"人文学"の記事一覧

ホルムズ海峡封鎖で各国石油備蓄がピンチ。なのだが…そこ、実はめっちゃ遺跡ある

3月に入って以降、ニュースで見ない日はないイラン・中東情勢。イランがホルムズ海峡を封鎖することで世界に圧力をかけているのだ。 この地図が頻繁に報道に出るようになり、ずいぶん狭い湾だなと思った人も多かっただろうが、西アジアの考古学ではこの地図は別の意味でよく見かけるものである。 というのも、日本の発掘隊が発掘に入っ…

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古代エジプトのファラオ・メネスは蜂刺されのアナフィラキシーで死んだ? →ガセです

アレルギーに関する記事を読んでいたら、「アレルギーにおける最古の事例は、古代エジプトのファラオ・メネスが蜂に刺されて死んだという記述です。これはアナフィラキシー・ショックによるものとされています」という文章が出てきて、「は???」となった。 そんな話、聞いたことがないぞ…全くかすりもしない…。 第一王朝のファラオ、ホル・アハ王が…

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シュメール、世界最古の「自由」という単語 最近リベラルの運動に使われていてちょっとアレな件

世界最古の「自由」という意味の単語だとされているのは、シュメールの時代、エンメテナ王の時代の粘土板に書かれた「amagi」という言葉である。 それが何故か欧米でリベラルの運動に使われていて、「…?? え、そんな意味あったっけ…?」ってなった。 (おそらく、シュメールがギリシャより古いということで、シュメールを文明の起源とする風潮から…

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パピルスに使われた修正液はなぜ白いのか/新品のパピルスは白かったから…

1922年にウィリアム・フリンダーズ・ペトリーが発見し、現在はイギリスのフィッツウィリアム美術館に収蔵されている「死者の書」に、修正液の跡が見つかった、という記事を見つけて読んでいた。 修正されていた箇所は「道を切り開くもの」という別名を持つウプウアウト(ウェプワウト)神の体だ。上下が白いラインで修正され、体を細くしている。(神に触れ…

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エチオピア北部、アクスム以前に建設された通商都市「ベタ・サマティ」について

日本語でググってもあまりいい情報が出てこないので、自分で書いておくことにした。 「ベタ・サマティ」はエチオピア北部、アクスム石柱群で有名なアクスム王国の隣接地に建設されていた都市である。紅海を通じてローマやインドとも繋がっていた重要拠点なのだが、完全に忘れ去られており、再発見されたのは2009年と最近のこと。 エチオピアとエリトリア…

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ベルベル音楽で使われていた謎の楽器「ベルブーカ」、正体は「ダルブッカ」(エジプトでいうタブラ)だった

年末年始の遠征でアルジェリアに行った時、現地のベルベル系トゥアレグ族の人たちが何やら太鼓みたいなものを抱えて陽気に歌い踊っていた。 その楽器、何? と聞くと、返ってきた返事は「ベルブーカ」だった。ん? 聞いたことないな… と思い、あとで調べようと思って忘れていた。 で、改めて調べてみたところ、「ベルブーカ」は方言みたいなもので、…

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古代人もレバノン杉で花粉症になっていたか。→そいつ和名は「杉」だけど実際は「松」だよ

レバノン杉だって花粉症を起こしていたに違いない…フンババは花粉症の化身…! みたいなのはSNSの軽いネタとしてはいいかもしれないけど、それフンババの前で言っちゃだめだぞ。ああ見えて繊細なんで傷つくからな。 という話はさておいて、このジョークを見かけた時に、「ああ、レバノン杉って名前だからみんな杉だと思ってるんだな…」と今更のように…

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楔形文字の書かれた粘土板、焼かれてないやつも多いぞ。焼成されたものだけが残ってるわけじゃないよという話

某所で「粘土板は火災で焼けたのでたまたま残ったのです!」みたいな話を見かけて、は? 焼かれてないやつのほういが多いぞ? むしろ焼けてるやつのほうが珍しいんだが…と思ってしまった。 確かに焼かれて出土した粘土板はある。ニネヴェにあった、アッシュールバニパル王の図書館の粘土板は、宮殿が火災に見舞われた際に焼き固められたことで保存状態良…

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インドの仏像に仏教っぽくないものが混じっているのは何故なのか「ガンダーラ仏教美術の謎」

ガンダーラというと「♪ガンダーラ ガンダーラ 愛の国ガンダーラ♪」の曲で覚えているのは私も同じだが、人文学的に言うとガンダーラは「仏像の故郷」とされる。 グレコ・バクトリア、つまりギリシャ文化が現地文化と混じりあっていた時代があり、ギリシャ様式の彫刻が仏教に取り入れられて仏像というものが誕生する。仏像の源流はギリシャ、そしてギリシャ文…

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マヤ人、水銀中毒に侵されていた可能性:水源地の調査から

グァテマラにあるマヤの都市ウカナルの貯水槽から高濃度の水銀を検出し、水源地が汚染されていたはずだという論文が出ていた。 過去に同様の研究がティカルでも行われており、住民の多くが水銀中毒だった可能性が示唆されているが、今回もやはり高濃度の水銀が検出されていて、マヤの諸都市に一般的だった可能性が高くなってきた。 汚染源は辰砂。マヤ文…

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古代のキュレネで取り引きされた万能草「シルピオン」、現代で言う「冬虫夏草」なのでは。絶滅危機の「万能薬」について

キュレネは現代のリビアに位置し、プトレマイオス朝エジプトの果てにあたる都市。プトレマイオス3世と結婚した女王ベレニケは、この都市国家出身。 このキュレネが栄えていた時代、都市ではシルピオン(ラテン語ではシルピウム)という万能薬になるという薬草が取り引きされていた。 しかし、あまりにも乱獲しすぎたため、シルピオンは絶滅。紀元前後のこと…

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実際は失われてないのも混じってるが、タイトルでワクワクさせてくる「失われた古代都市」

タイトルでホイホイされて手にとってみたのだが、買った決め手はパブロペトリが入っていたらからである。水没して島ごと滅びた古代都市、というなかなかロマンみのあるプロフィールながら、他の本では見たことがないマイナーな遺跡だ。 ※参考:ナショジオのページ 著者がローマ史専門なので範囲はローマ帝国領内に限られるのだが、マイナーな遺跡も…

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古代エジプトの猫はサバトラ・キジトラ。イラストでよく見る「真っ黒な猫」は実はまだ居ないよ…という話。

古代エジプトのイラストに出てくる猫は、真っ黒に描かれることが多い。特にバステト女神の御使いとなる猫だ。 だが、これは実際の猫の毛色ではなく、神像に使われた黒い石、もしくは黒ずんだ古い青銅像からのイメージである。 古代エジプトの猫の毛色は、サバトラ・キジトラだ。 ↓猫の像 ↓壁画に描かれた実際の猫の姿 …

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話題のイランにどんな遺跡があるのか見てみよう。「古代オリエントの遺跡と文明」

本屋でこの本を見かけて手にとったのが2月で、「ああ、緊迫してきてるからいい時期に出たなあ」と思ったけど、まさかその直後にこんなことになるとは思っていなかった。いい時期に出た本ではあるが、ジャストタイミング過ぎてしまった本である。 サブタイトル「悠久なるイランと考古学者たち」のとおり、イラン各地の代表的な古代遺跡と、それらに関わる主要な…

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チャドの「砂漠の岩絵」、描き方はアルジェリアと同じなのに画風が違う。人の絵にはいつから「画風」が誕生するのか

メルマガでなんとなく流し見していた記事に、チャドの砂漠の岩絵の話が出てきて、ほう? と思いながら記事を読んでみた。 チャドの岩絵の話である。年代は、1万年前~5,500年前くらいらしい。まさにグリーンサハラの時代で、サハラ周辺に多くの岩絵が残された時代になる。 The Sahara Desert Hasn’t Always Be…

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