"人文学"の記事一覧

「史実」とは何なのか。歴史記録に書かれたこと=史実、ではない。という話

辞書で「史実」という言葉を引くと、「歴史上の事実。歴史上、実際にあった事柄」という意味が出てくるだろう。 これは、読んで字のごとくであり、それ以上付け加えることのない説明である。 なのに実際には、誤解された使われ方をしていることが多い。 具体例を上げてみよう。 古代エジプトの王ラメセス2世には、子どもが100人以上いたと…

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いつまでも「自由に」行けると思うな、その遺跡。マチュピチュ入場ルールが複雑怪奇に

ペルーにある天空の都市マチュピチュは、遺跡マニア憧れの古代遺跡の一つ。いつかは行ってみたいと思ってる人も多いと思う。 が、近年はオーバーツーリズムで人が押し寄せすぎたり、SNS向けの「映え」写真狙いで無茶する人が増えたりして、毎年のようにルールが厳しくなってきている。 最近では、入場人数を絞るだけではなく、観光ルートもガチガチに固め…

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たまに出てくる「大ホラーサーン文明」、日本語ででこないので自分で書いておく

「大ホラーサーン文明」とは、the Greater Khorasan Civilization (略してGKC)のこと。 「大ホラーサーン文化」のほうが正しいかもしれないが、日本語訳がみつからなかったのでひとまず「文明」のほうで記載しておく。 これが何かというと、イラン北部からアフガニスタン、トルクメニスタンあたりまでを含む、歴…

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古代メソポタミアの都市は現代人が思うより小さい。実際の都市の大きさを見てみよう

Fate/Grand Order っていうシリーズのアニメにウルクの街出てくるけど、あれ実際のウルクよりデカすぎるんだよ…という話をしたい。 まあそもそもシュメールもバビロニアも全部混ぜちゃってるファンタジー寄りのアニメなので史実を指摘するのもアレなのだが、作中で「巨大で立派な城壁」と「はるか果てまでビッシリと続く住宅街」が出てき…

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ウォーレス線を越える人類。スラウェシ島から見つかった100万年以上前の石器は誰が作ったのか

石器の年代測定が正しければ大発見なのだが、これだけ古いとあってるのかどうかが微妙なので、今後の動向をウォッチする上でもメモしておきたいと思う。 まず前提として、現在インドネシアに属する島嶼地帯のオーストラリアとの境界地域には、ウォーレス線(ウォレス線とも)と呼ばれる境界線が知られている。 これは、過去に海水面が下がっていた時期にも一…

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ジャガイモの遺伝的起源が明らかに。Etuberosumとトマトの自然交配(900万年前)による野生雑種

ジャガイモとトマトは近縁種で、枝接ぎしてポマトという植物を作り出すことが出来る。(トマトとジャガイモ両方がなる) が、姉妹種なのは分かっていても、実際どう進化したのか、詳細までは分かっていなかった。それがだいたい解明されたよ、という話である。 元の論文を読むと分かるが、この研究の重要ポイントはジャガイモの起源が判明したことよりも…

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古代エジプト・プトレマイオス朝時代の金鉱で行われていた過酷な金鉱労働の証拠。

プトリマイオス朝時代に開発されていた東部砂漠の金鉱から、人間の奴隷用に作られたと思しき金属製の足かせが出てきたという研究報告を見つけた。場所はGozza、一敵にはエジプト中部で、ここがプトレマイオス朝時代に開発された最北の金鉱だという。 Iron shackles from the Ptolemaic gold mines of …

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ツタンカーメン墓から出土した?「グエンノールのバッタ」高値で落札。

ツタンカーメン墓の発掘者、ハワード・カーターが持ち出したとされる小さな象牙製のバッタが、アポロ・オークションズというオークションで34万ポンド(約6751万円)という高値で落札されたニュースが流れていた。 いまさらそれ話題になるんだ…? というのと、いつも盗品にうるさいエジプトさんが今回に限って黙ってるの何でなんだ…? というのが不思…

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ヒッタイトの属国・イシュワだったかもしれない遺跡「コルジュ・テペ」についしての覚書き

ちょっと調べ物をしていたら、ヒッタイトの国境近く、南東側の防衛拠点としてコルジュテペという要塞都市の遺跡が上がっていた。 ここはヒッタイトに隣接する小国イシュワの都市と考えられている。イシュワは、独自の王の名も知られてはいるが、帝国最盛期には属国として支配下にあった小国だ。ヒッタイトがミタンニ攻略に乗り出した際には軍事的に重要な拠点の…

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ローマの碑文にはどんなのがあったのか「碑文が語る古代ローマ史」

こないだ、ローマの碑文解析AIのニュースを見かけたので、そういやローマの碑文ってどんなのあったっけなぁと思って関連しそうな本を図書館で発掘してきた。碑文と一口に言っても各文化圏でスタイルや特徴が色々あるのだ。 碑文が語る古代ローマ史 - アンジェラ・ドナーティ, 小林雅夫, 小林雅夫, 林要一 この本の構成はわかりやすい。 …

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ギザの三大ピラミッドに色はついていたか、今はもう言及されることのなくなった説について

もうだいぶ前になるのだが、ギザの三大ピラミッドには色がついていたかもしれない。という説が存在した。 古代エジプトの神殿には例外なく彩色がされていたのだから、ピラミッドが真っ白だったはずがないだろう、というところから出てきた説である。 しかし特に有力な証拠もなく、「そもそも、あのデカいのに色つけられるだけの染料は用意できなくね?」…

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古代エジプト・新王国時代の土地台帳「ウィルボウ・パピルス」

エジプトのパピルスで農地の利用者とか所有者のリストみたいになってるやつあったはずなんだけど思い出せない…あれ何パピルスだっけ…って思い出せなくて早幾年、再会できたので今度こそ忘れないようにメモっておきたいと思う。 ウィルボウ・パピルス(Wilbour Papyrus)というもので、チャールズ・エドウィン・ウィルバーというアメリカ人…

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古代エジプト「魂の家」と作者の手の跡。そもそも「魂の家」って何だよってところから

ケンブリッジ大学付属のFitzwilliam Museumで「Made in Ancient Egypt」というイベントを開催するにあたり展示品を移動させていたら、普段みない遺物の裏側に手形がくっきり残ってるのが見つかったよ! という話が流れていた。 4000年前の手形、古代エジプトの墓で発見 模型作成した陶工のものか http…

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構成が雑すぎてツッコミどころしかない「古代エジプト写本に残された人類滅亡の予言」、もうちょっと捻ろうか…。

うろうろしてた時に偶然見つけてしまい、「ン”ッ(笑いをこらえる音)」ってなってしまった記事。 人類滅亡の予言…! 古代人、また人類滅亡を予言したんですか…?!(◯年ぶり10数回目) 古代エジプト写本に残された「人類滅亡の予言」──5000年前の警告、その謎に研究者が挑む https://artnewsjapan.com/art…

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本当の愛を…教えてあげますよ…!的な本「プラトンのプラトニック・ラブ」

「プラトニック・ラブ」といえば、現代では「肉体的な性愛を伴わない精神的な愛情」という解釈をされていることが多い。 プラトンという古代ギリシャの哲学者の言葉から生まれた概念で、古代ギリシャには少年愛が多かったこともあり、年上男性+少年の恋愛に関してこの用語が使われることもある。 だが実際には、この概念は曲解または誤用に近く、真実在…

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