「カミカゼ」という言葉の変化:今や神風は世界中に吹いている…?

なんとなくBBCつけていたら、ウクライナとロシアの戦争で使われている攻撃用ドローンのことを「カミカゼ・ドローン」と呼んでいて、一瞬聞き間違いかと思ってしまった。
が、聞き間違いではなく本当にそう呼ばれていた。どうも最近一般化されてきている表現らしく、「不適切なのでやめてくれ」という話も出ているらしい。
最近ではイランから湾岸諸国に飛ばされたドローンのこともそう呼ばれることがあるそうだ。

「カミカゼ・ドローンと呼ばないで」 米団体が要請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2331R0T21C22A0000000/

この場合の「カミカゼ」は「捨て身の特攻を仕掛ける」というニュアンスでの使用方になるだろう。第二次世界大戦末期に日本軍が採用した「神風特攻隊」のイメージから来ているのだと思われる。

ただ、もとを辿れば元寇の時代、中国大陸から攻めてきた元の軍船が二度とも台風の風で沈没して、日本を侵略せずにズタボロになって引き上げた、という歴史から来ている。
そしてさらに遡るならば、日本を守る神々の威によって吹く護国の風という神話、それが「神風」だったはずだ。

神風特攻隊のイメージしかない場合は、悲劇的な死を迎えた若者たちを揶揄しているように感じたり、旧日本軍の過ちという黒歴史を蒸し返されることに対する拒絶感があるかもしれないが、大元の「神風」のイメージも持っていると、なんとなく滑稽というか、ちょっと笑ってしまう。

なんせ日本の護国の神々は外国にはいないし、カミカゼ・ドローンの飛んでいるいずれの空域も本来は日本の神々の守護域ではないのに、なぜかそこに、神々の吹かせる風が吹いていることになっている。その風に乗ってドローンやUAVが勇ましく、お国のために戦っているのである。
なんか変なところで八紘一宇の夢が叶っちゃったんだなあ、と思ったり。
80年前の軍国主義者の皆さんは草葉の陰で胸を熱くしていることだろう。

冗談はさておき、言葉のグローバルな変化というのは実に興味深いものだと思う。不適切かどうかはおいといて、カミカゼという言葉は今や、ツナミ・モッタイナイなどと同じく世界に知られる言葉となった。その過程で意味が変化し、大元のニュアンスと変わってしまうのも仕方ないとは思うのだ。