピエンス集団に完全に合流出来なかったことに、「言語が違う」という理由が関係していたのでは、という推測である。

これは、種として分離してからの時間、アフリカを出てからの時間が経過すればするほど差が大きくなっていったとも考えられる。差が小さいうちはホモ・サピエンスとネアンデルタールの交雑もありえたが、差が大きくなりすぎると交雑は発生しづらくなった、とかはないだろうか。
アジア方面にいたデニソワ人は比較的うまく対応できたので、ホモ・サピエンスとの交雑機会が増えたのかもしれない。

この考えは今の時点では単なる思いつきだし、言語の発生時期同様に証明できるものではないが、ほかの動物に比べ特に複雑な言語を操るヒト種族の場合、生活スタイルや見た目などの問題以上に、その複雑な言語を操れるかどうか、適応できるかどうかという壁は大きかったのではないか。

少なくとも、ホモ・サピエンスはアフリカを出た時点で言語を持っていた可能性が高いのだから、同様に、ネアンデルタールやデニソワ人にも、ホモ・エレクトゥスや他のホモ族にも、レベルは違えど「独自言語」はあった、と考えるべきだろうと思うのだ。


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おまけ

「言語を操るのは人間だけ」という常識はもう古い、動物言語学と神話・人類学が交わる箇所とは
https://55096962.seesaa.net/article/518803909.html

動物にも言語はあることが知られ始めている。しかも方言とか他種族にも通じるフレーズみたいなのもあるらしい。


サルが偶然作った「石器もどき」、初期人類の石器と区別がつかない可能性があると示唆される
https://55096962.seesaa.net/article/498573193.html

サルはいま石器時代をやっているらしい。全く進化しない動物はいない。ヒトはただ、先駆者になっただけなのかもしれない。