"人文学"の記事一覧

南部イギリスの古代遺跡「フラッグ・ストーン」、最新の年代測定でストーンヘンジよりちょっと古いと判明

「フラッグストーン(Flagstones Enclosure)」という遺跡は、しばしばストーンヘンジと比較されることで知られる新石器時代後期の遺跡である。 イギリス南部のドーセットにあり、今まではストーンヘンジと同じ頃に作られたものとされていたが、実際には数百年古い可能性が高くなった、という研究が出ていた。 つまり、この遺跡が先に作…

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ザヒ・ハワス博士、発掘で遺物の像を破損→「破損してない。虚偽を申し立てたユーザーには法的処置を取っている」

あーいつものやつだなぁ…と思いながら眺めていた一連の騒動。 エジプト考古学者のザヒ・ハワスがサッカラでの発掘中に第5王朝の像を発見、テレビカメラがあるのでいつもよりハッスルし、手柄を誇ろうと雑に手で土を掻き分けたところ、像の前面の漆喰がバキっと外れてしまい、それを見ていたユーザーからめちゃくちゃツッコミを食らった、というニュースが…

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メソポタミアの古代の農業用灌漑水路、エリドゥ周辺の調査で明らかに

前提として、メソポタミア文明の発達した地域は雨が少なく、雨だけでは主食の麦を育てられない地域である。 エジプトほどカラッカラではないものの、川からの水に頼る灌漑農業をしているのは同じで、畑には水を引き込むための水路が敷設されていた。 だが、長年の川の流れで運ばれた土によって埋もれるか、古代以降に作られた集落に上書きされるかして、…

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入場料は強気の4千円越え、だが来ているものが一級品勢揃い「ラムセス大王展」

カイロ博物館の老朽化にともなう改装や、新しく作っている大エジプト博物館への遺物移転のはじまった頃から、エジプト政府肝いりの大規模なエジプト展が世界各国で行われるようになった。これは改装中にバックヤードに置いとくよりは他の国に貸し出したほうが費用捻出できるからであり、観光業と並んで遺物の貸し出しが主要な外貨獲得の手段であるエジプトさんなら…

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エジプト神話には「天候神」がいないのでは…? 雨の降らない国ならではの神話体系について

春という季節は、三寒四温の言葉もあるように「寒い」と「温い」を繰り返す季節である。季節の特性上、雨が降るごとに季節は春へと近づいていくため、「雨が降る」は季節が変わる兆しである。なお、雨が寒いタイミングに降って雪になることを表現した「なごり雪」という言葉もある。 雨が季節の変わり目や春を意味する地域は日本以外にもあちこちにあり、そ…

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エジプト:カルナック神殿から第26王朝の金製品が見つかる。ポイントは「金の薄さ」

エジプトの観光名所としてギザのピラミッドと並ぶカルナック神殿は、かなり広大な神殿で、かつ時代を越えて増改築が繰り返されてきた。そのため色んな時代の遺物が出てくるのだが、今回は、第27王朝の金製品が出てきた、というニュースが流れていた。 A collection of jewellery from 26th Dynasty unea…

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そろそろ黄砂のシーズン。今年はたぶん黄砂多いと思うよ…

そろそろ黄砂シーズン。花粉症はないので、どっちかというと黄砂のほうが中の人的にはキツい。あらゆるものに砂が降り注ぐ。 黄砂は年ごとに多い少ないがあるのだが、前回2006年にめちゃくちゃ黄砂来た時には、 ・冬がいつものより寒い ・日本海側は大雪 ・大陸側は少雨 という特徴があったので、今回も条件に一致する。つまり今年は黄砂の当た…

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イベリア半島の鉄器時代の「生首」は晒し首インテリアか特殊な埋葬習慣か。出身地調査から見える傾向

北東イベリアには、青銅器時代以降に生首をさらす風習があった、とギリシャ語やラテン語の文書で言及されているという。(これはおそらくガリアの人頭崇拝のこと) ※出典元 だが、考古学資料があんまり無いので実態がよく分からない。 戦争が討ち取った敵の首をトロフィーとして飾ったのか。 それとも、尊敬すべき長老などの頭蓋骨を飾っ…

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”遺跡”化していく村:過疎化で人が住まなくなったエリアが遺跡の形成過程の参考になる

山登りとかしていると、山あいの村が過疎化で無人家だらけになっている場面はよく見かける。場合によっては車などがそのまま残っていたり、壊れた窓の中にか家財道具が残っているのが見えていたりする。 おそらく相続放棄されたり、誰も関係者が残っていなかったりで放置されているのだろう。 相続放棄のパターンだと、子孫はふもとの便利な町のほうに移住し…

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エジプト:紅海沿岸から金鉱あとが見つかる。 人力で頑張った痕跡だぁ…

エジプトの紅海沿岸、Marsa Alamから大きな金鉱キャンプ跡が見つかったというニュースが流れていたので、メモがわりに。 出土している品からして末期王朝~ローマ支配時代くらいに稼働していたようだ。 A Large Camp Where Gold Was Mined and Processed in Antiquity, Fou…

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古代エジプトの武器について:剣は「技術的な理由で」使われなかった、という話

基本事項として、古代エジプトは末期王朝まで青銅器時代である。鉄器の使用は、紀元前1,000年以降に開始される。それまでに使用された鉄は全て隕鉄だ。 エジプトだけでなく、西アジア全般でもそのくらいであり、ヒッタイトだけ先駆けて鉄の使用が盛んだったというわけでもない。なので、それまでの時代の古代エジプトや周辺国との戦争で使われた武器は、全…

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世界帝国の中の文化・美術の交錯「帝国スペイン 交通する美術」

スペインは16世紀以降、「世界帝国」というにふさわしい広大な版図を抱える帝国を築く。その帝国スペインの中における、異なる文化が組み合わさった美術様式についての本である。 帝国スペイン 交通する美術 - 岡田裕成, 岡田裕成 切り口はいくつかある。 ・レコンキスタ後、スペイン領内に残ったイスラム様式とキリスト教文化の融合…

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王家の谷で、まだ見つかっていない王墓は他にあるか?→少なくとも3人の候補がいる

少し前、トトメス2世の墓が見つかったというニュースが流れて盛り上がっていた。この墓自体は2022年に発見されており、このたび確信が持てるようになったのでエジプト政府が発表した。ということのようだが、英語ソースのニュースとか見ていると、日本のニュースで流れて来ない部分もあるので、ちょっとまとめておくことにした。 トトメス2世の墓、新…

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生きた木に仏の姿を掘る「生き木仏」、聖木信仰+仏教の不思議な融合について

適当に図書館で掘り出して読んでいた本に、目を引く仏像があった。 というか、仏像と呼んでいいのかこれは…?という感じのもので。生きた木の幹にそのまま仏像を掘り込んで、木として生きていながら仏像でもある、という融合した存在である。「生き木仏」というらしい。本のタイトルどおり「ミステリー」な存在だし、そんなものがあると知らなかった。 正直…

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クレオパトラ7世の妹・アルシノエ4世とされていた頭蓋骨、DNA調査の結果「少年」と判明。どうすんのこれ

1929年、トルコのエフェソスで貴人の墓らしきものが見つかった。八角形に作れらたその霊廟は、エジプト最後の女王クレオパトラ7世との政争に負けてローマに連れて行かれた異母妹、アルシノエ4世の墓ではないかとされ、この100年、ずっとその説がプッシュされてきたーー伝説上の死亡年齢よりずっと若い骨にも関わらず。 だが、今回の調査によって、…

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