関係者にまともな交渉相手が全然いない絶望感。第一次世界大戦のオスマン戦線まとめ本「オスマン帝国の崩壊」
なんか読むもん欲しいなー、とウロウロしてたら見つけたので手にとってみた本。
第一次世界大戦での「オスマン帝国」の解体、おおむね現在のトルコ領土と一致する新たな国の誕生までの戦争の経緯を書いた本である。

オスマン帝国の崩壊:中東における第一次世界大戦 (現代史アーカイヴス) - ユージン・ローガン, 白須英子
この本を手に取ったのは、少し前にトルコに行った時にガリポリの戦いの戦場を通り、地元の人からイギリスのクソ野郎についていまも恨んでいる件について聞いたからだった。
あんまり詳しく知らんところもあったので、とりあえず本読んで見るかー、と。
で、読みはじめてから気がついたのだが、本の著者はそのクソ野郎なイギリス人である。
そもそも著者がこの本を書き始めた理由というのが、身内のイギリス人戦士者の墓参りしにガリポリに行ってはじめて防衛のトルコ側の死者が多かったことを知ったから、とかいう、「マジかよ」な切っ掛けなのだ。
トルコ側の犠牲が欧米ではあまりにも知られていない、だから調べて本を書こうと思ったのだ、とあとがきに書いてあるが、自分たちが攻め込んで分割した国に対して、そんな他人事みたいなことってあるんだ…?
確かに、BBCで二度の世界大戦の戦死者追悼式典とかやってたの見てた時も、妙に他人事というか、自国の犠牲のことしか言ってないなぁこれが戦勝国ってやつなのか? とか違和感はあったんだけど…。そもそも戦争は相手がいてはじめて発生するものなのに、「相手国」のことを意識せずに歴史を語れるというのがビックリだよ。
その点、著者が自分で調べて本を書こうと思ったことはえらいと思う。
また本が出たのが十年以上前なので、今なら状況も変わっているのかもしれない。
徹底してオスマン側からの視点で書いてあるところも良い。
ただ、やはりイギリス人ならではというべきか、サイクス・ピコ条約やエルサレムの帰属問題、パレスチナ問題などについては、ビッミョーに言葉を濁している雰囲気を感じたw
もちろん、エルサレムもパレスチナも「オスマン帝国」の一部だった時代には、現在のようなややこしい問題は発生していなかった。そしてクルド人もオスマン帝国臣民なので、国無き民とか言われることは無かった。
最後に書かれているとおり、IS(イスラム国)の掲げた「そもそも今の国境が間違っている。すべて再統一すれば民族問題は解決する!」という思想は、ある意味では真理であり、筋の通った考え方ではあるのだ。ただ、その手段が「武力で周辺国すべて制圧する」なので、"現代では" 非人道的かつ国際法違反になるため許されない、というだけの話で。
読んでいて始終思ったのは、第二次世界大戦痔の日本と同じく、戦争を回避できるルートが全く見えないという点である。
周囲にロクな国がいねえ。イギリスフランスロシア、あとイタリアにギリシャほか東欧諸国にアラブ勢も、自分のことしか考えてねえ。このメンツで来られたら、そりゃ列強を選ぶならドイツと手を組むしか選択肢ないっすわ、比較的マシだし。という感じ。
イギリスは三枚舌がお家芸、フランスは植民地を盾にして禍根を残すのが必殺技、そしてロシアは必ず手のひら返して背後から撃つ。約束守るだけまだドイツがだいぶ良心的だよこれ…。
おそらく、この「いかに多くの領地をオスマンから切り取るか」しか考えてないクソメンツに囲まれた時点で、オスマン帝国はどう足掻いても解体されるしかなかったのだろう。トルコとして生き残れたのがせめてもの生存ルートかもしれない。上手く立ち回れば、もう少し犠牲は減らせていたかもしれないが。
そして、全体を通して見ると、ガリポリの戦いがいかに重要なターニングポイントだったのかという位置づけも見えてきた。現在のトルコ人にとって、多くの犠牲を払って手に入れた、誇りに思える成果なのだということも分かった。トルコで出会ったムスタファおじさんの言いたかったことと気持ちが良く判った…。
あとイギリスはマジで、クソ野郎と言われても仕方ない。
分厚い本だが、けっこうするする読めて戦争関連の本としてはわりとオススメ。
あとアルメニア人虐殺の経緯についても詳しく書かれているので、私が「プロパガンダ臭がする」と評価した日本人著者の本「トルコ 建国100年の自画像」の記載と読み比べてみるのも面白いかもしれない。
第一次世界大戦での「オスマン帝国」の解体、おおむね現在のトルコ領土と一致する新たな国の誕生までの戦争の経緯を書いた本である。

オスマン帝国の崩壊:中東における第一次世界大戦 (現代史アーカイヴス) - ユージン・ローガン, 白須英子
この本を手に取ったのは、少し前にトルコに行った時にガリポリの戦いの戦場を通り、地元の人からイギリスのクソ野郎についていまも恨んでいる件について聞いたからだった。
あんまり詳しく知らんところもあったので、とりあえず本読んで見るかー、と。
で、読みはじめてから気がついたのだが、本の著者はそのクソ野郎なイギリス人である。
そもそも著者がこの本を書き始めた理由というのが、身内のイギリス人戦士者の墓参りしにガリポリに行ってはじめて防衛のトルコ側の死者が多かったことを知ったから、とかいう、「マジかよ」な切っ掛けなのだ。
トルコ側の犠牲が欧米ではあまりにも知られていない、だから調べて本を書こうと思ったのだ、とあとがきに書いてあるが、自分たちが攻め込んで分割した国に対して、そんな他人事みたいなことってあるんだ…?
確かに、BBCで二度の世界大戦の戦死者追悼式典とかやってたの見てた時も、妙に他人事というか、自国の犠牲のことしか言ってないなぁこれが戦勝国ってやつなのか? とか違和感はあったんだけど…。そもそも戦争は相手がいてはじめて発生するものなのに、「相手国」のことを意識せずに歴史を語れるというのがビックリだよ。
その点、著者が自分で調べて本を書こうと思ったことはえらいと思う。
また本が出たのが十年以上前なので、今なら状況も変わっているのかもしれない。
徹底してオスマン側からの視点で書いてあるところも良い。
ただ、やはりイギリス人ならではというべきか、サイクス・ピコ条約やエルサレムの帰属問題、パレスチナ問題などについては、ビッミョーに言葉を濁している雰囲気を感じたw
もちろん、エルサレムもパレスチナも「オスマン帝国」の一部だった時代には、現在のようなややこしい問題は発生していなかった。そしてクルド人もオスマン帝国臣民なので、国無き民とか言われることは無かった。
最後に書かれているとおり、IS(イスラム国)の掲げた「そもそも今の国境が間違っている。すべて再統一すれば民族問題は解決する!」という思想は、ある意味では真理であり、筋の通った考え方ではあるのだ。ただ、その手段が「武力で周辺国すべて制圧する」なので、"現代では" 非人道的かつ国際法違反になるため許されない、というだけの話で。
読んでいて始終思ったのは、第二次世界大戦痔の日本と同じく、戦争を回避できるルートが全く見えないという点である。
周囲にロクな国がいねえ。イギリスフランスロシア、あとイタリアにギリシャほか東欧諸国にアラブ勢も、自分のことしか考えてねえ。このメンツで来られたら、そりゃ列強を選ぶならドイツと手を組むしか選択肢ないっすわ、比較的マシだし。という感じ。
イギリスは三枚舌がお家芸、フランスは植民地を盾にして禍根を残すのが必殺技、そしてロシアは必ず手のひら返して背後から撃つ。約束守るだけまだドイツがだいぶ良心的だよこれ…。
おそらく、この「いかに多くの領地をオスマンから切り取るか」しか考えてないクソメンツに囲まれた時点で、オスマン帝国はどう足掻いても解体されるしかなかったのだろう。トルコとして生き残れたのがせめてもの生存ルートかもしれない。上手く立ち回れば、もう少し犠牲は減らせていたかもしれないが。
そして、全体を通して見ると、ガリポリの戦いがいかに重要なターニングポイントだったのかという位置づけも見えてきた。現在のトルコ人にとって、多くの犠牲を払って手に入れた、誇りに思える成果なのだということも分かった。トルコで出会ったムスタファおじさんの言いたかったことと気持ちが良く判った…。
あとイギリスはマジで、クソ野郎と言われても仕方ない。
分厚い本だが、けっこうするする読めて戦争関連の本としてはわりとオススメ。
あとアルメニア人虐殺の経緯についても詳しく書かれているので、私が「プロパガンダ臭がする」と評価した日本人著者の本「トルコ 建国100年の自画像」の記載と読み比べてみるのも面白いかもしれない。