楽しい歴史を読んでいたら、やっぱり奴が襲来した「チャイナドレスの文化史」

なんか読むもん欲しいなーと適当に(以下いつもの)で掘り出してきた本。
チャイナドレスの歴史についての本である。

チャイナドレスの文化史 - 謝黎
チャイナドレスの文化史 - 謝黎

今や「中国っぽい服といえばチャイナドレスっしょ」というイメージも強いこの服だが、実際は近代に誕生したものでそれほど歴史を遡れるわけではなく、スコットランドでいうタータンチェックのスカートみたいなもの…というところまでは雑学として知っていたのだが、改めて読んでみると少し違っていた。

・清国時代に満州人が着ていた「チーパオ(旗袍)」から発展
・スリットは騎馬民族が馬に乗る時に邪魔にならないようにしたのが原点、昔はそんなにぴったりしたスタイルの服ではない
・1920-30年代の洋装ブーム、その後50年代までは様々な変化を取入れてオシャレな女性の好む様々な文化スタイルが誕生

<<文化大革命>>

・1980年代末に伝統回帰として復活。以降、今よく知られているスタイルへと変化

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ざっくりでいうとこの流れ。
本の半分過ぎるくらいまで楽しく読みつつ、「あれーでも、この流れって今に繋がってなくない…?」と思っていたのだが、やっぱり後半で来ましたよね。奴が。

文 革 が。

ええ、中国史、だいたいコイツがすべて焼野原にしていきますからね…。すべての伝統を燃やし尽くして、伝統と呼ばれるものは全部この時代にぶった切られてます…。
女性たちの大事にしていた旗袍はすべて裁断され、破棄されて消えていった。男女ともに人民服が基本に。ここの流れはもう中国関連の本で百万回見たやつ。
ガチ暗黒時代なのに、なんでいまだに中国人に毛沢東を崇める人がいるのか私には分からない…。

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で、文革終了後はまっさらな焼野原に人工的に復活させ、移植した「伝統」が新たに築かれた。その中で新たに誕生してきたのがチャイナドレス。

なので現代のチャイナドレスの「原型」は清朝まで遡れるが、チャイナドレス自体の伝統はほんの数十年しかなく、最近復活させたもの、かつ、国際社会に参入していくにあたり「伝統衣装」が欲しかった、という必要性から政治的な意味でも定着させられたものなのだ。

ただチーパオはもともと満州族の服なので、漢族の伝統衣装ってないの? とか、多民族国家なのでそれぞれの民族衣装があってしかるべきじゃない? 都下の議論はあったようだ。
その一つの答えが、北京オリンピックのオープニングセレモニーでお出しされた民族衣装の見本市なのかなーとも思うのだが、それらの大半も最近復活されられた政治的な意味合いの強い服に見えたので、一回途切れた伝統の復活ってほんと難しいんだろうなと感じる。

まあ中国さんは支配民族が変わるたびに伝統もがらりと変わってきている土地柄なので、「中国全土」という統一されたトレンドや変遷はもともと存在せず、時代/地方ごとの服飾の歴史を語ることまでしか出来ないのでは、とも思っている。