トンガの海底火山噴火、メタンガスが塩素で分解? 寒冷化しなかったのはバランス取れてた可能性

通勤途中で流し見していたニュースサイトに、「2022年に発生したトンガの海底噴火の際にメタンガスが大量に分解された可能性がある」という記事が出ていた。海底火山が大量の海水を成層圏まで打ち上げた噴火で、これによって大量の塩素が大気中のメタンガスと化学反応を起こした可能性があるのだという。

塩素…?!

Huge volcanic eruption offers clues to fighting climate change
https://www.sciencenews.org/article/volcanic-eruption-clues-climate-change

メタンンガスは、二酸化炭素ほどではないものの温暖化の原因とされるガスで、「ウシを飼うと牛のゲップからメタンガスが出る! 肉を食べるのをやめよう!」なんていう環境団体もいるくらい。
また田んぼを作ると田んぼからメタンガスが発生するので、農耕すら温暖化の原因になるとして「環境に優しい田んぼづくり」なんてのもやっていたりする。

そのメタンガス、火山の噴火じたいでも発生はするのだが、今回は海水由来の塩素が1億トン以上も爆発に混じっていたせいで、1日あたり900トンものメタンガスが分解され、ホルムアルデヒドに変化したらしいのだ。

とにかく、火山自体の放出したメタンガス以上の量が分解されたことで、温暖化の抑制に繋がったという話。


トンガの海底火山の大噴火は、「海底火山」の噴火として人類が文明時代に入ってから初めてリアルタイムで観測されたものとされる。
陸上での火山噴火と海底火山の噴火は、発生後の経過がかなり違うことがこれまでにも分かってきている。以下は過去に書いたもの。

トンガ噴火で気候変動? その理由は火山性ガスではなくまさかの「水蒸気」
https://55096962.seesaa.net/article/491836265.html

トンガ噴火の海底地形の変化が明らかに。大噴火で寒冷化しなかった理由は「噴出分の大半が海底に堆積したから」
https://55096962.seesaa.net/article/501943039.html

今回の噴火は、とにかく特殊だった。
通常なら大規模な噴火は寒冷化原因なのだが、海底での爆発だったおかげで塵は大気中にほとんど放出されず全部海に沈んだ。
代わりに、温暖化要因になる水蒸気が大量に放出されたが、水蒸気といっしょに放出された塩が化学反応起こしてメタンガスを分解したお陰で温暖化効果も押さえられた。たぶんそういうこと。

複数要因が絡みあって、「思ったほど変化起きねえな、なんだこれ」みたいな状況になったんだろうなと。

そしてここから推測されるのは、「海底」で火山が噴火した場合、地上の気候変化は最低限に押さえられるのでは? ということだ。
浅瀬で起きたり、淡水の溜まってい湖の底だったりするとまた条件は変わって来るだろうけど、「巨大な火山噴火が必ずしも破滅的な結果をもたらすわけではない」という知見は有意義。

そういや近代でもアラスカの海底火山とかはちょくちょく噴火してたけど、人類滅びてないんだよなあ。
なるほど、と思わされる発見だった。

なお中の人、化学式はイマイチなので…
化学変化に詳しい人は、元論文読んでください…。