ヒッタイトの神像について~メソポタミアのは残って無いけどヒッタイトは残ってるなという話

古代エジプトの神々の姿は、壁画も神像も残っているので誰もがイメージしやすいと思う。 だが、メソポタミアの神像については、ほぼ残っていない。御本尊にあたる神像はもちろん、個人が身につけたアクセサリのようなものまで含めても限られた数しかなくて、印章に刻まれた姿など、限られた手がかりしかないのが現状だ。 その理由については、だいぶ前に…

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カマキリの雪予報が科学的ではない理由とカマキリの生態「カマキリに学ぶ」

前回、「カマキリは積雪量を予測して卵を生んでいない」=カマキリが雪予報をするという説は誤り、という話について書いた。 きちんと論文を出して一度は学会でも認められたものの、その後、追試などによって否定されたということだ。これは科学的な手法としては正しく、正規の手続きが踏まれている。 カマキリは積雪量を予測して卵を生んでいない。最新…

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北アフリカ(マグリブ)の先住民について「ベルベル人ー歴史・思想・文明」

まず前提となる「マグリブ」という土地について。この↓範囲である。 北アフリカといってもエジプトのあたりは入らず、サハラより北側の海沿いの地域。ここは、北と西を海に、南と東を広大な砂漠に隔てられた環境である。おそらくサハラが乾燥化した時代に、降水量が比較的多めの海沿いに移動してきて集団を形成したのだとされる。エジプトは入らない。 …エ…

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文明は必ずしも大河を必要としない。というかエジプト・メソポタミアと他は条件違うよね? っていう話

まず最初に、「四大文明」というのは日本独特の概念で他ではあまり使われていないこと、そもそも「四」大という概念自体が偏っており、実際には一次文明と呼ばれるものだけでももっと数はある。という話のおさらいをしておきたい。 「四大大河文明」はもう古い、いい加減使うのやめようぜ。っていう話 https://55096962.seesaa.…

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「神聖なるかたち」、古代エジプト人の描いた「スカラベ」の特徴とは

こないだ行ってきた昆虫展に、エジプトのフンコロガシの標本があった。(正しい日本語名としては「タマオシコガネ」と上品になっている。玉=球状のウ●コ) おおーこれこれ、これだよ古代エジプト人が神聖視していたスカラベのフォームだ! と大喜びしながら写真撮っていたのだが、この実物にこそ、古代エジプトもののイラストやマンガでスカラベを描く上で重…

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「メジェド」という名前の古代エジプト神は本当は存在しない/名前が日本限定で定着した経緯とか

ここ最近、当たり前のように古代エジプトネタの創作物に顔を出すようになった「メジェド」という神がいる。 だが、この神が一躍有名になったのは2014年のことで、しかも日本ローカルの話である。 うん、めっちゃ最近なんだ。 でも10年前だから、当時のことを知らない人は経緯とか初耳かもしれないよね。だから書いておくよ。 ●有名…

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カマキリは積雪量を予測して卵を生んでいない。最新の研究結果は果たして定着するのか

少し前、「セミの成虫の寿命は一週間ではなく一ヶ月が正しい。一週間というのは俗説」という研究が出た。 https://www.asahi.com/articles/ASQ8C67CFQ85UTFL00R.html 実際に捕まえた個体に記しをつけて確認した結果なので妥当性は高く、専門誌に論文も載った。だが、その時は話題になったものの…

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昆虫展に行ってきたついで。「昆虫はなぜ海にいないのか」

上野でやってる昆虫MANIACは当然いくでしょ。虫好きだし。 というわけで行ってきた。みっちり2時間くらい気になるコを眺め回してきた。 公式 https://www.konchuten.jp/ で、本編の部分は置いといて、会場で紹介されていた昆虫関連の論文について。 帰ってきてから調べてとりあえず読んでみたのだ…

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(メモがわり)ギョベックリ・テペの遺跡はオカルト会場になっている…? 今後も色々出てきそうな予感

少し前、トルコのチャタル・ホユックという遺跡で、発掘していた学者が遺物を捏造していたり、発見した遺物の解釈を故意に歪めていた可能性が発覚したりして騒ぎになったことがある。 (2018年に書いたやつ)チャタル・ホユック、「世界最古の地図」と呼ばれた壁画の解釈問題が再燃https://55096962.seesaa.net/artic…

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いろんな視点から学ぶ動物との関わり「十二支になった動物たちの考古学」

図書館で適当に漁っていて見つけた本。軽いお読み物が欲しかったので読んでみた。 十二支になった動物たちに関する考古学で、主に日本史における各動物の関わりを紹介している。 十二支になった 動物たちの考古学 - 設楽 博己, 設楽 博己 いろんな視点から書かれているので切り口がけっこう面白くて、たとえばネズミの章では、「貝塚から…

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アルゼンチンでバッタ大量発生。※イナゴではない バッタ警察だから誤訳にはうるさいよ!

ウォッチの範疇外なのでふーん大変だねって感じで流してるバッタウォッチャーの中の人ですこんばんは。 いやエジプトにも飛来することがあるサバクトビバッタはわりとウォッチしてるんですけど、南米のバッタはその…それほどでは…。 2016年に「過去最大級の」バッタ大量発生を食らい、その後も2020年くらいまで定期的にバッタ大量発生のニュー…

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でっっっか…「巨大恐竜展」、マジでデカいやつがいた(ティタン族)

いやティタン族っていう言い方が正しいかどうかわかんないんだけど。 目玉はパタゴニアで見つかった巨大な恐竜パタゴティタン、福井県で見つかったフクイティタンとかで「xxティタン」って名前ついてるから、ギリシャ神話勢はニッコニコになるやつだと思う。ティタン(巨人族)、マジでデカい。 ちなみにティラノティタンというのもいて、名前のせいでティ…

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古代エジプトの石材の切り出し方 「木の杭に水を掛けて割った」はあまり正確ではない。

古代エジプトの石材の切り出し方、なんか「木材に水を掛けて膨張させた」「杭を打ち込んで割った」という話を書いてる本をいまも結構見かける。たぶん、想像されているのは↓こういうシーンだと思う。 でもこれ、もう古い。 古いというか、くさびを打ち込んで石材を切り離す手法自体は確かにあったのだが、これだけで石が割れるはずがないんであ…

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エジプトミイラになりたかったハミルトン公爵10世、アレグザンダーについて

ひょんなとこから、「エジプトミイラになりたくて実際にその処置をしてもらった貴族がいる」という話を読んだ。ハミルトン公爵10世、アレグザンダー(Alexander Hamilton, 10th Duke of Hamilton)という人物。イギリス貴族である。 エジプトミイラに魅了され、その永遠を手に入れんと、死の30年前から準備を…

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