古代エジプトの図像に描かれたチョウチョ、とその仲間たち(バッタ、セミなど)
少し前に、古代エジプト美術でカマキリが出てくることはめったに無いという話を書いたが、チョウチョの出現確率はそれよりは高い。
墓の内部や建物の装飾などに花が使われることが多いため、花とセットで登場するのだ。また、日本同様に女性者の装飾品のモチーフとしても使われていることがある。
主要なチョウの出現リストは以下を参照。ほんの4,5例しか上げられなかったカマキリと違い、リストが長いことはぱっと見で分かる。
Butterflies of Ancient Egypt
https://bioone.org/journals/the-journal-of-the-lepidopterists-society/volume-69/issue-4/lepi.69i4.a2/Butterflies-of-Ancient-Egypt/10.18473/lepi.69i4.a2.full#f06
壁画での登場例。花や草、あとは鳥などの唐物と一緒に描かれる、豊かな自然の象徴として扱われる。
形状はだいたい決まっているが、模様や描き方には個人差・時代差があり、「これ本当にチョウか…?」というようなものもいる。たとえば1gは。もしかしたらチョウではなくテントウムシかもしれない。

現代エジプトにいるチョウチョには壁画のものによく似た種類もいる。
オレンジ色の羽根のものは、日本にもいるヒョウモンチョウの仲間だろう。模様からしてモンキチョウの仲間らしきものいる。

古代エジプトは描き方に強いルール縛りがあり、人物像など必ず絵に登場するモチーフにはテンプレが存在するのだが、チョウのようなカスタムモチーフには確固たるテンプレは存在せず、絵師に任されていた可能性がある。結果として、時代によってある程度の方向性はあるものの、絵師ごとの個性や好みのようなものが反映されている。




また、こちらはチョウをモチーフに取り込んだ装飾品など立体物。左上のものはクフ王の母后・ヘテプヘレスの腕輪だ。下の壇のものは、おそらく護符やペンダントとして身につけられたもの。
チョウは基本的に女性ものの装飾に使われるものなので、優雅・優美などのイメージがあったかもしれない。

墓内の壁画では、チョウに混じって、バッタやセミらしきもの、何か羽虫っぽいものも時々登場する。何の虫かイマイチ分からないものが多いようなのだが、少なくとも、絵師たちは当時のエジプトにいたものを壁画の中に描きこみ、依頼主の理想とした世界ーー現世の水辺や庭園の風景ーーを来世に再現しようとしたのだと思う。

そして、チョウに比べると他の昆虫の出現頻度は少なめなので、風景を描く時に古代エジプト人にとって重要だった昆虫はチョウで、「花が咲き、蝶が舞う」風景が心地よいものとされたのではないかと思っている。
*****
[>おまけ
カラー絵として残ってるのは圧倒的に墓の内部の絵が多いんだけど、アマルナでは例外的に宮殿内部の壁画や、床面の装飾画も残っている。
そこにも草花は描かれているので、破壊された部分が残っていれば、チョウも描かれていたかもしれない
アマルナ時代のエジプト美術から読み取れる野鳥たち/宮殿壁画の読み取り方
https://55096962.seesaa.net/article/494944177.html
モザイク画ではない「床絵」、紀元前1500年世界のエジプトの床装飾
https://55096962.seesaa.net/article/493407428.html
墓の内部や建物の装飾などに花が使われることが多いため、花とセットで登場するのだ。また、日本同様に女性者の装飾品のモチーフとしても使われていることがある。
主要なチョウの出現リストは以下を参照。ほんの4,5例しか上げられなかったカマキリと違い、リストが長いことはぱっと見で分かる。
Butterflies of Ancient Egypt
https://bioone.org/journals/the-journal-of-the-lepidopterists-society/volume-69/issue-4/lepi.69i4.a2/Butterflies-of-Ancient-Egypt/10.18473/lepi.69i4.a2.full#f06
壁画での登場例。花や草、あとは鳥などの唐物と一緒に描かれる、豊かな自然の象徴として扱われる。
形状はだいたい決まっているが、模様や描き方には個人差・時代差があり、「これ本当にチョウか…?」というようなものもいる。たとえば1gは。もしかしたらチョウではなくテントウムシかもしれない。
現代エジプトにいるチョウチョには壁画のものによく似た種類もいる。
オレンジ色の羽根のものは、日本にもいるヒョウモンチョウの仲間だろう。模様からしてモンキチョウの仲間らしきものいる。
古代エジプトは描き方に強いルール縛りがあり、人物像など必ず絵に登場するモチーフにはテンプレが存在するのだが、チョウのようなカスタムモチーフには確固たるテンプレは存在せず、絵師に任されていた可能性がある。結果として、時代によってある程度の方向性はあるものの、絵師ごとの個性や好みのようなものが反映されている。
また、こちらはチョウをモチーフに取り込んだ装飾品など立体物。左上のものはクフ王の母后・ヘテプヘレスの腕輪だ。下の壇のものは、おそらく護符やペンダントとして身につけられたもの。
チョウは基本的に女性ものの装飾に使われるものなので、優雅・優美などのイメージがあったかもしれない。
墓内の壁画では、チョウに混じって、バッタやセミらしきもの、何か羽虫っぽいものも時々登場する。何の虫かイマイチ分からないものが多いようなのだが、少なくとも、絵師たちは当時のエジプトにいたものを壁画の中に描きこみ、依頼主の理想とした世界ーー現世の水辺や庭園の風景ーーを来世に再現しようとしたのだと思う。
そして、チョウに比べると他の昆虫の出現頻度は少なめなので、風景を描く時に古代エジプト人にとって重要だった昆虫はチョウで、「花が咲き、蝶が舞う」風景が心地よいものとされたのではないかと思っている。
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[>おまけ
カラー絵として残ってるのは圧倒的に墓の内部の絵が多いんだけど、アマルナでは例外的に宮殿内部の壁画や、床面の装飾画も残っている。
そこにも草花は描かれているので、破壊された部分が残っていれば、チョウも描かれていたかもしれない
アマルナ時代のエジプト美術から読み取れる野鳥たち/宮殿壁画の読み取り方
https://55096962.seesaa.net/article/494944177.html
モザイク画ではない「床絵」、紀元前1500年世界のエジプトの床装飾
https://55096962.seesaa.net/article/493407428.html