ヒッタイトはメソポタミアと同じ「都市国家群の集合体」、実際は領域ではなく都市単位で支配していたのでは。という話

ヒッタイト帝国の始まり(つまり、ヒッタイトという政体が出来たはじまり)について調べていた時に、ふと、これって交易路で繋がってる都市国家群からスタートしてる、メソポタミアと同じ構造だな? と気が付いたので、軽くメモしておきたい。

古代エジプトの始まりやメソポタミアのシュメール時代に比べると、ヒッタイトの始まりについてはあまり詳しい資料を見たことが無いのだが、おおざっぱに以下のような記述からスタートしていることが多い。
「ヒッタイトの支配層はよそからやって来てカネシュ(のちにネシャという名前になる)に拠点を構え、そこに住む元々のハッティ人たちの支配者に収まった人々」
「ヒッタイト語と言われている言葉はその支配層の言葉で、ネシャ語と呼ばれた」

つまり「ヒッタイト」は先住民の言葉で、彼らを支配下に置いてヒッタイトを作った支配層は別の民族だった、という話である。
支配層がどこからやってきたのかは不明だが、ヒッタイト以前のカネシュには独自の支配者がいた。やって来た外来の人々は町の支配権を乗っ取って自分たちのものにした、ということになる。
これが紀元前18世紀辺りの話。

ヒッタイトとエジプトの比較年表はここに置いてある。

前18世紀ごろの「ヒッタイトの祖」とされる人物の名前は、アニッタとされていることが多い。
アニッタは、カネシュから北上しいくつもの都市を支配下に置いていったとされる。初期に名前の出てくる都市は、「ママ」「クッシュラ」「プルシュハンダ」「ザルパ」など。これらの都市はおそらく古くから機能していた場所で、以下の地図で見ると点線で書かれた交易ルートに面している。

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カネシュは交易都市で、アッシリア商人の駐留地があったことで知られているところだが、おそらく他の都市も交易で栄えていたのだろう。ヒッタイトの支配層はその交易路に沿って各都市を支配下に置いていったと思われる。

つまり、ヒッタイトという一つの国にまとまる以前、紀元前2,000年紀初頭のアナトリアは、メソポタミアと同じく都市国家が点在する場所だった可能性が高い。それぞれの都市国家の規模はそれほど大きくなく、支配者はその都市だけ支配している、もしくは近隣のいくつかの都市だけが束ねられている、という状態で、「面」で支配権を行使する、いわゆる「領域国家」は無かったのではないかと思う。

これは、アナトリアに複数言語が同時並行で存在したことや、ヒッタイトが多民族国家でそれぞれの民族ごとに宗教を持っていたこと、別名が「千の神の国」だったことなどにも通じていると思う。元々は、都市国家ごとに住民のルーツや使用言語が違っていたから、帝国を名乗れる勢力になっても地域ごとにバラバラの状態だったのではないだろうか。

最初から文化的にほぼ均一かつ領域支配だったエジプトの王権の成り立ちとはだいぶ違う。どちらかというとメソポタミア南部の文化圏に似た構造になるが、そもそも地域としての「メソポタミア」は水源地であるアナトリア南部まで含む言い方なので、メソポタミア文化圏と見ていいと思う。



あともう一つ、地図を眺めていて思ったのだが、交易ルート上にある都市=昔からある大都市で、ルートから外れている都市は公益を目的としない、たとえば宗教都市とか、聖地とか、そういうのじゃないかなこれ…。

海沿いの都市は海洋貿易路が使えるので、必ずしも陸路が必要とは言えないかもしれないが、いったん陸揚げした品は陸路で運ぶしかないので、交易ルートには繋がっていたほうが有利だと思うんだよな…。

何を言いたいかというと、やっぱヒサルルクはトロイアにしてはた北のはずれすぎるなと思うのだ。ヒッタイトと人や文化のやりとりをしていた都市だというのなら、もうちょい南じゃないと無理じゃない?(と、いう話も以前書いた)


以上、なんとかなく追ってみたヒッタイト成立の経緯について。
なお、アナトリアの都市国家の在り方がメソポタミアに似ているというより、都市国家とか都市文明はアナトリア南部で生まれた、という逆の説も最近は出てきているので、いちおう紹介しておく。

世界最古の「都市」はアナトリア南部にある。都市という構造、人間が一か所に大量に暮らすための技術もまた、年月をかけて生み出された人類のテクノロジーである。「都市」が発明された場所がアナトリア南部で、そこから麦作の技術とともに川を下ってシュメール文明の基礎を築いた可能性もあるので、その場合は、文明の構造が似ていて当然という話になるのかもしれない。

「トルコで5千年前の巨大建造物を発見!」→重要なのは年代ではなく「文明の起源に関わる内容」の部分
https://55096962.seesaa.net/article/517105734.html