エジプト人、イギリス・ヨークに立つ? 2世紀後半のローマ要塞から見つかった「コール壺」に秘められた可能性

論文検索で遊んでいたら、面白そうなものが出てきたのでメモしておく。 2世後半のローマ軍要塞跡から、エジプト人が日常的に使っていた小さな壺が出てきたよというお話。この壺は、アイライナーを引くためのコールと呼ばれる墨を入れるもので、コール壺/コール・ポットなどと呼ばれる。 この時代のエジプトは既にローマ属州なので、エジプト人がイギリスま…

続きを読むread more

パピルスは栽培植物化できなかったのか、ちょっと考えてみたけど…ネックは「温度」と「淡水」

紙や本の歴史について辿ると、必ず通るポイントがある。「かつてはパピルスが最も格調高い紙として使われていたが、エジプトの独占輸出だった上に高価で需要が満たせなかった。そのため安価な羊皮紙に切り替えられていった」…。 中国で紙が発明され、ヨーロッパに導入される以前の話である。パピルス紙は、ほぼエジプトでしか作られなかった。高価だったの…

続きを読むread more

「死海」が消滅しかかっている。水汲み上げすぎてるんだから当然そうなる

死海の水位が下がりまくって、もはや消滅が時間の問題みたいになっているというニュースが流れていた。 いつかそうなるだろうな、とは思っていたのだが、予想していたより早かった。 縮小止まらず死にゆく「死海」、救う手立ても定まらず https://www.cnn.co.jp/world/35248231.html 記事では「人間…

続きを読むread more

フン族の王アッティラの名前と「小さな父ちゃん」という意味の根本: 本名が訛った結果そうなった

フン族の王アッティラ、というと、歴史好きな人は、あーなんか聞いたことあるなーと思う人も多いかしれない。 教会が堕落したのを罰するために遣わされた、という思想から「神の鞭」とも呼ばれた男。騎馬民族を率いてヨーロッパに侵入し、民族大移動を発生させたフン族の、全盛期の王。ローマの心胆を寒からしめた人物。伝説は数多けれど、実際のところはほ…

続きを読むread more

ペルー南海岸で栄えた「チンチャ王国」の家族墓から分かった人の移動/インカ以前から人の交流は盛んだった?

初見だと何いってんのか良く分からなかったけど、意味が分かると「あーね!」ってなる論文。 ペルーの南海岸でインカ帝国が興る以前に栄えていたチンチャ王国の墓を調べてみたところ、北海岸から流入して婚姻している人が結構いたよ。という話。 Ancient DNA reveals a family ossuary and long-dist…

続きを読むread more

ヒッタイトは鉄の技術を秘匿していたわけではないが、もしガチで秘匿するならどうするかを考える

日本では、かつてヒッタイトは「鉄の国」と呼ばれることが多く、製鉄技術を開発した国、鉄の力で帝国に成り上がった国と認識されることが多かった。 しかし、もしその説をとるならば、海の民などという有象無象の衆にあっさり滅ぼされた意味が分からないし、アナトリアから出て繰られていないのもしょぼすぎるし、エジプト軍との衝突で同等の兵力でほぼ引き分け…

続きを読むread more

古代エジプトの図像に描かれたチョウチョ、とその仲間たち(バッタ、セミなど)

少し前に、古代エジプト美術でカマキリが出てくることはめったに無いという話を書いたが、チョウチョの出現確率はそれよりは高い。 墓の内部や建物の装飾などに花が使われることが多いため、花とセットで登場するのだ。また、日本同様に女性者の装飾品のモチーフとしても使われていることがある。 主要なチョウの出現リストは以下を参照。ほんの4,5例…

続きを読むread more

「カミカゼ」という言葉の変化:今や神風は世界中に吹いている…?

なんとなくBBCつけていたら、ウクライナとロシアの戦争で使われている攻撃用ドローンのことを「カミカゼ・ドローン」と呼んでいて、一瞬聞き間違いかと思ってしまった。 が、聞き間違いではなく本当にそう呼ばれていた。どうも最近一般化されてきている表現らしく、「不適切なのでやめてくれ」という話も出ているらしい。 最近ではイランから湾岸諸国に飛…

続きを読むread more

古代エジプトにカマキリの神がいる? 調べてみたら「死者の書」に出てくる正体不明の単語の推定訳だった

古代エジプト美術には、多種多様な昆虫が登場する。チョウ、カナブン、スカラベ、ハチ、トンボにハエやアブ、テントウムシ。そんな中、カマキリの登場は非常に少なく、居たはずなのにめったに出てこないので、「描きづらかった、墓の主があんまり好まなかったので墓に描かれなかった」のでは、とされている。 にも関わらず、一部の個人サイトで「カマキリの…

続きを読むread more

ツタンカーメン墓の入り口を封印していた漆喰の壁、再建される。まさか破片残してあったとは

古代エジプトの王、ツタンカーメンの墓は、現代のルクソール対岸にある「王家の谷」で1922年に見つかった。今から100年以上の前の話である。 その墓は、見つかった時には入り口が漆喰の壁で塞がれ、その上から王名を刻んでで封印してあった。 漆喰の壁が、墓の扉代わりだったのである。 で、このたび、その漆喰壁が再建されて、ルクソール博物…

続きを読むread more

古代の農業における「食料生産地」と「消費地」の分離、出土する品の違いについて

中央アジアの商業都市の発掘調査の報告書をなんとなく読んでいて、おもしろいなと思ったところがあるのでメモがわりに書いておく。 オアシスに面した商業都市、シルクロードの経由地点の街では、畑はなく、農業は行われていない。しかし人がいるので、食料は運搬されて来ている。麦の固い殻や、果物の種などはたくさん見つかる。 でも、麦ワラが全然出て…

続きを読むread more

古代エジプト都市のニオイとは。乾燥していると臭気はほとんど感じないが。

去年サハラ砂漠に行った時、「砂漠って全然ニオイしねーな…」と思っていた。 トイレとかないので、テントの近くにNOGUSOすることになるのだが、そのニオイが流れて来ない。あと放し飼いのラクダが臭くない。 ラクダは一般的にものすごく獣臭いので、近くにいるだけでけっこう臭うのに、それが無かったのはかなり意外だったのだ。 で、その後、…

続きを読むread more

スーダンの古代文明も「ナイルの賜物」。ジェベル・バルカル付近のボーリング調査から

「エジプトはナイルの賜物」という言葉は有名だが、本来の意味は「エジプトの国土はナイルの運んだ土で出来ている、ナイルが無ければ下エジプトの土地は存在しない」という意味である。 砂漠の中を流れるナイルの水のお陰で人が安定して暮らせるのはもちろんなのだが、ナイルが「作った」土地が無ければエジプトは栄えることはなかったかもしれない。 そ…

続きを読むread more

ドイツで市庁舎建て替え中に見つかった中世のおトイレに埋もれていた個人手帳。拾えなかったのか…

すごく保存状態のいい遺物なのに、見つかった場所が悲しすぎる。 ドイツ西部、ノルトライン=ヴェストファーレン州のパーダーボルン市で、行政本部(市庁舎みたいなものか)の建て替えのため敷地の考古学調査をしていたら、13-14世紀ごろのおトイレの跡が見つかったらしい。で、そこから排泄物だけではなく、ものすごく状態のいい蝋引きのノートが見つ…

続きを読むread more

アクエンアテンはミイラにされたのか? アテン一神教だとオシリスもアヌビスも居ないんだけど…。

アクエンアテンは、古代エジプト第18王朝の王。アテン神という神に妄信的に帰依して、アテン以外に神は無し! と一神教のはしりのようなものを始めたことで知られている。世界最古の宗教改革、とか、最古の一神教、とか言われることもある。 首都も、既存宗教の影響の強い都からまっさらな場所に移転させた。改革は一代限りで終わるのだが、いろいろ特異だっ…

続きを読むread more