"人文学"の記事一覧

ラパ・ヌイ(イースター島)の人口上限は3,000人~4,000人? 過去の研究の見積もりが多すぎた可能性

ラパ・ヌイ(イースター島)に残る畑の痕跡から食料生産量を割り出し、島の収容人数がかつて想定されていたよりだいぶ少なかった可能性があるという説が出ていた。 具体的に言うと、かつての説では16,000人とされていたものが、3,000~4,000人の可能性があるという。上限人数は、リモートセンシングや現地調査でかつて畑のあった場所を割り出し…

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ヌビア(メロエ)とインドの繋がり:かつて見えなかった伝播経路が見えてきた

もう10年くらい前になるが、ヌビアの神にインドからの影響がある説を追ってみたことがある。 その時は、「なんか似てるところもあるけどつながり薄いなあ…」と思っていたのだが、近年の発見により、プトレマイオス朝後半くらいにはインドとの交易路が確立されており、インド文化も流入していたことが物証とともに判明している。 どういう発見があった…

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古代エジプトで使われていた材木リスト②

前回からの続き。 エジプト国内で育つ、木材として利用されていたことがわかっている木の種類リスト。 外来種でもエジプトで栽培されていればここに入れている。 ●Carob イナゴマメ 実を食べるついでに木材としても利用。エジプトで庭園に植えられていた。硬い木材が取れるので、大型の家具など耐久性の必要なものに使われた。…

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古代エジプトで使われていた材木リスト①

前提知識として、現代も古代もエジプトではほとんど木材が育たない。 雨が全然ふらないんだから当然である。貴族の墓の壁画に庭園の絵とかあるのは、人が毎日水を運ばないと木が育たないからで、家の中に緑や池があるのは、超ぜいたくな風景だったから。要するに財を誇り、理想的な風景を描いているわけだ。 なので古代エジプトの遺物に木材を使ったもの…

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対馬の「韓国人お断り」、仏像盗難事件が無かったことにされようとしている世界線にドン引き

2012年、対馬の海神神社から二体の仏像が盗まれた。 しかし韓国側は「元々韓国のものだった」として返還を拒否。一体は破損した状態でなんとか返還されたが、もう一体は、今に至るまで戻ってきていない。 最近流れていた、対馬の神社が韓国人お断りにしたというニュースには、この話が全く触れられておらず、むしろ無かったことにすらされている気配…

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「グリフィンはプロトケラトプスの化石を見て創られた」という説に対する学者の反論

「どう見ても似てねーだろ」と書くだけでこの長さ。真面目にツッコミ検証するとこうなるんだな…大変だな…という感じ。 ギリシャ神話に登場するグリフィンは、中央アジアで見つかる角のある白亜紀後期の恐竜、プロトケラトプスの化石が元になっているのでは。という説が、1990年代にアドリエンヌ・マヨール(Adrienne Mayor)という人に…

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作物としてのアズキの起源は日本らしい。秘密は「赤い色」にあった

日本の農作物は大陸から渡ってきたのものが多いが、縄文人が多く食べていたことが知られるようになったアズキは、実は日本で栽培化されたものだと最近の研究でわかったらしい。 アズキの全ゲノムデータ解析が可能になり、さらに東アジア全般のアズキ栽培種・野生種も分析されて、比較できるようになって起源地が見えてきたということだ。 決め手となった…

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YOUはその時なにしてた? エジプトとその周辺の「大国」の年表について

古代エジプトの歴史はだいたい3,000年ある。なので「古代エジプト」というだけで資料を集めると、縄文時代から江戸時代くらいの時間幅の資料が集まってしまう。ピラミッド作ってた時代からツタンカーメンまでは1,000年開いており、ツタンカーメンかクレオパトラまでは1,000年以上違う。 だが、周辺の「大国」たち、エジプトと対等な口を聞い…

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ネコだけは許された。アッシリアの通史本「アッシリア 人類最古の帝国」

クーラーに当たりに本屋に入ったら、新刊コーナーにアッシリア本がありまして。 おっ読むか~と手にとり(以下いつもの) アッシリア 人類最古の帝国 (ちくま新書) - 山田重郎 というわけで、エジプトやメソポタミアに比べて少ないアッシリアの資料本がでたのですよ。 ヒッタイト史から見たアッシリアは、まだ帝国になる以前の時代…

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古代メソポタミアの医療技術は、どのくらい? 資料を探してみた

古代世界において、古代エジプトの医療技術が進んでいた、という話はよく見かける。ミカ・ワルタリの文学作品「エジプト人」の主人公シヌヘも名医という設定で、外国で重宝されたり、アクエンアテン王の宮廷で御典医をしていたことになっている。 だが、同時代のメソポタミアがどうだったのかについて言及されていることが少ない。 部分的に言及されるの…

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人文学者はなぜ著書で愚痴るのか。インド研究の世界と「アーリヤ人の誕生」

最近のインドの話題では、「ヒンドゥー・ナショナリズム」というキーワードが良く出てくる。 まあ意味はググるなり何なりしてもらえばいいのだが、簡単に言うとヒンドゥー教原理主義であり、インド版アーリア人至上主義である。分かりやすい側面としては、イスラム教徒の弾圧・追放。中国でいう中華思想に近いかもしれない。 多文化・多言語の国がひとつ…

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ネアンデルタールは死者に花を手向けたか。過去の調査内容が古すぎるので再調査中

シャニダール洞窟、といえば、マニアの人はすぐにぴんと来ると思う。 ネアンデルタールの埋葬の地として、「ネアンデルタールは死者に花を手向けていた! 埋葬の習慣があった!」という話とセットにして語られる場所である。 だが、現在では、この話をそのまま信じている人は少ない。 いまだに何も注釈なく書いてる人は、ネアンデルタール知性過激派…

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冬至の日の出とカルナック神殿―神殿が建てられた頃の風景はどうだったのか

エジプトのナイル上流、ルクソールにあるカルナック神殿は、新王国時代以降の主神であるアメン神の本拠地だ。 そのため、新王国時代を通して歴代の王たちに増改築されまくっている。 ※増改築の履歴はこちらの本を参照 だが、本体神殿と神殿の中心を走る軸の部分は、最初にここに神殿の建てられた中王国時代に設定されたもののはずで、そ…

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トトメス3世と「星の奇跡」――”敵を撃つ星”の正体は?

(マニアの間で)よく知られた常識として、古代エジプト人は、異常な天体現状を観測しても記録しない、というものがある。 具体的に言うと、日食や月食、彗星などである。それらは不吉なものとされ、世界の秩序の乱れと考えられたため、書き残して永遠のものとすることは許されなかったのだと解釈される。(ちなみに、プサンメティコス/プサメティク1世の治世…

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ネアンデルタールのY染色体はどこに消えたのか。受け継がれたDNAの偏りについて

ぷらぷら歩いていたら「ネアンデルタール」の文字が見えたので、ん? と思って記事を読んでみた。 現生人類は2-5%くらいネアンデルタールのDNAを引き継いでいるが、何故かY染色体(男系遺伝子)は引き継がれていないっぽい、何でだろうね。という話である。 Modern human DNA contains bits from all …

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