猫(イエネコ)にまつわる神話が軒並み新しい理由「飼い猫が登場したのがほんの数千年前だから」
世界中の神話を見渡した場合に、イエネコが出てくる神話はほとんど無い。ヒョウやライオンなど、ネコ科動物やヤマネコが出てくる場合はあっても、飼い猫ではないのだ。
ネコとして扱われている動物も、よく調べてみると飼い猫ではないことがほとんどで、たとえば北欧神話の女神フレイヤの乗る戦車を引っ張る猫は、北欧の森に住む大型のヤマネコである。イエネコ関連の神話はほとんどがごく最近、中世と区分される時代に作られている。
これらの理由は単純に、飼い猫の登場は今から最大で四千五百年程度しか遡れないものだからだと思う。
起源地はエジプト。近隣の野生ネコを飼いならし、イエネコとして種を定着させたのは古王国時代の末以降。「イエネコ」を意味する単語の登場を持って一般化の証拠とするならば、だいたい四千年くらい前が飼い猫という存在の定着した時期とみなせるだろう。
古代エジプトといえば「ネコ」だけど、"飼い猫"が登場するのは古王国時代末ごろから! 一般化するまでには時間がかかるよ!
https://55096962.seesaa.net/article/503155558.html
現代では犬派か、猫派か、などという両翼で語られがちなのだが、1万年以上前から世界中の人類と一緒に暮らしてきた犬と違い、イエネコは、羊やウシやヤギなどの代表的な家畜よりも後、ラクダやウマと同じく、かなり最近になって人類史に登場してきた新参の隣人なのだ。
イエネコ自体が存在しなければ、それに関する神話も生まれない。
約4,000年前に種として定着し、そこから近隣に少しずつ広まっていったのだから、神話になるまでの時間が足りない。また遠方ほど到達も遅れるので、東アジアや新大陸などではイエネコという存在が一般的になる前に神話の時代が終わっていたかもしれない。
最初に猫を家畜化した古代エジプトでは、その特性に神秘性を見出して神格化することも出来たが、猫が特に珍しくもなくなった時代に完全に愛玩動物として輸入した場合は、神話になる余地もない。神秘性よりは怪しさの方向で、化け猫や魔女の使い魔としての神話になってしまうことが多いのはそのせいだろう。
飼い猫に関する神話が少ないのは、「飼い猫という存在自体がわりと最近のものだから」という、わりと単純な話である。猫に関する神話を集めようとすれば、猫科の大型肉食獣のものがほとんどだろうし、イエネコに限るなら中世以降の民間信仰などが中心になるだろう。
また、同じ家畜である犬と比べた場合、犬と猫では神話の方向性が違うことにも注目してほしい。
犬は基本的に狩猟のお供、または遊牧民が家畜を守るために番犬として使う存在である。猫はそれほど役に立たない。(穀物を飼料として使う現代なら、穀物庫を守らせるなどの役割は期待できる)
定住農耕民にとってはネズミを獲ってくれる猫のほうが役に立つ。
つまり、神話の語られた時代、あるいは地域の主要な生活スタイルが、ダイレクトに「犬と猫、どちらの神話を語るか」に繋がってくる。
農耕は人類が最近になって獲得した技術なので、その技術に関連した神話はもちろん、最近になってから作られている。猫にまつわる神話は、犬より新しい時代に作られたものが多いと推測できる。
また日本だと、蚕を食べるネズミを猫に獲らせていたために、養蚕のさかんな地域には猫にまつわる神話があるという話も以前調べて書いた。これも、かなり新しい時代の神話(というより民話に近い)だ。
いずれにしてもイエネコは、登場した時代が人類史の中ではかなり最近の話で、犬とは役に立つ方向性が少し違う。これが、「ネコ科」ではなく「家畜として人間のそばにいる猫」に絞った場合に猫の神話が少なくなる理由だと思う。
なお犬も、イエイヌに限れば神話自体はそんなに多くはない。ヤマイヌや、バセンジーのようなその土地特有の野犬、あとオオカミにまつわる神話が多い。家畜化されると神秘性が薄れるのだろう、そもそも家畜化された動物が登場する神話自体が全体的に少なめ。
また今回は神話と民話を区別する上で「信仰にまつわる内容」と考えたが、区別の基準を変えて厳格にカウントするとまた違った結果になるかもしれない。
ネコとして扱われている動物も、よく調べてみると飼い猫ではないことがほとんどで、たとえば北欧神話の女神フレイヤの乗る戦車を引っ張る猫は、北欧の森に住む大型のヤマネコである。イエネコ関連の神話はほとんどがごく最近、中世と区分される時代に作られている。
これらの理由は単純に、飼い猫の登場は今から最大で四千五百年程度しか遡れないものだからだと思う。
起源地はエジプト。近隣の野生ネコを飼いならし、イエネコとして種を定着させたのは古王国時代の末以降。「イエネコ」を意味する単語の登場を持って一般化の証拠とするならば、だいたい四千年くらい前が飼い猫という存在の定着した時期とみなせるだろう。
古代エジプトといえば「ネコ」だけど、"飼い猫"が登場するのは古王国時代末ごろから! 一般化するまでには時間がかかるよ!
https://55096962.seesaa.net/article/503155558.html
現代では犬派か、猫派か、などという両翼で語られがちなのだが、1万年以上前から世界中の人類と一緒に暮らしてきた犬と違い、イエネコは、羊やウシやヤギなどの代表的な家畜よりも後、ラクダやウマと同じく、かなり最近になって人類史に登場してきた新参の隣人なのだ。
イエネコ自体が存在しなければ、それに関する神話も生まれない。
約4,000年前に種として定着し、そこから近隣に少しずつ広まっていったのだから、神話になるまでの時間が足りない。また遠方ほど到達も遅れるので、東アジアや新大陸などではイエネコという存在が一般的になる前に神話の時代が終わっていたかもしれない。
最初に猫を家畜化した古代エジプトでは、その特性に神秘性を見出して神格化することも出来たが、猫が特に珍しくもなくなった時代に完全に愛玩動物として輸入した場合は、神話になる余地もない。神秘性よりは怪しさの方向で、化け猫や魔女の使い魔としての神話になってしまうことが多いのはそのせいだろう。
飼い猫に関する神話が少ないのは、「飼い猫という存在自体がわりと最近のものだから」という、わりと単純な話である。猫に関する神話を集めようとすれば、猫科の大型肉食獣のものがほとんどだろうし、イエネコに限るなら中世以降の民間信仰などが中心になるだろう。
また、同じ家畜である犬と比べた場合、犬と猫では神話の方向性が違うことにも注目してほしい。
犬は基本的に狩猟のお供、または遊牧民が家畜を守るために番犬として使う存在である。猫はそれほど役に立たない。(穀物を飼料として使う現代なら、穀物庫を守らせるなどの役割は期待できる)
定住農耕民にとってはネズミを獲ってくれる猫のほうが役に立つ。
つまり、神話の語られた時代、あるいは地域の主要な生活スタイルが、ダイレクトに「犬と猫、どちらの神話を語るか」に繋がってくる。
農耕は人類が最近になって獲得した技術なので、その技術に関連した神話はもちろん、最近になってから作られている。猫にまつわる神話は、犬より新しい時代に作られたものが多いと推測できる。
また日本だと、蚕を食べるネズミを猫に獲らせていたために、養蚕のさかんな地域には猫にまつわる神話があるという話も以前調べて書いた。これも、かなり新しい時代の神話(というより民話に近い)だ。
いずれにしてもイエネコは、登場した時代が人類史の中ではかなり最近の話で、犬とは役に立つ方向性が少し違う。これが、「ネコ科」ではなく「家畜として人間のそばにいる猫」に絞った場合に猫の神話が少なくなる理由だと思う。
なお犬も、イエイヌに限れば神話自体はそんなに多くはない。ヤマイヌや、バセンジーのようなその土地特有の野犬、あとオオカミにまつわる神話が多い。家畜化されると神秘性が薄れるのだろう、そもそも家畜化された動物が登場する神話自体が全体的に少なめ。
また今回は神話と民話を区別する上で「信仰にまつわる内容」と考えたが、区別の基準を変えて厳格にカウントするとまた違った結果になるかもしれない。