パピルスは栽培植物化できなかったのか、ちょっと考えてみたけど…ネックは「温度」と「淡水」
紙や本の歴史について辿ると、必ず通るポイントがある。「かつてはパピルスが最も格調高い紙として使われていたが、エジプトの独占輸出だった上に高価で需要が満たせなかった。そのため安価な羊皮紙に切り替えられていった」…。
中国で紙が発明され、ヨーロッパに導入される以前の話である。パピルス紙は、ほぼエジプトでしか作られなかった。高価だったのも栽培量に上限があり、需要を満たせなかったからだ。プトレマイオス朝時代には、自国内で使うぶんを優先させ、アレキサンドリア大図書館のライバルであるペルガモン図書館には紙を売らなかったりもしたらしい。
だが、もしパピルスが栽培植物として広く生産できたなら、もっと安価に需要を満たせるものだったなら、羊皮紙の時代は来なかったか、羊皮紙自体の地位も変動していたのではないのか。
…という歴史ifを考えてみたのだが、いくつか重大な問題がある。
●パピルスは寒さに弱く、生育域が意外と狭い
●大量の淡水を消費する

まず「寒さに弱い」だが、これは自分で園芸品種のパピルスを育ててみて分かった。0度切ると枯れる。日本の気候だと、冬は、水を干して冬眠状態にしないと耐えてくれないのだ。
で、私は、↓この時のパピルスをうっかり外に出したままにしてしまい、寒波でマイナス7度くらいを食らったあと、二度と復活せず枯らしてしまった…。
中の人、パピルスの育成を始める。
https://55096962.seesaa.net/article/202008article_5.html
古代のパピルス栽培と、現代パピルスの観察から
https://55096962.seesaa.net/article/202009article_10.html
そして、ここにも書いたように、とにかくひたすら水を消費しまくる。夏場はガンガン伸びるのだが、そのぶん水を吸いまくり、茎の中はほとんどが水だ。
つまり育てられる場所は池では足りず、流れのたっぷりした川でもなければ厳しい。川べりにパピルス用の水田みたいなものを作らないと、大量生産できないのである。
そんな水とスペースがあるのなら、食えないパピルス量産するより食料生産に使ったほうがいいですね。
以前いちど、似たようなテーマで考察してみたことがあるのだが、シリアやキプロス島など、パピルスの自生する土地で紙がほとんど作られていなかったのは、気温的にパピルスの成長がエジプトより遅かったのと、冬にいったんリセットされてしまい大きく育ちにくかったことに加えて、「パピルスが育つポテンシャルのある土地なら、麦作の灌漑など別の用途で利用したほうがいい」「限りある淡水をパピルスの育成なんかに使ってる余裕がない」という理由からだったのではないだろうか。
パピルスはエジプト以外にもあるが、なぜエジプトでしか商業化されなかったのか。という話
https://55096962.seesaa.net/article/202108article_12.html
そもそも、シリアやキプロスだとまとまって雨が降るのは春と秋で、パピルスがより大きく生育する初夏から秋の始めにかけての季節ではない。
エジプトは、ちょうどそのあたりでナイルの増水が来るので、川べりの冠水したところでパピルスを育てる余裕があったのではないだろうか。
つまり、もしパピルス紙を効率的に大量生産したいのなら、消費する水の量が少なくて済む品種を作り出すくらいしないとエジプト以外の国では厳しい。
淡水の余ってる地域なんて地球上にそんなに無いのだ。常に水があって冬でも暖かい地域でしか大量生産出来ないのは、使い勝手が悪すぎる。需要の高まりとともに廃れていくのは必然だった…。
まあ本気で品種改良すれば出来なくはないかもしれないけど、主食になる麦やコメに比べると緊急度が低いので、情熱をかけてそこまで頑張る古代人もいないまま廃れたんだろうな。という結論に達した。
せめてパピルスに美いしい実がなり、ついでに茎を拝借して紙を作る、とかだったのなら、食いしん坊の人間は意地でも栽培面積を拡大しようと頑張ったかもしれないのだが。
中国で紙が発明され、ヨーロッパに導入される以前の話である。パピルス紙は、ほぼエジプトでしか作られなかった。高価だったのも栽培量に上限があり、需要を満たせなかったからだ。プトレマイオス朝時代には、自国内で使うぶんを優先させ、アレキサンドリア大図書館のライバルであるペルガモン図書館には紙を売らなかったりもしたらしい。
だが、もしパピルスが栽培植物として広く生産できたなら、もっと安価に需要を満たせるものだったなら、羊皮紙の時代は来なかったか、羊皮紙自体の地位も変動していたのではないのか。
…という歴史ifを考えてみたのだが、いくつか重大な問題がある。
●パピルスは寒さに弱く、生育域が意外と狭い
●大量の淡水を消費する
まず「寒さに弱い」だが、これは自分で園芸品種のパピルスを育ててみて分かった。0度切ると枯れる。日本の気候だと、冬は、水を干して冬眠状態にしないと耐えてくれないのだ。
で、私は、↓この時のパピルスをうっかり外に出したままにしてしまい、寒波でマイナス7度くらいを食らったあと、二度と復活せず枯らしてしまった…。
中の人、パピルスの育成を始める。
https://55096962.seesaa.net/article/202008article_5.html
古代のパピルス栽培と、現代パピルスの観察から
https://55096962.seesaa.net/article/202009article_10.html
そして、ここにも書いたように、とにかくひたすら水を消費しまくる。夏場はガンガン伸びるのだが、そのぶん水を吸いまくり、茎の中はほとんどが水だ。
つまり育てられる場所は池では足りず、流れのたっぷりした川でもなければ厳しい。川べりにパピルス用の水田みたいなものを作らないと、大量生産できないのである。
そんな水とスペースがあるのなら、食えないパピルス量産するより食料生産に使ったほうがいいですね。
以前いちど、似たようなテーマで考察してみたことがあるのだが、シリアやキプロス島など、パピルスの自生する土地で紙がほとんど作られていなかったのは、気温的にパピルスの成長がエジプトより遅かったのと、冬にいったんリセットされてしまい大きく育ちにくかったことに加えて、「パピルスが育つポテンシャルのある土地なら、麦作の灌漑など別の用途で利用したほうがいい」「限りある淡水をパピルスの育成なんかに使ってる余裕がない」という理由からだったのではないだろうか。
パピルスはエジプト以外にもあるが、なぜエジプトでしか商業化されなかったのか。という話
https://55096962.seesaa.net/article/202108article_12.html
そもそも、シリアやキプロスだとまとまって雨が降るのは春と秋で、パピルスがより大きく生育する初夏から秋の始めにかけての季節ではない。
エジプトは、ちょうどそのあたりでナイルの増水が来るので、川べりの冠水したところでパピルスを育てる余裕があったのではないだろうか。
つまり、もしパピルス紙を効率的に大量生産したいのなら、消費する水の量が少なくて済む品種を作り出すくらいしないとエジプト以外の国では厳しい。
淡水の余ってる地域なんて地球上にそんなに無いのだ。常に水があって冬でも暖かい地域でしか大量生産出来ないのは、使い勝手が悪すぎる。需要の高まりとともに廃れていくのは必然だった…。
まあ本気で品種改良すれば出来なくはないかもしれないけど、主食になる麦やコメに比べると緊急度が低いので、情熱をかけてそこまで頑張る古代人もいないまま廃れたんだろうな。という結論に達した。
せめてパピルスに美いしい実がなり、ついでに茎を拝借して紙を作る、とかだったのなら、食いしん坊の人間は意地でも栽培面積を拡大しようと頑張ったかもしれないのだが。