カスル・イブリム(Qasr Ibrim)、またはカスル・アル・イブリームと呼ばれる遺跡が、アスワンの南、下ヌビアにある。
現在は上陸が許されているのは考古学者のみ、観光地にはなっていないので観光ガイドにも出てこないが、ダム湖の中に浮かぶ島に廃墟と化した城がなかなかにフォトジェニックな場所である。
だが、そもそもこ…
"人文学"の記事一覧
モリンガとは、かなり大きな樹冠を形成する植物で、和名だとワサビノキ。沖縄などにいくと町中に植えられているのも目にするはずで、ながーい豆のさやが枝からぶら下がっている目立つ木だ。
そんな木が今、スーパーフードとして健康食品界隈で話題になっている。
…のはいいのだが、ちょくちょく「クレオパトラも愛した」とか「古代エジプトでも珍重され…
「古代地中海世界と文化的記憶」という本を読んでいて、マケドニア問題が出てきたのでふと思い出した話。
ギリシャの北にマケドニアという国があり、長らく国名でモメていたのだが、近年になってマケドニア側が折れて「北マケドニア」に改名したというニュースがあったのを、覚えている人はいるだろうか。なんでモメたのかというと、ギリシャ側が「アレクサ…
ギリシャの三途の川の渡し守といえば、渡し賃を取ることで有名なカロンである。
日本でも三途の川には奪衣婆がいて、金を払えば服を脱がされずに済むとか、金を渡さないと川が渡れないとかいうパリエーションがある。
死者に渡し賃としてお金を持たせる文化・風習はあちこちに在り、「地獄の沙汰も金次第」のような言葉もあるくらい、死後の世界と貨幣制度は…
古代エジプト語解読の端緒となったロゼッタ・ストーンは有名だが、その後いくつか発見されている同様の石碑の情報が日本語で出てこなかったので、自分用に作っておくことにした。
まず前提として、ロゼッタ・ストーンは、それが作られた時代においては特殊なものではない。
プトレマイオス朝には、同様のギリシャ語とエジプト語の碑文がたくさん作られて…
これは面白いなと素直に思った。
タイ南部に住む猿、マカクが硬いヤシの実やナッツの殻を割るために石をハンマーとして使っており、その際に出来る痕跡や剥がれた石片は書紀の人類が作ったものと区別がつかない可能性が高いというのだ。
Wild macaques challenge the origin of intentional tool…
ロゼッタ・ストーンの発見からヒエログリフ解読に至るまでの経緯を丹念に書いた本である。
概要は他の本でも何冊か出ているし、主役がフランスのシャンポリオンで、同時に解読に挑戦していたイギリスのヤングも出てくる。著者はイギリス人なのでまぁヤングについてのちょっと盛った記述はフランス人に全部譲りたくない「お国柄」だと思って読めばいいと思う。
…
論文を読んだ時点では、うーんこれはまだ議論が必要だなーと思っていたものの、ナショジオがさも確定事項のように記事で取り上げてしまったので、面倒くさいけどちょっと突っ込んでおこうと思う。
最も古い乗馬の証拠が見つかる、ヤムナ文化の勢力拡大に貢献か
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/…
スーダンでなんだか面白そうな発見があったというニュースが流れていた。ポーランド隊がナイル川沿いのオールド・ドンゴラにある「中世の」城を発掘していたところ、予想外にヒエログリフの刻まれた石材が発掘されたのだという。呼ばれたエジプト学者はこれをアメン神殿の一部と鑑定。紀元前1000年頃=エジプトの末期王朝頃のものと推定されている。
た…
よく本に出てくる話として、「古代エジプト人は砂混じりのパンを主食にしていたために歯がすり減っていた」というものがある。
この砂は、砂漠の砂が風で飛ばされてきて混じった、というような話だけではない。
・小麦や大麦を挽く際に石をこすり合わせるサドルカーンという方式の粉挽き機を使っていたために、粉挽き機そのものの石がすり減ったものが入…
アフリカ神話の本は少ない。
なんで少ないかというと、固定された文書資料がなく口伝だからだ。なので現地に行かないと資料が入手できないし、口伝である以上、その時々に変わっていく。 つまりは細かいエピソードや構成が人によって、場合によって、変わっていく。同じ人ですら、投げかけた質問によってバリエーションが変わっていく。
これは例えば、…
内の人的にはすごく懐かしい内容の本である。あー最近こういうノリの本見ないな…と思って読んでみた。
オカルト本ではなくて、元ネタがどこから来たのか、「オカルトの歴史」のようなものを年代を追って紹介してくれている本である。
具体的に言うと、アトランティスはプラトンから、ムーはアトランティスからの派生でマヤの古文書の誤読、インドの謎の…
キクラデス諸島とは、ギリシャ沖合あたり、場所的にギリシャ本土とクレタ島の中間に点在する島々の総称だ。
ここらは青銅器時代の紀元前3200~1050年頃に独特の文化が栄えていた。同じ東地中海でミノア文明がクレタ島に栄える以前から存在した古い文明であり、のっぺりとした大理石像で有名である。
ここの像は現代芸術にも似た…
昆虫食ならまず蜂だろ? って思いながら、そういや古代エジプト人って蜂蜜は食ってたけど蜂の子は食ってないのか…。って思って調べてみた。
結論、蜂の子はどこにも出てこないので、たぶん食ってない。
というかアフリカでもごく一部は蜂の子食ってるらしいんだけど、どうもその文化はエジプトはじめ東地中海の国にはなさそうだった。
でもそれだけ…
古代エジプトには、みんなを幸せに出来る謎の飲み物「ミイト(myt)」があったらしいーー。
だが、その正体はまだ分からない。
「イプエルの訓戒」とは、第一中間期ごろに成立したとされる訓戒文学の一つ。訓戒なので、知恵あるお年寄りが若者や後輩などに向けて人生のうんちくを述べていく形態になっている。
現存するパピルスはオランダのライデ…