ミイラを人として尊重するには何が正しい方法なのか。人の尊厳は守られるべきだが…。RBCMの特別展示から
適当に流し読みしていた記事の中に、「ロイヤル・ブリティッシュ・コロンビア博物館」で新しく始まったエジプト展についての記事があった。
カナダのブリティッシュコロンビア州にある博物館で、エジプト・コレクションも多少持っているらしい。が、「本物の人体は二度と展示しないと決まっている」「今回の展示でもミイラはレプリカ」と書かれている箇所に引っかかったのだ。
New RBCM exhibit Obsessed with Life explores death rituals of Ancient Egypt
https://www.timescolonist.com/local-news/new-rbcm-exhibit-obsessed-with-life-explores-death-rituals-of-ancient-egypt-12351560
これ、2008年頃にイギリスの博物館を対象に盛り上がっていた、「ミイラを人として尊重するためにどうすればいいか」みたいな議論の延長なのである。
当時書いた記事が以下。珍しく当時の記事がリンク先に残っているのでなんとなく雰囲気が分かるかと思う。
ミイラに服を…
https://55096962.seesaa.net/article/200805article_26.html
最近の博物館だと、全裸のミイラに布を被せているところは多い。まあ死体とはいえ人間の裸体を晒すのがよくない、好奇の目に晒したくない、という気持ちはわからなくはないのだが、そもそもなぜ、元は布に包まれていたはずのミイラが今は全裸なのか、という点について何も説明されないまま展示だけが修正されるのは、いかがなものかと思う…。
全裸にされているミイラは全て、過去の何処かの時点で包みを引っ剥がされている。それらの多くは、19世紀頃にミイラ解体ショーが流行った歴時代のショーの見世物として使われた遺体である可能性が高い。
エジプトミイラとCTスキャン ミイラ解剖の「黒」歴史 ― エリオット・スミス
https://55096962.seesaa.net/article/201105article_7.html
上記にも書いたとおり、当時の解体ショーは「解剖学的なもの」、つまり学術的な見世物だという偽の科学の皮を被せられ、上層階級や知識層に有料で公開されていた。ショーで消費し、その後も長らく見世物として扱ってきておきながら、今になって「裸のまま見せるのは良くないよね…」とか言い出すのは、その言い分が正しい/正しくないはともかく、過去の汚点を隠して極端から極端にブレてるだけじゃね? 本当に死者への敬意とかある?? と言いたくなってしまうのだ。
そして、死者に敬意を持ちつつ展示すること、真の意味で科学的な知見を広めるために貢献してもらうためには、果たして布を被せる手段が妥当なのか? という点。これは既に議論されている内容だし正しいとも間違いとも言えないのだが、「そもそも死者を死者として扱うなら墓に戻して埋葬し直すのが一番」だと思うのだ。そうせずに、科学的なもの・歴史的なもの・文化財としての価値を認めて扱うのなら、やはり、展示しないという選択肢は間違っていると思う。本物に触れた時にしか得られない体験はあると思うからだ。
なお皮肉なことに、いま一番ミイラの本物を展示しているのは、本国エジプトさんの博物館である。ここでは、並み居る歴代ファラオたちの遺体が、いまも堂々と展示されている。
これに対し、異論を唱える人はあまりいない。批判の声もほぼ聞いたことがない。エジプトさんの言い分はこうである。「敬意を払われるに値する場所は準備した」。
墓に名を刻み、忘却を恐れ、永遠となることを望んだファラオたちが、今まさにその名を何度も唱えられているのだから、本物をガラスの棺で並べる必要があるのかの是非はともかくとして、確かに死者の望みを叶えているのかもしれない。
しょせんは現代人が自らを納得させる理屈なので、絶対的に正しい答えはない。時代ごとに正しさは変わっていくだろう。
ただ、歴史上の汚点を忘れてはいけない。忘れれば、また同じことを繰り返す可能性がある。そして、考古学とは、文化財保護とは、人体をどう扱うべきものなのか、という問題は、古代エジプトに限らず、どの時代が対象であれ、忘れてはならないものだと思うのだ。
****
それはそうと、トリップアドバイザーのこの博物館の評価、ここ最近のものが片っ端から散々なんですけど、近年に改装して何かが起こった…?
一体何があったんだ…。
https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g154945-d186969-Reviews-Royal_BC_Museum-Victoria_Victoria_Capital_Regional_District_Vancouver_Island_Briti.html
カナダのブリティッシュコロンビア州にある博物館で、エジプト・コレクションも多少持っているらしい。が、「本物の人体は二度と展示しないと決まっている」「今回の展示でもミイラはレプリカ」と書かれている箇所に引っかかったのだ。
New RBCM exhibit Obsessed with Life explores death rituals of Ancient Egypt
https://www.timescolonist.com/local-news/new-rbcm-exhibit-obsessed-with-life-explores-death-rituals-of-ancient-egypt-12351560
これ、2008年頃にイギリスの博物館を対象に盛り上がっていた、「ミイラを人として尊重するためにどうすればいいか」みたいな議論の延長なのである。
当時書いた記事が以下。珍しく当時の記事がリンク先に残っているのでなんとなく雰囲気が分かるかと思う。
ミイラに服を…
https://55096962.seesaa.net/article/200805article_26.html
最近の博物館だと、全裸のミイラに布を被せているところは多い。まあ死体とはいえ人間の裸体を晒すのがよくない、好奇の目に晒したくない、という気持ちはわからなくはないのだが、そもそもなぜ、元は布に包まれていたはずのミイラが今は全裸なのか、という点について何も説明されないまま展示だけが修正されるのは、いかがなものかと思う…。
全裸にされているミイラは全て、過去の何処かの時点で包みを引っ剥がされている。それらの多くは、19世紀頃にミイラ解体ショーが流行った歴時代のショーの見世物として使われた遺体である可能性が高い。
エジプトミイラとCTスキャン ミイラ解剖の「黒」歴史 ― エリオット・スミス
https://55096962.seesaa.net/article/201105article_7.html
上記にも書いたとおり、当時の解体ショーは「解剖学的なもの」、つまり学術的な見世物だという偽の科学の皮を被せられ、上層階級や知識層に有料で公開されていた。ショーで消費し、その後も長らく見世物として扱ってきておきながら、今になって「裸のまま見せるのは良くないよね…」とか言い出すのは、その言い分が正しい/正しくないはともかく、過去の汚点を隠して極端から極端にブレてるだけじゃね? 本当に死者への敬意とかある?? と言いたくなってしまうのだ。
そして、死者に敬意を持ちつつ展示すること、真の意味で科学的な知見を広めるために貢献してもらうためには、果たして布を被せる手段が妥当なのか? という点。これは既に議論されている内容だし正しいとも間違いとも言えないのだが、「そもそも死者を死者として扱うなら墓に戻して埋葬し直すのが一番」だと思うのだ。そうせずに、科学的なもの・歴史的なもの・文化財としての価値を認めて扱うのなら、やはり、展示しないという選択肢は間違っていると思う。本物に触れた時にしか得られない体験はあると思うからだ。
なお皮肉なことに、いま一番ミイラの本物を展示しているのは、本国エジプトさんの博物館である。ここでは、並み居る歴代ファラオたちの遺体が、いまも堂々と展示されている。
これに対し、異論を唱える人はあまりいない。批判の声もほぼ聞いたことがない。エジプトさんの言い分はこうである。「敬意を払われるに値する場所は準備した」。
墓に名を刻み、忘却を恐れ、永遠となることを望んだファラオたちが、今まさにその名を何度も唱えられているのだから、本物をガラスの棺で並べる必要があるのかの是非はともかくとして、確かに死者の望みを叶えているのかもしれない。
しょせんは現代人が自らを納得させる理屈なので、絶対的に正しい答えはない。時代ごとに正しさは変わっていくだろう。
ただ、歴史上の汚点を忘れてはいけない。忘れれば、また同じことを繰り返す可能性がある。そして、考古学とは、文化財保護とは、人体をどう扱うべきものなのか、という問題は、古代エジプトに限らず、どの時代が対象であれ、忘れてはならないものだと思うのだ。
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それはそうと、トリップアドバイザーのこの博物館の評価、ここ最近のものが片っ端から散々なんですけど、近年に改装して何かが起こった…?
一体何があったんだ…。
https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g154945-d186969-Reviews-Royal_BC_Museum-Victoria_Victoria_Capital_Regional_District_Vancouver_Island_Briti.html