粘土板に使われている土の成分から遺跡の位置を探る。再利用不可な素材なので場所特定可能という話
ネット上をウロウロしていた時に、粘土板に使われている土から、未知なる都市の位置を特定する、という方法があると知ったのでメネしておきたい。
どういうことかというと、たとえばヒッタイトの都市Aの位置が分からない場合に、首都ハットゥシャの書庫に都市Aから送られた神殿の記録が保管されていたとする。確実に都市Aから送られたと分かる粘土板なら、その粘土板に使われている粘土は都市Aの近くで採れたもののはずであり、候補となる遺跡が幾つかあるのなら、それらの遺跡の粘土の成分を調べて一致する場所の可能性が高い。という分析方法である。
これは、
・粘土板に使われる粘土はそのへんにある汎用的かつ安価な素材で、わざわざ遠くから運ぶものではない
・いちど粘土板として使用したものは再利用しない、というか乾かすか焼成するかしているため再利用不可
・粘土は土壌なので場所によって成分が少しずつ異なる
といった特性から。
基本的に手に入る場所がどこにでもあること、再利用されないことが重要なポイントだ。たとえばパピルス紙だと作られている場所が限られるため、産地と使用される場所が異なっている。また粘土は重たいため遠距離を運ぶものではないが、パピルス紙は軽いため運びやすく、これも産地と使用場所が離れる原因となっている。
壺などに利用される粘土(胎土)から場所を特定する方法があるのは知っていたが、粘土板も対象かなるほどなー、という感じる
しかも粘土板は文字を書のが目的だからね。手紙として送る場合、送り元と宛先は確かに書くだろうし、元の街名が記録されていれば場所の特定に使えるのだ。
で、実際にこれで特定されているのがアラシヤの首都。
アラシヤというのはキプロス島にあった国で、エジプトのアマルナに送られた粘土板と、対岸のウガリットに送られた粘土板が発掘で見つかっているため、送り元の位置はここから特定された。
粘土板の成分から、キプロスのトロオドス山脈周縁地域に絞られるという。
The Location of Alashiya: New Evidence from Petrographic Investigation of Alashiyan Tablets from El-Amarna and Ugarit
https://ajaonline.org/article/1364/
といっても島の真ん中だいたいこの山脈なので、山脈のどこか、まで絞らないと首都の遺跡までは出てこないかもしれないのだが、動を輸出する貿易港として栄えていたとされる西部のエンコミの遺跡からは離れているので、首都は島の東部にあり、西部が地中海沿岸との交易を担当する商業都市として役割分担していたのでは? という説が出てくる根拠となった。

なので都市名書かれた粘土板が出てくれば、分析して場所を絞り込むことは不可能ではない。
まあ、近くに候補都市が複数あるとか、探したい都市から送られたと確実に分かる粘土板が一枚も出て来てないとかだと使えないんですけども。
****
似たような研究として、粘土板や日干し煉瓦(日乾レンガ)に使われている土に含まれる植物の痕跡から、当時の環境を再現する、というものもある。いわゆる環境DNAを使った分析だ。
粘土板と同じく、日干し煉瓦も粘土で作るため材料の粘土は遺跡のあった場所の近くから採取する。レンガはつくられたその場所で使われ、遠くに運ばれることはないのだが、土に色んなものが混入されるので、作られた当時の水辺の生態系の情報が読み取れるのだ。
古代の粘土板から環境DNAを抽出する試み。粘土レンガから当時の環境を再構築出来るかも
https://55096962.seesaa.net/article/500525015.html
日本だと縄文土器からコクゾウムシのいた痕跡が出てきた、とかがあるが、あれも似たような着眼点だと思う。
どういうことかというと、たとえばヒッタイトの都市Aの位置が分からない場合に、首都ハットゥシャの書庫に都市Aから送られた神殿の記録が保管されていたとする。確実に都市Aから送られたと分かる粘土板なら、その粘土板に使われている粘土は都市Aの近くで採れたもののはずであり、候補となる遺跡が幾つかあるのなら、それらの遺跡の粘土の成分を調べて一致する場所の可能性が高い。という分析方法である。
これは、
・粘土板に使われる粘土はそのへんにある汎用的かつ安価な素材で、わざわざ遠くから運ぶものではない
・いちど粘土板として使用したものは再利用しない、というか乾かすか焼成するかしているため再利用不可
・粘土は土壌なので場所によって成分が少しずつ異なる
といった特性から。
基本的に手に入る場所がどこにでもあること、再利用されないことが重要なポイントだ。たとえばパピルス紙だと作られている場所が限られるため、産地と使用される場所が異なっている。また粘土は重たいため遠距離を運ぶものではないが、パピルス紙は軽いため運びやすく、これも産地と使用場所が離れる原因となっている。
壺などに利用される粘土(胎土)から場所を特定する方法があるのは知っていたが、粘土板も対象かなるほどなー、という感じる
しかも粘土板は文字を書のが目的だからね。手紙として送る場合、送り元と宛先は確かに書くだろうし、元の街名が記録されていれば場所の特定に使えるのだ。
で、実際にこれで特定されているのがアラシヤの首都。
アラシヤというのはキプロス島にあった国で、エジプトのアマルナに送られた粘土板と、対岸のウガリットに送られた粘土板が発掘で見つかっているため、送り元の位置はここから特定された。
粘土板の成分から、キプロスのトロオドス山脈周縁地域に絞られるという。
The Location of Alashiya: New Evidence from Petrographic Investigation of Alashiyan Tablets from El-Amarna and Ugarit
https://ajaonline.org/article/1364/
といっても島の真ん中だいたいこの山脈なので、山脈のどこか、まで絞らないと首都の遺跡までは出てこないかもしれないのだが、動を輸出する貿易港として栄えていたとされる西部のエンコミの遺跡からは離れているので、首都は島の東部にあり、西部が地中海沿岸との交易を担当する商業都市として役割分担していたのでは? という説が出てくる根拠となった。
なので都市名書かれた粘土板が出てくれば、分析して場所を絞り込むことは不可能ではない。
まあ、近くに候補都市が複数あるとか、探したい都市から送られたと確実に分かる粘土板が一枚も出て来てないとかだと使えないんですけども。
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似たような研究として、粘土板や日干し煉瓦(日乾レンガ)に使われている土に含まれる植物の痕跡から、当時の環境を再現する、というものもある。いわゆる環境DNAを使った分析だ。
粘土板と同じく、日干し煉瓦も粘土で作るため材料の粘土は遺跡のあった場所の近くから採取する。レンガはつくられたその場所で使われ、遠くに運ばれることはないのだが、土に色んなものが混入されるので、作られた当時の水辺の生態系の情報が読み取れるのだ。
古代の粘土板から環境DNAを抽出する試み。粘土レンガから当時の環境を再構築出来るかも
https://55096962.seesaa.net/article/500525015.html
日本だと縄文土器からコクゾウムシのいた痕跡が出てきた、とかがあるが、あれも似たような着眼点だと思う。